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僕の可愛いアルファ君。
05*
しおりを挟む僕は有無を言わさず千歳をバスチェアに座らせた。袖を腕まで捲りあげ、自分の手の甲にお湯を当てながらシャワーの温度を調整する。
「今更、恥ずかしいとかないでしょ?僕の裸も何回見てると思ってるの?飽きるほど見たでしょーが…」
と言うと『信じられない』といったような表情を浮かべてコチラを仰ぎ見てくる。
「雅輝…お前…」
「だって本当じゃん?」
そう、これは事実だ。オメガである僕には発情期というものがある…。その間、あの勘違い野郎にはグレーな手続きをした後に手渡ししたカードを渡して旅行に出てもらっていた。
その過程で僕には一度、番った相手が居た事も知っているし、相手の顔も知っている。まぁ、相手は千歳の事なんて知らないだろうけどね。
僕の家に居候として転がり込んでくるまでに相手に『運命』とやらが現れて一方的に『番』を解消されたから…。
その間にお世話になったのが、ビジネスパートナーである五十嵐 義輝という『鬼』なんだけど…今はまぁ、その話はどうでも良いか…。
つまり、『番』が居なくなった後の発情期の世話をしてくれたのが千歳って事…。
オメガの精液に繁殖機能がない事を熟知している僕は抱かれる代わりとして、欲を発散する為に理解のあるベータの女性をセフレにして抱きまくっていたわけだけど…。
その後処理を千歳がしてくれていた。
万が一の為、絶対に僕がオメガを連れ込む事はなかった…。
オメガが発情し、千歳が発情して間違いが起きない為の配慮だ…。
まぁ、それも彼女ー…元婚約者ができるまでなんだけど…
そんな事もあり、千歳は僕の裸なんて飽きるほど見ているはずなのだ…。とは言っても…千歳と肉体関係は持っていなかったんだけどね。
全裸の僕に食事の提供をしてくれたり、情事後の汚れたシーツなんかも交換してくれたりしたかな…
あぁ、後は疲れ切って脱力している全裸の僕を支えつつお風呂にも入れてくれたしね…。
浴槽に浸かる事はできなかったからシャワーで洗い流してくれただけなんだけど…。
ちなみにベータの女性は僕が世話をしてあげたよ…。だから余計に疲れたんだけど…千歳に色目を使われたら堪らないからね…。仕方なかったんだ…。
一度、番った事があるからなのか…僕のフェロモンで千歳が発情を起こすことはなかった。
まぁ、僕の懸念も杞憂で、ベータの女性からすれば、千歳の容姿は恋愛対象は勿論だが、肉体関係の対象にもならないというか、なりにくいらしい…。
発情期の時に呼びつけていたセフレが言っていた。「オメガの僕とはヤるのに?」と問えば、僕はオメガだけど、全体的にアルファに見えるし、容姿も申し分なく、ナカに出されても孕まないから欲の発散にはうってつけらしかった…。
お互いが納得の上のセフレだった。「雅輝が今後、番わない事を願うわ」なんて事も言っていたかな…。
僕との情事が良すぎて他では満足できないかもしれないと嘆いていたのが記憶に新しい…。
「付き合わない?」とベータの女性から言われた事も数しれず…。全て断ってきたけど…
なんて思いつつ、こんなものかとお湯の温度を確かめると、僕は千歳と目を合わせた。
「ほら、かけるよ。熱かったら言って」
そう言って強制的に正面を向かせて頭を下げさせる。ゆっくりとお湯をかけていくと、少しだけ肩の力が抜けたのが見て取れた。
頭を丁寧且つ優しく洗い、さぁ、身体…といった時に千歳が悲鳴をあげる。
「っ…雅輝!だ、だめっ!自分でできるから!」
「は?何言ってんの?今日は全部、僕がやってあげるって言ったよね?」
「いや、いやいや…聞いてない!初耳だから!」
「あ、そう?なら、今言った。」
と言って、してやったり的な表情で『べー』と舌を出すと真っ赤になってプルプルと震えだした。
「あっ…ま、さき!!こ、こら!」
なんて言いながら千歳は身体を這う僕の手から逃れようとする。身をよじる姿は悪戯心を刺激する。
僕は内心、ニヤリと笑って洗うフリをして千歳の至る所を触り始めた。
「や、ちょ…ンっ…」
ピクリと前のめりになる千歳の身体をこちらに引き寄せると背中からスルリと脇腹を撫で、胸の頂きを偶然を装って指の腹で掠めてみる…。
「ぁ…んんっ…」
声を抑えるためなのか…、必死に両手で口を塞いでいる。分かっているのか…いないのか…いや、恐らく分かっていないのだろう千歳のその態度は僕のナカに燻るナニかを大いに刺激してくる。
千歳のアレが勃っているのを見た僕は『やはり、千歳はアルファなんだなぁ…身長のワリにソレは立派なモノだ』と品もなく思ってしまった。
僕もオメガのワリには立派な方だがー…、やはりアルファのソレには負けるんじゃないのかと思う…。
*
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