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第一章 5度目の婚約破棄
4. 夜会
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王宮夜会の当日は、自分の瞳の色に合わせて、ディープブルーのドレスにした。デザインは、ビーズに、レースに、王都で流行っているものを、全て取り入れてもらった。
5回も婚約破棄されたおかげで、本当に色とりどりのドレスを着る機会があった。けれど、やっぱり自分の瞳の色が落ち着くし、これが一番似合うと思った。胸には大粒のダイヤモンド、しかも希少なブルーダイヤを身につけた。これは、父がオークションで入札したもので、それはそれは高価なものだ。私がデザインした、ダイヤモンドが散りばめられた台座ともよく合っている。耳元には、真っ青で大きなサファイアを身につけた。こちらもダイヤモンドほどではないが希少なものだ。――これで王族もびっくりの豪華さだ。
「今日は随分と派手だな、フロレンシア。まさか、我が家の家宝を全て身にまとうとは。」
父は上から下まで私を見て、あきれ半分にそういった。
「だって、このくらいしないと哀れな行き遅れ令嬢って噂されてしまうわ。」
「確かにな。今回の夜会には隣国の王家や使者も訪れる。しっかりと目立ちなさい。」
「はい、お父様。」
弟のオスカルも、私の姿に目を丸くしてる。
「姉上……今日はまた随分と着飾りましたね。」
「そりゃ、我が家の財力と私の魅力を存分に見せつけないと!」
アイナ嬢を迎えに行くオスカルとは別の馬車に乗り、父と共に王城に向かった。
「見た目を着飾るのはいいが、肝心なのはその振る舞いや会話の内容だぞ。フロレンシア。」
少しあきれ顔のまま父が言う。
「もちろん、心得ておりますわ。お父様。」
馬車が王城に着いた。少し遅れて、オスカルとアイナ嬢も到着した。私はアイナ嬢にも、"近況"の報告をした。案の定、アイナ嬢は、ひどく気の毒だという顔をした。
「お姉様はこんなに素敵な方なのに、どうしていつも……。」
「気にしないで、アイナ嬢。今回も縁がなかっただけよ。」
そんな泣きそうな顔しないでよ、アイナ嬢。私は努めて明るく振舞った。
こういった夜会では、王家を除いて、爵位順にホールに入場する。筆頭子爵家であるスアレス家は、公爵家、侯爵家、伯爵家に続いて入場する。筆頭子爵家の名に恥じぬよう、私は背筋を伸ばしてホールへと足を踏み入れた。
ホールの中央には、巨大なシャンデリアの無数のクリスタルが光を受けて煌めいていた。舞台の幕が上がるように、まばゆい光が私を包んだ。高らかで荘厳な管弦楽器の演奏が、ホールいっぱいに広がっていく。
視線が自分に集まるのを感じた。――それは優美なドレスと、王族でも身につけられないほど一流の宝石を身をまとった"成功者"をうらやむ視線か、はたまた婚約破棄5度目の女を見下し憐れむ視線か。どちらでも構わない。私はわたしだ。会場を見渡したが、さすがに元婚約者であるクラウディオはいなかった。今、会うのは気まずい。良かったと胸をなでおろした。
王様の挨拶から、夜会は始まった。いくら王家が財政難でも、こういう夜会は外交も兼ねているから、金をかけねばならない。一流の演奏、一流の食事、一流の装飾、一流の給仕――どれをとっても素晴らしい。そう、何一つ欠けてはならないのだ。
まず一曲目のダンスは、父と踊った。実は婚約破棄されるたびに父と踊っているので、案外誰よりも踊り慣れている。スアレス親子のぴったりと息の合ったダンスを周囲に見せつけた後、父は商談があるといって外国からの使者と話し始めた。そして私は一人になった。
5回も婚約破棄されたおかげで、本当に色とりどりのドレスを着る機会があった。けれど、やっぱり自分の瞳の色が落ち着くし、これが一番似合うと思った。胸には大粒のダイヤモンド、しかも希少なブルーダイヤを身につけた。これは、父がオークションで入札したもので、それはそれは高価なものだ。私がデザインした、ダイヤモンドが散りばめられた台座ともよく合っている。耳元には、真っ青で大きなサファイアを身につけた。こちらもダイヤモンドほどではないが希少なものだ。――これで王族もびっくりの豪華さだ。
「今日は随分と派手だな、フロレンシア。まさか、我が家の家宝を全て身にまとうとは。」
父は上から下まで私を見て、あきれ半分にそういった。
「だって、このくらいしないと哀れな行き遅れ令嬢って噂されてしまうわ。」
「確かにな。今回の夜会には隣国の王家や使者も訪れる。しっかりと目立ちなさい。」
「はい、お父様。」
弟のオスカルも、私の姿に目を丸くしてる。
「姉上……今日はまた随分と着飾りましたね。」
「そりゃ、我が家の財力と私の魅力を存分に見せつけないと!」
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「見た目を着飾るのはいいが、肝心なのはその振る舞いや会話の内容だぞ。フロレンシア。」
少しあきれ顔のまま父が言う。
「もちろん、心得ておりますわ。お父様。」
馬車が王城に着いた。少し遅れて、オスカルとアイナ嬢も到着した。私はアイナ嬢にも、"近況"の報告をした。案の定、アイナ嬢は、ひどく気の毒だという顔をした。
「お姉様はこんなに素敵な方なのに、どうしていつも……。」
「気にしないで、アイナ嬢。今回も縁がなかっただけよ。」
そんな泣きそうな顔しないでよ、アイナ嬢。私は努めて明るく振舞った。
こういった夜会では、王家を除いて、爵位順にホールに入場する。筆頭子爵家であるスアレス家は、公爵家、侯爵家、伯爵家に続いて入場する。筆頭子爵家の名に恥じぬよう、私は背筋を伸ばしてホールへと足を踏み入れた。
ホールの中央には、巨大なシャンデリアの無数のクリスタルが光を受けて煌めいていた。舞台の幕が上がるように、まばゆい光が私を包んだ。高らかで荘厳な管弦楽器の演奏が、ホールいっぱいに広がっていく。
視線が自分に集まるのを感じた。――それは優美なドレスと、王族でも身につけられないほど一流の宝石を身をまとった"成功者"をうらやむ視線か、はたまた婚約破棄5度目の女を見下し憐れむ視線か。どちらでも構わない。私はわたしだ。会場を見渡したが、さすがに元婚約者であるクラウディオはいなかった。今、会うのは気まずい。良かったと胸をなでおろした。
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