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高校3年生編
6.ケンカを売られたので買ってみた
しおりを挟む主人公君の愚行の数々の報告を受けるためにリンから一度離れて行動していた。もちろん、リンには数名の警護班をつけてある。
そして、一般の棟にある空き教室にて報告を受けていた…
先ず、主人公君はリンに苛めを受けていると盛大に公言している。まぁ、事実無根なんだけどな…
ちなみにその妄言を信じているのは生徒会に属している攻略対象たちのみ。
1つ、教科書を破かれた
2つ、水をかけられた
3つ、突き飛ばされた
4つ、暴言を吐かれ罵倒された
などなど…実にくだらない幼稚な戯言をわざとらしい演技を交えて泣きながら訴えかけているようだ。
その場面はしっかりと防犯カメラに写っており、協力者たちの働きもあり、動画まで撮っているようで、しっかりと本人たちの声も入っているし、周りの声も入っている。
言い逃れはできないだろう。
もう一度、言っておくが、事実無根だ!そして、信じているのは生徒会に属している攻略対象たちだけだ。
リンの無実を証明できる証拠も全て揃っているというわけだが…
それ以前に一般の棟にいる生徒は『純血の一族』―…次期当主となる者たちがいる校舎には無断では入れない。許可がいるし、許可証もいる。
そして、1人では行動できない。必ず警備の者が同行する決まりがある。
許可証を持っていなければ警報が鳴る仕組みだ。許可証には特殊なICチップが搭載されている。
そして、許可証を発行した際の記録もしっかり取られている。各教室に入った記録も取られている。そういう機能がついた許可証だからな…
この学園に通っている者ならば知っていて当然の事なんだが…恋は盲目とはよくできた言葉で、全くその通りだと思う。
学園側の協力により既にリンの無実を証明できているんだけど…
ま、学園側に協力を要請できたのは他でもない俺の元実家の力が大きいというのもあるのでそこら辺は感謝している。
報告と証拠品を頂いて、証拠品はファイルに綴じ茶封筒に入れ鞄に突っ込むと協力者にお礼を言って空き教室から出た。
そして、リンと合流するために廊下を歩いていると、『ギャーギャー』騒ぐ品のない声が廊下の先から聞こえてきた。どうやら複数人いるようで…騒ぐ声から穏やかではないという事だけは理解した。
リンの声がしたので早足で現場に向かい声をかけた。
「何の騒ぎだ!」
そう言って廊下の角を曲がると、例の攻略対象たちに庇われるように立っている主人公君と警護班に庇われるように立っていたリンの姿が目にはいる。
「ウィル様!」
そう言って安心したように走りよってきたのは俺の妻であるリンだ。
凄く可愛いが状況が状況なだけにいただけない…というか、コイツらは一般校舎で何をしてるんだ。
醜態を晒しているだけだと早く気づいてほしい…
リンを庇うように立ち塞がると、主人公君がわざとらしく目を『うるうる』させて泣き落とそうとしてきたが…全く可愛いとは思えなかった。
話を聞けば、今日も苛められて悲しいけどリンと仲良くしたいから仲直りをしに来たんだと…
危うく吹き出しそうになったわ…いや、マジで…
言ってんのコイツ?レベルでヤバいヤツ認定である。
周りのドン引き具合も分からない彼らは口々にリンを罵倒している。
前世なら名誉毀損で訴えれそうである。いや、他の罪状も加算されるから結構な罪で裁けそうだな…なんて白けた目を向けている事に気づかないのか、これ幸いとばかりに主人公君の悲劇のヒロイン具合に拍車がかかり始めた。
そろそろ殴って黙らせようかと物騒な考えが脳内を過るが…なんとか静めた。
静めたのだが―…盲目的に主人公君を健気で優しい子なんて思っているギャラリーも居るしで、凄くくだらない茶番劇を見せられている気分になった。
この周りの温度差に気づいてほしい…
「くだらない…実にくだらない…」
そう言って溜め息をついてしまったのは仕方ないと思う。そのせいで彼らの怒りに触れてしまったが…俺も怒っている。
何を言われても「そうか」と適当に流していた俺の雰囲気が今までと違うことに気づいたのだろう元兄は俺を凝視してこちらの様子を伺っている。
「こんなにくだらない事にリンを、周りを巻き込んで…タダで済むと思うなよ」
と凄~く低い声が出てしまったので、その場の空気が凍ったが…俺の知ったこっちゃない。
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