放課後・怪異体験クラブ

佐原古一

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1章 怪異は放課後に訪れる

ようこそ怪異体験クラブへ

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 書いた読書感想文はどうすればいいのか? 真咲先輩いわく
「感想文を折りたたんで本に差し込んでおけばいい。この本が彼女とコンタクトできる唯一の手段だからね」
 そう賜ったので、言われた通り作文用紙を四つ折りにして本の最初のページに挟んでおいた。翌朝、机の上に置いた本……置いておいたはずの本は消えていた。まるで、そんな本は最初からありませんでしたとばかりに影も形も残さなかった。そして、呪いも多分消えた……はずだ。まるで全部夢だったかのように。
 ひょっとすると、怪異体験クラブも実在していなかったのかもしれない。そんな気さえしてくる。怪異がそこにいたという痕跡は、僕の目の前からきれいさっぱり無くなっていたのだ。
 放課後、僕が部室へ行くと部室は閉まっていた。今日は部活がないのか、それともやっぱり怪異体験クラブなんてものもなかったのか――。何も書かれていない教室札を見上げていると、後ろから声を掛けられた。
「首尾良くいったかい?」
 この二日ですっかり聞きなれた声だった。僕は振り返って自信満々に答える。
「はい、金賞を受賞するつもりで読書感想文を書きましたからね」
 今日は部活が無い日だったが、真咲先輩が部室の鍵を開けてくれた。朝起きて起こったことを伝えると先輩は満足そうに笑った。
「結構。西沢くんも無事成仏できたのかもしれないね」
 怪異体験クラブ、か……。信じられないのは山々だけど、いくらなんでも僕の部屋から呪いの本が消えたことは説明がつかない。僕ははっきり西沢かなえの幽霊を見たわけではないけど、それに近いものに出遭ったのは確かだ。
 そして――もし先輩の言葉が正しいなら、僕はこの先ごまんと怪異に遭遇するはずなのだ。もし入部届を出すなら、それを確かめてからでいいだろう。出す前にこの世とお別れになんてならなければいいけど。
 けど、そうはならない気がする。怪異体験クラブと真咲先輩がいればきっと、きっと大丈夫。真咲先輩はまたしても僕の心の内を読んだように、満足気に笑って言った。
「ようこそ、怪異体験クラブへ」
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