アルファな彼とオメガな僕。

スメラギ

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Short Story〜旦那様な彼と奥様な僕。〜

02

 
 この世界には『鬼』という者が存在している。崇陽が僕に隠そうとしていた存在だ…。
 あの底知れぬ崇陽のビジネスパートナーも『鬼』だった。

 しかも、その『鬼』には『つがい』ー…界隈で密やかに寵妃ちょうひと呼ばれている者が居るらしい…。
 表には一切出ず、出さずの徹底振りから『寵妃』というあだ名が付いた。

 その『鬼』と関係を築いている者たちの間ではかなり・・・有名な話だ…。

 さらに言うとー…今日、崇陽が会う相手はその・・『鬼』である…。
 『鬼』と関係を築くのは容易ではない。こちらに牙を剥く事になれば破滅しかない。
 繁栄をもたらす反面、破滅をもたらしかねない危険な存在…。

 しかも、崇陽が懇意にしている『鬼』は敵に容赦ない。
 崇陽曰く『約束・・を反故にしなければ問題ない』らしい…が、僕にはまだ分からない…。

 僕の中の評価ではかなり・・・恐ろしい、そんな『鬼』なので、送り出す僕も気が気じゃないがー…リスクは少ないに限る。という事で心を鬼にして崇陽を送り出すのだ。悪く思わないでほしい…。

 「崇陽、ダメだよ。行かないと」

 そう言って見上げると、悲しそうな雰囲気が全面的に出てきた。心做しか、表情までそう・・見えてくる…。

 だから悲しそうな瞳でこちらを見ないでほしい…。

 「分かった。行ってくるがー…」
 「分ってる。ヤバくなる前に連絡する。」
 「それもあるがー…」
 「分ってるから。危ない事はしない、でしょ?」

 遮って言葉を続けると、観念したのか、息を付いて由良の頬にキスをする。由良も可愛く崇陽の頬にキスを仕返す。崇陽は口元をフッと歪めると、頭をヨシヨシと撫でてから僕の額にキスをした。
 僕は崇陽に屈んでもらって口にキスをする…。ここまでは崇陽が1人で外出をする時の流れである…。
 ちなみに、由良はさりげなく崇陽に目隠しをされている。

 崇陽は後ろ髪を引かれる想いで出かけて行った。と思う…。いや、確実にそうだろう。
 名残惜しいと言ったような雰囲気を出していたので間違いない。



 僕は由良とリビングへ戻る。外出はする予定もない。ベランダのサンルームで日光浴もできる。
 ちゃっかり崇陽に買い物も頼んだので、しっかりと買って来てくれる事だろう…。

 僕から降りた由良は絨毯に座り込み「ぶーぶー自動車」と言いながらミニカーのオモチャを走らせ上機嫌で遊んでいる。
 もちろん、床は由良が怪我をしないようにマットを敷いている。オモチャを落とした事による床への傷防止でもある。

 僕はソファーには座らずにソファーを背もたれにして由良と同じく絨毯に座っている。

 「まーママ!」

 と言いながらトテトテと僕の方へ歩いて来る。そして、膝へ乗り上げてくると、僕を椅子にしてテレビを指差す。
 時間を確認する。由良が好きな子ども向け番組が始まる時間帯になっていた。
 どうやら由良は時計を見る事ができるらしい…。時間が分かるとは…やはり、由良は賢い。天才だと思う。そして、可愛い!

 「まーママ!!」

 なんて少し大きめの声で僕を呼ぶ。ハッとして我が子を見下ろすとプクーっと頬を膨らませている。
 髪と瞳の色は違えど、崇陽のミニマム。将来は有望なイケメン確定で今は凄~く可愛い。

 「ごめんごめん」

 そう言うとテレビをつけてあげる。由良はニコニコでテレビを見始めた。



 由良が遊び疲れて寝たので、空調を確認してタオルケットをかけた。
 由良が寝ている間に夕飯の支度をしておく事にした。しっかりと崇陽に由良が寝ているという連絡を入れておく…。

 冷蔵庫を開けて中身を確認すると食材を取り出す。
 包丁で順番に切り分ける。そして、火が通りにくい順番に投入して適度に味付けをしていく…。

 料理も終盤に差し掛かった頃、玄関の扉が開いた音がした。由良に配慮をしているのか崇陽は凄~く静かに入ってくる。
 服を全部脱ぎ捨てに洗面所に入ったような気配があり、わりと直ぐに出てくる気配があった。そして、こちらに歩いて来る。

 リビングの扉が静かに開く。そのまま開けっ放しのキッチンに入ってきた。

 「蒼…大丈夫だったか?」

 そう言って鍋をかき回している僕の手を止めると、崇陽の方を強制的に向かされる。

 「怪我とかはー…ないようだな」
 「大丈夫だよ」

 「心配性だなぁ」と笑う僕の顔を両手で優しく包み込み顔中にキスをしてくる。
 崇陽は気が済んだのか…、最後は口に深いキスをして名残惜しそうに離れていった。
 
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