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鬼の花嫁―本編―
27*
しおりを挟む僕を抱っこしたまま救急箱のようなプラスチック製の箱を開けるとチューブ容器を2本ほど取り出して浴室へと歩き始めた。
「こ、紅輝!」
「ん?どうした?」
「は、恥ずかしいから!自分で洗えるからぁ…っ…」
「抱き潰されてるのにか?」
「っ…ぁ…ま、待って!」
頭を洗われて身体を洗われようとしていた。静止の言葉など、どこ吹く風で聞き流され、紅輝はボディソープの泡を素手にのせて僕の首に優しく触れてきた。
触られただけで奥がズクンと疼くのに紋章の辺りをわざとらしく撫でるのだ。
「んっ…はぁ…んん…」
「可愛い」
「あらって、ぁ…るんだよねぇっ…んっ…」
「半分正解」
「は、はんぶん…っ…?」
紅輝の手はその間にも背中や胸を這い回っている。これはヤバい!と思うけど身体は既に紅輝を求め始めていた。
「んっ…はぁ…や、ぁ…」
手の動きに合わせて腰が動き始める。ボディソープが肌を滑ると最中のような卑猥な音が浴室に響く。
何だかそれが凄く恥ずかしくて、いけない事をやっている気分になる。
「あっ!」
紅輝の手は秘部の入り口を掠めた。
僕の様子を伺い「大丈夫そうだな」と呟いたが中に挿入する事はなかった。それが、酷くもどかしい…
「こぉき?」
「ん?どうした?」
「あっ…はぁ…」
困ったように紅輝を見つめて腰を誘うように振っていると紅輝は苦笑した。
「ダメだ。挿れてやりたいが出来ない」
「なんでぇ…んっんん…」
「まぁ、後でちゃんとシてやるから…今は我慢してくれ」
「やらっ…いれてよぉ…」
紅輝のが欲しいと自ら紅輝のソレに触れてみると紅輝が息を飲んだ。
咄嗟に姿勢を入れ替えられ紅輝のモノに触れられなくなる。
「さっき理性が飛んでヤバかったんだ。挑発するような事は止めてくれ」
何をしでかすか分からないぞ。と囁いて後ろから僕の耳朶に噛み付くようなキスをしてきた。
「くぅ…んっ…はぁ…」
紅輝の方が挑発してるでしょ。という言葉は僕の口からは出なかったが、代わりに喘ぎ声が出た。
僕の耳朶にキスをしている間に僕のモノも丁寧に洗われた…
こんなにも背中がゾクゾクとして感じているにも関わらず勃起しないという事は本当に抱き潰され、搾り取られているのだろう。
シャワーの温度を調整してゆっくりと流しにかかる。
「熱くないか?」
「はぁ…ん…らいじょーぶっ…ぁ…」
「染みるとかはないか?」
「んっ…はぁ…」
紅輝の質問に頷く事しか出来ない。
焦らすように泡を落とした後、僕の身体を浴槽に対面させると手を浴槽の縁に掴ませ、マットに膝立ちさせて、両足を広げられた。
僕がしっかり身体を支えているのを確認すると、腰を引かれてお尻を紅輝の方に突き出すような体勢にされる。
完全に僕の秘部が丸見えとなり、この明るい浴室の場で晒された。
恥ずかしくて紅輝を振り替えると、紅輝は僕の秘部を真剣な顔で見ている。
勃起はしないが、しっかり奥は濡れるので視姦されているような感覚に陥り、意識してないのに秘部が誘うようにヒクついた。
紅輝は気にした様子もなく、僕を一見し、そのまま中に指を挿れて注ぎ込んだモノを掻き出し始める。
どぷりと中のモノが止めどなく出てきており、膝の間には僕の中に注がれていた紅輝の白濁が白い溜まりを作っている。
その量に驚いたけど、まだまだ止まることのないその白濁に後どれだけの量が出てくるのだろうと、喘ぎながらぼんやりと見つめていた。
卑猥な光景ではあるものの、少しずつ減っていく感覚に酷い喪失感が生まれる。
何だか無性に悲しくなって浴槽の縁を掴んでいる手に顔を伏せて喘ぎながら涙を流した。
「ぁあっ…んっ、ふ、あぁ…んん!」
「いつき?」
「うぅ…ぁ…ふ…」
紅輝は戸惑ったように手を止めてしまった。浴室には僕の啜り泣く声しか響かなくなった。
「どうした?泣いてるのか?」
「ら、らいじょ、ぶ」
「大丈夫じゃないだろ」
そういうと紅輝は指を引き抜き僕を汚さないようにササッとシャワーでその辺を流した後、僕の身体に腕を回すと慎重に身体を回転させた。マットの上にペタンと座ることになった。
「痛いのか?」
「ちがう…」
とは言ったけど、よくよく考えてみれば「あ、でもそうなのかな…」とも思った。僕の身体の中から消えていく紅輝のモノを考えると心が痛むのだ。
「違うけど、違わないのか?」
声に出ていたらしい。困惑した紅輝の表情と言葉がそれを物語っている。
「話してくれないか?泣き顔も可愛いんだが…出来れば笑顔でいて欲しい」
「うぅ…」
更に泣き出してしまった僕を紅輝は抱き締めて何度も優しく背中を擦る。
「いつき…」なんて悲しそうな顔をして僕の名前を呼ぶものだから話してしまった。
面倒臭いと思われないだろうかと不安になり見上げると、口元を押さえて顔を赤くしている紅輝と目が合う。
「お前…可愛いすぎだろ」
紅輝はそう言って、僕が流した涙を舐めとると深いキスをする。
「んっ…はぁ…ん、んん…」
口を離した紅輝と暫く見つめ合うと、今度は僕から紅輝へキスをする。それが合図になったのか、僕の両足をM字に開かせると間に身体を割り込ませて閉じれないようにした。
「ぁあっ…」
「大切にしたいのに…壊したくなる衝動に駆られるんだ」
キスに意識を持っていかれてる時を見計らったように再び指を挿れて掻き出す作業を再開させる。
「こんな矛盾した気持ちなんて…いつきに出会わなかったら生まれもしなかっただろうな」
「こぉき?っ…ぁあっ…んっ…ひぅ、んん…」
「何でもない。俺はお前と出会えて良かったと思ってる…愛してる…いつき…」
手を止めることなく深いキスで翻弄された僕は浴槽に凭れてダラリと足を広げてヨガる事しか出来なかった。
身体を重ねる為の行為ではないと頭では理解しているが、身体はたえず、紅輝をずっと欲しがっている。
不意に指が抜かれた。
「あんっ…はぁ…」
「そのまま力を抜いていろ」
どぷりと流れ出たそれは既に透明な僕の愛液だった。いつの間にか紅輝の白濁は全て掻き出されていたのだ。紅輝の指はテラテラと卑猥にテカっている。
当たり前のように普通の動作でそれを舐めとり、サッと手を洗うと先程持ってきたチューブの容器を掴む。そして、蓋を開けた。
「な、にそれぇ…」
「あー…あれだ、炎症をおさえる薬と鎮痛剤…後、俺は避妊せずに事に及んだから、風呂から出たら念のため避妊薬を飲んでもらうことになる。」
「え、でも、こぉき…ぁ…よくせーざい…」
「…そうか、知らないんだったな…あれは―…いつきのフェロモンで自我を失わない為に服用するものだ。まぁ、気休め程度の薬だな。」
鬼専用の避妊に特化した抑制剤もあるらしいが、自我を失って僕を犯して、中に出す事になるんだって。
僕のフェロモンにあてられないようにして大切に抱きたいから紅輝は気休めのその薬を服用する事にしているらしい。
チューブの薬を中指につけると、僕の中に馴染ませるように塗り始める。
じゅぶじゅぶと卑猥な音を立てながら、その入り口で白く泡立っている。愛液と共にこぽっと出そうになるのを咎めるようにして中に入れてくるので、腰の動きと声が止まらなくなった。
もう1つの方の薬も同じように塗られて、終わる頃にはヘトヘトになり下半身がぐちゃぐちゃになっていた。
紅輝はそれも優しく洗い流すと、汚れない場所にきれいなマットを敷き、その上に僕を寝かせた。
今度は紅輝がシャワーを使い洗い始める。
紅輝の姿をぼんやり見つめ、その姿に凄く興奮していた。
『あぁ、あの指が僕の中に』とか『僕が引っ掻いた傷だ』など他にもいろいろと思うところはあったが…
凄く格好いい上に艶かしいその光景に熱い視線を送ることしか出来なかった。
「…あんまり見るな…襲いたくなるだろ」
なんて普段あまり見せてくれないような凄く照れ臭いといった表情で言われて身悶えしてしまった。
起き上がる体力があれば、理性が半分以上飛んでしまっている今の僕は襲いかかっていたに違いない…
*
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