鬼の花嫁

鬼の花嫁―短編―

こんなはずじゃなかったバレンタイン【後編】＊ーいつきSideー

　
　執拗な愛撫に思考も自分のナカもグズグズに蕩けてきた頃…紅輝が思わぬ行動に出る。
　なんと生チョコが入ったボウルを手に取ったのだ。

　その行動を目で追っていると紅輝は僕の服を完全に剥ぎ取り床へと投げ捨てた。完全に全裸へと剥かれた僕はいたたまれなさを感じていたが…
　紅輝は気にした様子もない。それどころか、生チョコを指で掬い取り、僕の胸へと付けた。

　「こ、こぉきっ！？…ぁン！！」

　胸の頂きごと付けたソレを舐め回して取った。途中、胸を吸われて声が出る。
　紅輝は何回もソレを繰り返し始めた。最早、紅輝を止める余裕もない…

　「んんっ…ぁあっ…」

　感じて身悶えている僕を優しい目で見下ろした紅輝は僕の足を持ち上げると恥ずかしい所が丸見えになるように身体を折り曲げてきた。
　そして、秘部に舌を挿し込むと絶妙な加減で僕を追い詰める。

　流石は『運命の番』同士…発情期以外では濡れるはずのない場所がグッショリと濡れており、やらしいモノがソコから溢れ出ている。

　紅輝は容赦なくソレを戻すように動く舌でナカを解してきた。

　「んぁあ！！だめっ…だめぇぇえ！！」

　イキそうになった僕は首を激しく横に振り快楽をどうにかしようとしたが…
　全くのムダに終わり、呆気なく果てお腹と胸を自身の白濁で汚し、紅輝の口元を愛液で汚した。

　「はぁ…はぁ…んっ…」

　乱れた呼吸を整えようと荒い息を繰り返していると、体勢はそのままに、紅輝はボウルの中身を豪快に僕の身体へと垂らしてきた。
　しかも、ちゃんと僕の小ぶりなモノと入口周辺にもしっかりと生チョコをつけられた。

　甘ったるいチョコレートの匂いなんて今の僕は全く気づかずに、ただただ紅輝の色っぽい表情に興奮をして受け入れるソコからやらしいモノを垂れ流している…

　「んっ…ぁ…んんっ…」

　生チョコを舐めとっていく紅輝の熱い舌に翻弄されて身悶えていると紅輝は僕の小ぶりなモノを口の中へと迎え入れる。

　紅輝の口内は熱く、トロトロに溶けそうなくらいに気持ちが良く、僕の口からは喘ぐ声が止まらなかった。

　「っ…こぉきっ…いくっ…でちゃ、っ…ぁああ！！」

　僕の嬌声にも似た喘ぐ声に微かに口元を上げた紅輝は容赦なく攻め立てきて、僕は呆気なく果てた。しかし、紅輝の動きは止まらない。

　僕の最奥は紅輝のモノを今か今かと待ち侘びているかのように蠢いている。

　「こぉきっ…も、いれてぇ…」

　泣きながらそう言うと僕の白濁を飲み込んだ後、身体中に付着した生チョコを舐めとっていた紅輝が舌なめずりをして顔を上げた。

　紅輝の表情は先程よりも色気が増しており、瞳は情欲の炎が揺らめいていた。

　その目に見つめられて、ときめいた僕は思わず生チョコを指で掬い取り、紅輝の唇へと指を伸ばす。すると、紅輝はその指を咥え込み、舐め回した。
　満足のいくまで堪能したのか、たっぷり間をおいて指から口を離し、生チョコで汚れた口で僕の口に深く口づけてきた。直後、濃厚な甘いソレが口内に広がった。

　「んんっ…ふっ…ン！！」

　そして、口を塞いだまま後ろの入口へ紅輝のモノが挿入された。その衝撃でまたも白濁を吐き出した僕のモノを大きな手の平で優しく包むと、強弱をつけて、僕が感じる的確な力加減で扱き始めた。

　声を上げそうになるも、紅輝の口が外れる事はなく、喘ぎ声も全て紅輝の中へと消えていく。

　グチャグチャになったテーブルの上が一瞬、視界に入ったが…今の僕には気にする余裕もなかった。

　その後、何回もイカされ、何回も紅輝のモノがナカへ注ぎ込まれ、辺りもグチャグチャになり、身体もいろいろ・・・・なモノでベタベタになった僕はチョコケーキなるはずだった残骸を見て…

　（あぁ…チョコケーキになるはずだったチョコレートが…）

　という思いを最後に意識が暗転した。
　起きたら自分の身体がキレイになっていて…ベッドの上にいた。
　ふらつく足でキッチンへと向かうと…やっぱり全てがキレイに片付けられており、何の跡形もなくなっていた…

　（今頃、紅輝と共に「美味しいね」なんて言いながら、チョコケーキを食べていたはずなのに…こんなはずじゃなかったのに…）

　という何とも言い難い状態で膝から崩れ落ち、両手を床についたのだった…
　
＊END＊