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鬼の花嫁―本編―
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しおりを挟む徐々に体調を崩れたりする日が増えてきた頃、卒業式を向かえた。
様子を見ながらだったけど、大丈夫だろうという事で出席して、無事に卒業式を終えた。紅輝も卒業式を見に来ていた。
舞さんも夏樹同伴で来てくれた。しかも、その時に聞いたが…驚く事に舞さんも妊娠しているらしい…大事な時期に来てくれて嬉しくて泣いてしまった。
その上、更に嬉しい事にお義母さんやお義父さんも来てくれて余計に泣いてしまった。
紅輝は優しく涙を拭ってくれて、優しく抱き締めてくれた。
お互いにバタバタしており、連絡を取り合えていなかったけど、お互いに妊娠しているという事実に驚き、お互いに喜びあった。
紅輝と夏樹はどうやらお互いに知っていたようだが、僕や舞さんには知らせていなかったらしい…自分の口で伝える事を楽しみにしていたから…とのこと。
舞さんは妊娠2回目という事もあり、いろいろとアドバイスもしてくれたし、お義母さんも親身になって話を聞いてくれた。 妊娠が分かってからの夏樹の事も教えてくれた。
行動は紅輝と似たようなものだったので、3人で凄く笑った。
少しだけ離れた場所に居る紅輝もお義父さんや夏樹に何か言われているようだ。時折、『ウンウン』と頷いていた。そして、お義父さんからは1回叩かれていた。まぁ、足を踏み返していたけれど…
その後、軽く皆でお祝いもして別れた。
★
紅輝だが…今まで以上に過保護になった。
最近では家事全般を紅輝が担い、僕が何かをしようとすると抱き上げる。
どうやら、ダメらしい…適度な体操やストレッチには付き合ってくれているし、マッサージまでしてくれる…まさに至れり尽くせりというヤツである。
このままじゃダメな子になっちゃうよ…という徹底ぶりで、手帳にも紅輝が全て漏れなく書き込んでいる。
僕がトイレに行こうとすればオロオロしながら後ろをついてくる…その姿が何か可愛い。
ご飯も栄養満点で消化に良いものを作ってくれている。あまり食べられない時は果物をシャーベットにしてくれて、出来るだけ食べれるようにしてくれるのだ。
時折、お義母さんやお義父さんも様子を見に来てくれる。住居で野菜を作っていたらしく…訪問時にソレを持ってきてくれたりした。
「果物に挑戦してみたんだ上手く作れたから―…持ってきたよ」
そう言って野菜だけでなく果物までお裾分けをしてくれている。
ちなみにお義母さんたちが住んでいるのは片道3時間くらいの場所。決して近くではない距離だ。感謝しかない。
そして、お義父さんに限っては―…
「政義はいつきについて居てやれ」
そう言って紅輝の家事を分担して手伝ってくれたりする。その間、僕とお義母さんは談笑しているんだけど…
紅輝に対しては「お前はこっちだ。」と言って引き摺って行ってしまうが…
ちなみにお義母さんとお義父さんには僕の事を呼び捨てにしてほしいと言ってある。紅輝も渋々ではあったけど許可してくれた。
2人も最初は渋っていたが―…
「なら僕も…政義さんと氷夜さんで―…」
そう言い終わるか、言い終わってないかのタイミングで、「公式の場以外でなら呼び捨てにするよ」と即答してくれた。
どうやらこの2人は僕が思っているよりも『お義母さん』呼びと『お義父さん』呼びが気に入っているようだ…
ずるいかなとも思ったが…家族ならこれくらいは許してほしい。
その他にも、いろいろとお世話などをしてくれ、談笑し、お腹を優しく撫でてくれる。僕の頼みもあり、紅輝も進言してくれたので、最低でも一泊してから帰ってもらっている。
最長2日で帰ってしまうんだけどね…その事に関して残念に思っていると、紅輝が教えてくれた。
紅輝曰く「お義父さんの性欲が抑えきれない」らしい。
思わず赤面して固まってしまったのは仕方ないと思う。
★
そして、ある日の事、悪阻も少し落ち着いた頃…颯が部屋に来た。何でも大事な報告があるらしい。
改まってどこか緊張した面持ちをした颯の様子にただ事ではないと向かいのソファーに座るように促した。
紅輝は面白そうに見ている…『何で!?訳とか知ってるの!?』と内心ドキドキして向かいに座る颯に視線を向けると…
暫く口を開いては閉じてを繰り返していたが、決心がついたらしい彼は一度頷くと口を開いた。
「番が出来た。来週からこのマンションで暮らすから―…よろしく頼む」
思いもよらぬその発言に吃驚して固まっていたが…紅輝は違ったらしい…
「漸く紋章を刻んだのか…」
「あぁ、陽穂の事もあったし、まぁ、他にもいろいろとあったが―…念には念を入れていた。」
全部、落ち着いたから紋章を刻んで、報告に来たんだって…
しかも、報告はそれだけでは終わらなかった…
その番さんは妊娠までしてるんだって!!それは紅輝も知らなかったらしい。
「へぇ…お前に子どもが?」
そう言って驚いていたが、それも一瞬で、「良かったな」と笑って颯を見ている。
すると、普段は表情がまるで変わらない颯もこの時ばかりは嬉しそうに笑っていたのが印象深かった。
何この出産ラッシュ…凄い…
しかも、予定日は僕より50日遅いらしい。
その為、来週までこのマンションを不在にするという許可を貰いに来たんだって…
紅輝も好きにしろ。と言っており、お互いの事が落ち着いたら顔合わせくらいはしようという事でお開きになった。
★
20週目なるとお腹がそこそこ目立ち始めた。悪阻も酷かったり楽になったりとマチマチだが、紅輝の献身的なお世話のお陰か、体重に変化が全くない。
順調に育っている我が子に笑みが浮かぶ。お腹を撫でる事も増えた。紅輝も撫でて笑みかけてくれる。
食材や消耗品の買い出しはずっと恭介や葉月、政、咲哉が交替で担ってくれている。
この4人も話し相手になってくれる。ありがたい限りだ。なんて内心感動していた時に、葉月がなんて事はないような軽い口調で…
「あーそうだ。言い忘れてたけど、俺、番解消したから苗字なくなったんだよね~」
ニコニコと笑みながら颯とは違った爆弾を落としてくれた。
言葉には続きがあって…
「なーんか、邪魔になっちゃったんだよね。ま、前から邪魔だったんだけどね~。それにほら、俺、番にしたい子が出来ちゃったから」
そう続けてヘラリと笑っていたのが印象強かった…
どうやらその口振りからすると―…まだ番っていないようだ。紅輝も『ふーん…お前が良いなら良いんじゃね』的な態度だったので、深く追求することは止めた。
政は相変わらず無口であり、僕が質問すると短い答えが返ってくるだけだったし、恭介は季節のお届けと言って小さい鉢植えに花を持ってきてくれたりする。
サンルームの一画に仲間入りするのだ…
お世話は僕が今は出来ないから全て紅輝がしてくれているんだけどね。
それに外に出てないって訳でもないんだけどね…まぁ、殆んど部屋の中だから軽く軟禁状態になるのかな?
舞さんはこんなものだと笑っていたけど…
いや、まだ、紅輝の方が自由にさせてくれているという事実が判明して吃驚したくらいだった…
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