5 / 30
1章 怪異は放課後に訪れる
ようこそ怪異体験クラブへ
しおりを挟む
書いた読書感想文はどうすればいいのか? 真咲先輩いわく
「感想文を折りたたんで本に差し込んでおけばいい。この本が彼女とコンタクトできる唯一の手段だからね」
そう賜ったので、言われた通り作文用紙を四つ折りにして本の最初のページに挟んでおいた。翌朝、机の上に置いた本……置いておいたはずの本は消えていた。まるで、そんな本は最初からありませんでしたとばかりに影も形も残さなかった。そして、呪いも多分消えた……はずだ。まるで全部夢だったかのように。
ひょっとすると、怪異体験クラブも実在していなかったのかもしれない。そんな気さえしてくる。怪異がそこにいたという痕跡は、僕の目の前からきれいさっぱり無くなっていたのだ。
放課後、僕が部室へ行くと部室は閉まっていた。今日は部活がないのか、それともやっぱり怪異体験クラブなんてものもなかったのか――。何も書かれていない教室札を見上げていると、後ろから声を掛けられた。
「首尾良くいったかい?」
この二日ですっかり聞きなれた声だった。僕は振り返って自信満々に答える。
「はい、金賞を受賞するつもりで読書感想文を書きましたからね」
今日は部活が無い日だったが、真咲先輩が部室の鍵を開けてくれた。朝起きて起こったことを伝えると先輩は満足そうに笑った。
「結構。西沢くんも無事成仏できたのかもしれないね」
怪異体験クラブ、か……。信じられないのは山々だけど、いくらなんでも僕の部屋から呪いの本が消えたことは説明がつかない。僕ははっきり西沢かなえの幽霊を見たわけではないけど、それに近いものに出遭ったのは確かだ。
そして――もし先輩の言葉が正しいなら、僕はこの先ごまんと怪異に遭遇するはずなのだ。もし入部届を出すなら、それを確かめてからでいいだろう。出す前にこの世とお別れになんてならなければいいけど。
けど、そうはならない気がする。怪異体験クラブと真咲先輩がいればきっと、きっと大丈夫。真咲先輩はまたしても僕の心の内を読んだように、満足気に笑って言った。
「ようこそ、怪異体験クラブへ」
「感想文を折りたたんで本に差し込んでおけばいい。この本が彼女とコンタクトできる唯一の手段だからね」
そう賜ったので、言われた通り作文用紙を四つ折りにして本の最初のページに挟んでおいた。翌朝、机の上に置いた本……置いておいたはずの本は消えていた。まるで、そんな本は最初からありませんでしたとばかりに影も形も残さなかった。そして、呪いも多分消えた……はずだ。まるで全部夢だったかのように。
ひょっとすると、怪異体験クラブも実在していなかったのかもしれない。そんな気さえしてくる。怪異がそこにいたという痕跡は、僕の目の前からきれいさっぱり無くなっていたのだ。
放課後、僕が部室へ行くと部室は閉まっていた。今日は部活がないのか、それともやっぱり怪異体験クラブなんてものもなかったのか――。何も書かれていない教室札を見上げていると、後ろから声を掛けられた。
「首尾良くいったかい?」
この二日ですっかり聞きなれた声だった。僕は振り返って自信満々に答える。
「はい、金賞を受賞するつもりで読書感想文を書きましたからね」
今日は部活が無い日だったが、真咲先輩が部室の鍵を開けてくれた。朝起きて起こったことを伝えると先輩は満足そうに笑った。
「結構。西沢くんも無事成仏できたのかもしれないね」
怪異体験クラブ、か……。信じられないのは山々だけど、いくらなんでも僕の部屋から呪いの本が消えたことは説明がつかない。僕ははっきり西沢かなえの幽霊を見たわけではないけど、それに近いものに出遭ったのは確かだ。
そして――もし先輩の言葉が正しいなら、僕はこの先ごまんと怪異に遭遇するはずなのだ。もし入部届を出すなら、それを確かめてからでいいだろう。出す前にこの世とお別れになんてならなければいいけど。
けど、そうはならない気がする。怪異体験クラブと真咲先輩がいればきっと、きっと大丈夫。真咲先輩はまたしても僕の心の内を読んだように、満足気に笑って言った。
「ようこそ、怪異体験クラブへ」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる