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創造する
大地の神に沈む親子
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大地の神が出立したのは一番後だった。何かを考え、決心したかと思うとまた考え、そんなことを繰り返していた。他の神が行かないのかと問うて、ようやっと重い腰を上げたのだった。
大地の神はとある神の提案を聞いた時、とある親子が頭をよぎった為に手を上げたが、その決断が揺らぐほどにはその親子を思い出すのは辛かった。だからこそ迷っていたのだ。
大地の神はその親子の亡骸のある星に向かっている最中、とある神の言葉を思い出していた。
”じゃあ、この決まりが最後ね。人間を創る時に、亡骸を使う場合はその人間の記憶に感化されないでね。例えば、殺した人間が憎くて殺しちゃうのはダメだよ。後から文句言う子がいるからめ…。まあ、神が人間の気持ちに感化されることはないと思うけど、一応ね。今回の遊びは人間を創るというだけだから。別に殺しても問題はないけど、主旨が変わってしまわないようにしておくよ。あ、でもね、自然災害で死んでしまったのならば、それは性がないことだから。僕が見ているから判断は任せて…まあ好きにしてくれ“
大地の神は少し前に亡くなった親子の元へと降り立ちました。親子が息絶える瞬間まで見ていたからか、大地の神は本当に辛そうでした。
大地に横たえたその身に大地の神は寄り添いました。人間同士の争いから逃れるために砂漠に逃げ、後ろから追ってくる兵士から子を守るように力尽きた者です。そんな人間は腐るほど見てきた大地の神にとってこの親子も変わらないはずなのに、この強き母の美しさを大地は覚えているのです。とても不思議なことで、大地自身でもその気持ちが理解できないのでした。
大地の神は散々悩んでいましたが、親子の亡骸を見て、
この子らを我が身に宿し、再び大地を歩けるように…
そう願ってしまいました。大地の神は親子を土の奥深くへと沈め、そして分解し、土へと還しました。親子一緒の方がいいだろと二人の土を混ぜ合わせて、1人の女を創っていきます。
そして新たに創造し、1人の女を生み出した。
親子の土からできた女は、ゆっくりと、でも確かに大地を踏みしめ歩くのでした。大地の神は女の横に並び、親子が生まれ育った町を見て、大きく地を揺らしました。それは、滅多に地震の起こらない地域にとって、初めての大地震でした。かなりの被害を出したその地震は、後世に伝えられました。
“神の怒り“や“大地からの罰“
そう云って。
出て行くのはとても遅かった大地の神だが、約束の時まで多くの時間を残した。
そして、満足げに、女と共に約束の地へと向かうのでした。
大地の神はとある神の提案を聞いた時、とある親子が頭をよぎった為に手を上げたが、その決断が揺らぐほどにはその親子を思い出すのは辛かった。だからこそ迷っていたのだ。
大地の神はその親子の亡骸のある星に向かっている最中、とある神の言葉を思い出していた。
”じゃあ、この決まりが最後ね。人間を創る時に、亡骸を使う場合はその人間の記憶に感化されないでね。例えば、殺した人間が憎くて殺しちゃうのはダメだよ。後から文句言う子がいるからめ…。まあ、神が人間の気持ちに感化されることはないと思うけど、一応ね。今回の遊びは人間を創るというだけだから。別に殺しても問題はないけど、主旨が変わってしまわないようにしておくよ。あ、でもね、自然災害で死んでしまったのならば、それは性がないことだから。僕が見ているから判断は任せて…まあ好きにしてくれ“
大地の神は少し前に亡くなった親子の元へと降り立ちました。親子が息絶える瞬間まで見ていたからか、大地の神は本当に辛そうでした。
大地に横たえたその身に大地の神は寄り添いました。人間同士の争いから逃れるために砂漠に逃げ、後ろから追ってくる兵士から子を守るように力尽きた者です。そんな人間は腐るほど見てきた大地の神にとってこの親子も変わらないはずなのに、この強き母の美しさを大地は覚えているのです。とても不思議なことで、大地自身でもその気持ちが理解できないのでした。
大地の神は散々悩んでいましたが、親子の亡骸を見て、
この子らを我が身に宿し、再び大地を歩けるように…
そう願ってしまいました。大地の神は親子を土の奥深くへと沈め、そして分解し、土へと還しました。親子一緒の方がいいだろと二人の土を混ぜ合わせて、1人の女を創っていきます。
そして新たに創造し、1人の女を生み出した。
親子の土からできた女は、ゆっくりと、でも確かに大地を踏みしめ歩くのでした。大地の神は女の横に並び、親子が生まれ育った町を見て、大きく地を揺らしました。それは、滅多に地震の起こらない地域にとって、初めての大地震でした。かなりの被害を出したその地震は、後世に伝えられました。
“神の怒り“や“大地からの罰“
そう云って。
出て行くのはとても遅かった大地の神だが、約束の時まで多くの時間を残した。
そして、満足げに、女と共に約束の地へと向かうのでした。
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