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一筋縄にはいかない
8. 幽霊からの手紙
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「フィリップ、またお母様からの手紙?」
フィリップが少し気まずそうな顔で一通の封筒を渡してくる。
「いえ、今回の手紙はそれよりも恐ろしいかも知れません。"幽霊"からの手紙です。」
差出人を確認する。
リリアーヌ・ブロワ――七年前に失踪した異母姉だ。
慌てて中身を確認して、目を見張る。
「えええええええええええええ!」
思わず大声を出してしまった。
「エリカ様、声が大きいです。そんなに態度に出やすいようでは貴族社会でしてやられますぞ。」
フィリップにまた窘められる。
「でもこんな手紙が来たら、どんな貴族でも叫び声くらいあげるわよ。」
私の叫びを聞きつけて、殿下が部屋に入ってきた。
「どうした。エリカ?」
そういえば、殿下は人目のあるところでは、いつもポーカーフェイスだ。あれこそが正しい『貴族』のふるまいなんだろう。
「お、お姉様がみつかりました!」
二人に事の顛末を説明した。
異母姉が失踪したのは、婚約者 アベル様との子を妊娠したから。その時のアベル様は『魅了の呪い』でおかしくなっていて、全く取り合ってもらえなかった。ブロワ家には頼れないと判断して、マール伯爵家――彼女の母方の実家に身を寄せた。その時の妊娠した子どもは、今は六歳。たまたまマール沿岸警備騎士隊に派遣されていたアベル様と再会し、仲直りもして、今度結婚するらしい。ちなみにアベル様はブロワ領での武勲が認められて、少佐から大佐に二階級昇級している。結婚後はお世話になったマール伯爵家を継ぐために準備をすると書いてあった。あと異母姉は商会経営の才能もあったらしく、今は王国内の高額納税者の一人だそう。
「情報量が多すぎる!」
殿下も混乱している。
「つまり、ボナパルト大佐には、もう六歳になる息子がいるということか。」
「そ、そうみたいですわ。」
避妊魔法って治癒魔法の一種だから、光属性じゃないと使えないんだよね。避妊薬もあるけど、そこそこ高価だし、学生同士でそういう行為をする時に予め用意してなかったというのは十分ありうる話か。
「あと次の月の初めから五日ほど、こちらに滞在するって。」
「ボナパルト大佐とは半年ぶりか。楽しみだ。ぜひ彼のお子さんにも会ってみたい。」
なんとなく、子どもの方は興味本位だろうなと思った。
フィリップが少し気まずそうな顔で一通の封筒を渡してくる。
「いえ、今回の手紙はそれよりも恐ろしいかも知れません。"幽霊"からの手紙です。」
差出人を確認する。
リリアーヌ・ブロワ――七年前に失踪した異母姉だ。
慌てて中身を確認して、目を見張る。
「えええええええええええええ!」
思わず大声を出してしまった。
「エリカ様、声が大きいです。そんなに態度に出やすいようでは貴族社会でしてやられますぞ。」
フィリップにまた窘められる。
「でもこんな手紙が来たら、どんな貴族でも叫び声くらいあげるわよ。」
私の叫びを聞きつけて、殿下が部屋に入ってきた。
「どうした。エリカ?」
そういえば、殿下は人目のあるところでは、いつもポーカーフェイスだ。あれこそが正しい『貴族』のふるまいなんだろう。
「お、お姉様がみつかりました!」
二人に事の顛末を説明した。
異母姉が失踪したのは、婚約者 アベル様との子を妊娠したから。その時のアベル様は『魅了の呪い』でおかしくなっていて、全く取り合ってもらえなかった。ブロワ家には頼れないと判断して、マール伯爵家――彼女の母方の実家に身を寄せた。その時の妊娠した子どもは、今は六歳。たまたまマール沿岸警備騎士隊に派遣されていたアベル様と再会し、仲直りもして、今度結婚するらしい。ちなみにアベル様はブロワ領での武勲が認められて、少佐から大佐に二階級昇級している。結婚後はお世話になったマール伯爵家を継ぐために準備をすると書いてあった。あと異母姉は商会経営の才能もあったらしく、今は王国内の高額納税者の一人だそう。
「情報量が多すぎる!」
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「つまり、ボナパルト大佐には、もう六歳になる息子がいるということか。」
「そ、そうみたいですわ。」
避妊魔法って治癒魔法の一種だから、光属性じゃないと使えないんだよね。避妊薬もあるけど、そこそこ高価だし、学生同士でそういう行為をする時に予め用意してなかったというのは十分ありうる話か。
「あと次の月の初めから五日ほど、こちらに滞在するって。」
「ボナパルト大佐とは半年ぶりか。楽しみだ。ぜひ彼のお子さんにも会ってみたい。」
なんとなく、子どもの方は興味本位だろうなと思った。
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