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優しい青年
しおりを挟む第四紀 四一〇年
トゥリアの生まれは、普通の農村であった。
「良いことって何?」
トゥリアの言葉に父は答える。
「それはね、人が喜ぶことをしてあげることさ、世界は不平等さ、でもね、それに流されてはいけないよ」
「うんわかった! 僕、いっぱいいいことをするね!!」
第四期 四二〇年
「トゥリアー! 手伝ってくれー!」
畑を耕す老人がトゥリアに声をかける。
「はあい!」
トゥリアはニコニコとしながら桑を持つと、老人と共に手伝いをする、すると次々と村民がパンや飲み物などを持ってきてくれた。
「いつもありがとうございます」
トゥリアが皆に言うと皆は笑う。
「いいんだよ!」
「いつも俺たちの方が助けられてんだ! こんなもん礼を言われるほどのことじゃねえよ!」
18歳になったトゥリアは村一番の優しい青年として有名であった、村民達もトゥリアに驕ることなく、とても良い関係性を築いていた、思伝により、人を助けることが得意であった、困っていればすぐに助ける、そうして人に信用されていった。
第四期 四九三年
「ああ.....みんな........」
皆に看取られ、トゥリアは孫の手を握りながら、ゆっくりと目を閉じる。
(俺は先に行くよ...みんな)
しかしその時、身体の痛みが突然消え、地面に倒れ伏す、そしてトゥリアがゆっくりと立ち上がると、そこには死んだはずの自分が横たわっていた。
状況を飲み込めず、トゥリアは手を見る。
「若返ってる...?」
そう口にした時であった。
「父さん!!」
トゥリアの息子が泣きながら叫ぶ。
[トゥリア]は死んでいた。
皆が泣く中、トゥリアはこの事実に困惑した。
そうしてトゥリアは、様々な人を渡り歩いた、初めはたくさんの人々を笑顔にし、たくさんの人を助け続けた。
飽きた
人を助けてみたけど、なぜかだんだんわかってきた、どんな顔をしていくのか、喜ぶ顔、全てが見飽きた。
冒険をしてみた、巨大なお宝、強いモンスター、仲間との絆、高揚する物だった。
飽きた
宝も力も絆も、やがて慣れてしまい、何も感じなくなり始めた。
王として過ごしてみた。
金銀の財宝、酒、女、城酒池肉林の日々、全てが豪華で最高の生活であった。
飽きた
楽しいのは最初だけ、刺激が少ないその生活はすぐにつまらないものになった。
犯罪を犯してみた、湧き出る興奮、圧倒的なまでの背徳感、殺し、奪い、泣かせ、今までとは違う感覚であった。
飽きた
犯罪も慣れてしまえば日常、それ以上の収穫というのはありえなかった。
もう自分は空っぽだ、自らが何をしても楽しくない、そうだ、今度は物語の主人公になるのではなく、物語を作ってみたい、それをみたら、俺は何か変われるだろうか?
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