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第二章 求婚
4. 誓印
ロレンシオはすぐに飛んできた、すごく慌てた様子で。また首筋の匂いを確認された。もういったい、私が何をしたっていうんだ。
「ロレンシオ、約束もしていない日にいきなり来られても困るのよ。」
「怒りたいのはこちらの方です。――フロレンシアは午前中、何をされていたのですが?」
「何をって、孤児院に行って、子どもたちに児童書を寄付してきたの。王都の外れの孤児院よ。そんなに気になるなら、そこのシスター・カンデに確認してちょうだい。」
「じゃあどうして、誓印が反応したんですか?下心を持った男性があなたと過度な接触をしない限り、この印は反応しないはずです。」
「……せいいんって何のこと?」
「この間の夜会で、耳の裏につけさせてもらいました。――あなたをお守りできるように。」
そこまで言われてはっとした。孤児のアントニオが抱きついてきた瞬間、私の耳元には鋭い痛みが走り、彼が倒れたことを。
「それって、もしかして幼い子どもにも反応するの?8歳くらいの男の子が、本を読んで欲しいと言って、駆け寄ってきたけど。」
ロレンシオが、ちょっと怒った顔をして、こちらをにらんだ。
「そこが、あなたの甘すぎるところです。男は年齢に関係なく、そういう心を持つ生き物なのです。今回はおおめに見ますが、次回は――気を付けてくださいね。」
そういって、愛おしそうに私の耳元につけられた誓印を撫でた。
「ねえ、この誓印って消せないの?孤児に絵本を読んで聞かせるだけで反応していたら、生活に支障をきたすんだけど。」
一瞬、仄暗い闇がロレンシオのきれいな菫色の瞳に映った気がした。
「ダメです。今は僕が婚約を申し込んでいるのに、他の男に横取りされるなんてありえない。」
そして、先ほどよりも、より強く抱き寄せられた。
「ああ、フロレンシアの匂いだ。本当にいい匂い。気が狂いそうになる。」
見上げると、ロレンシオのおでこに小さな角が生え、お尻からは尻尾が飛び出した。こんな姿、今まで見たことがない。――言いようのない身の危険を感じて、ロレンシオを諫めた。
「ちょっと、落ち着きなさい。ロレンシオ。」
その言葉に我に返ったロレンシオは、角と尻尾は引っ込め、素直に手を放してくれた。
「そうですね。まずはフロレンシアに"一人の男"だと認めてもらわないと、いけませんから。」
ロレンシオは不敵に笑って、去っていった。なんだかとんでもないことになってしまった気がする。背筋がぞっとした。
「ロレンシオ、約束もしていない日にいきなり来られても困るのよ。」
「怒りたいのはこちらの方です。――フロレンシアは午前中、何をされていたのですが?」
「何をって、孤児院に行って、子どもたちに児童書を寄付してきたの。王都の外れの孤児院よ。そんなに気になるなら、そこのシスター・カンデに確認してちょうだい。」
「じゃあどうして、誓印が反応したんですか?下心を持った男性があなたと過度な接触をしない限り、この印は反応しないはずです。」
「……せいいんって何のこと?」
「この間の夜会で、耳の裏につけさせてもらいました。――あなたをお守りできるように。」
そこまで言われてはっとした。孤児のアントニオが抱きついてきた瞬間、私の耳元には鋭い痛みが走り、彼が倒れたことを。
「それって、もしかして幼い子どもにも反応するの?8歳くらいの男の子が、本を読んで欲しいと言って、駆け寄ってきたけど。」
ロレンシオが、ちょっと怒った顔をして、こちらをにらんだ。
「そこが、あなたの甘すぎるところです。男は年齢に関係なく、そういう心を持つ生き物なのです。今回はおおめに見ますが、次回は――気を付けてくださいね。」
そういって、愛おしそうに私の耳元につけられた誓印を撫でた。
「ねえ、この誓印って消せないの?孤児に絵本を読んで聞かせるだけで反応していたら、生活に支障をきたすんだけど。」
一瞬、仄暗い闇がロレンシオのきれいな菫色の瞳に映った気がした。
「ダメです。今は僕が婚約を申し込んでいるのに、他の男に横取りされるなんてありえない。」
そして、先ほどよりも、より強く抱き寄せられた。
「ああ、フロレンシアの匂いだ。本当にいい匂い。気が狂いそうになる。」
見上げると、ロレンシオのおでこに小さな角が生え、お尻からは尻尾が飛び出した。こんな姿、今まで見たことがない。――言いようのない身の危険を感じて、ロレンシオを諫めた。
「ちょっと、落ち着きなさい。ロレンシオ。」
その言葉に我に返ったロレンシオは、角と尻尾は引っ込め、素直に手を放してくれた。
「そうですね。まずはフロレンシアに"一人の男"だと認めてもらわないと、いけませんから。」
ロレンシオは不敵に笑って、去っていった。なんだかとんでもないことになってしまった気がする。背筋がぞっとした。
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