拳銃スキルで異世界探訪~銃スキルは優秀、ただし使用者も優秀とは限らない~

摂政

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少女はダウナー? さぁ、お前の罪を数えてみよう

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 ‐‐‐‐胸糞悪いところだった。

 そう言い残して、俺はプラト、そして褒美としてくれたテイカと共に、湖の村ベートシャンを後にした。

「あんな村、滅びればいいんだよ」

「ちょっ……! ご、ご主人様」

「良いんだよ、もう村人もついてきてないだろう」

 結局、彼らはただのクズだ。
 はじまりの街フールシーにて俺は貴族から報酬として、プラトを貰った。それは俺自身を喜ばせようと思った行動だ、俺が喜んでいるかどうかはともかく。
 一方で、あの村のやつらは自らの生命源が危機的な状況の際に対して、こうして他の人を追い出す算段をしていたのだ。
 クズ以外の何者でもないだろう。

「まっ、俺はそう愚痴るだけで、実際に行動に起こしたりはしない。もし行動に移すとしたら‐‐‐‐それはお前の意思次第だ、テイカ」

 と、あの村で褒美いけにえとして俺に献上された少女、テイカ・アンダーソンにそう聞く。
 身長は恐らく2mあるだろう、顔だちも整っており、スタイルだってぼんっきゅっぼんと、ハードボイルド的なドラマで《妖艶な謎の女》感満載の抜群っぷり。そして普通の人間でないことを証明するようにその両手は茶色い毛皮に覆われた銀のかぎ爪、鼻は赤くて目は陽が眩しいのか糸目状態。そして足は土を掘るのに適した良く動く引き締まった脚。

「確か、モグラの獣人、だっけか?」

「はい、その通りでございます」

 ぺこり、と他人行儀な口調で、テイカ・アンダーソンはそう肯定した。
 モグラの獣人。地中を掘るのに適した身体で、さらに長く掘れるように爪も鋭くなっているのだとか。

「(‐‐‐‐コウモリにモグラ、ね。けっこう、レアケースな獣人と仲間になってないか、俺?)」

 フールシーに居た頃に見かけた獣人と言えば犬や猫、後は鳥、奇抜なところで狐とかだろうか。
 少なくとも日本に居た頃に読んだファンタジー作品では、獣人としてコウモリとモグラはあまり見たことがなかった。
 まぁ、俺としてはそう言うのはあまり構わないのだが。

「恨んでない、のか? 別に復讐が悪いと言うつもりはないし、お前が‐‐‐‐アンダーソンが望むのなら、俺の銃はいつだって火を噴く準備は出来てるぜ?」

 この世界の命の価値は、恐ろしく低い。
 次の日には隣を歩いていた見知らぬ誰かに殺されても、ダンジョンに潜っている最中におっちんでしまっていても、別に不思議じゃない。いつ死んでもおかしくない。
 だからこそ、この世界では元の世界と違って復讐が肯定されている。
 肯定されているというか、されてもしかたないという形だが。

「火を噴く? 主様は龍、もしくは魔法使いなんでしょうか?」

「いーや、俺の得物はこれだ」

 俺はそう言って、銃を、俺の相棒を見せる。それと同時にプラトも同じように、彼女に対して銃を見せていた。

「これは銃っていう、武器だ。まぁ、色々と活用方法はあるけれども、剣よりかは暗殺向きの武器だよ。
 相手を遠くから倒せるこの武器さえあれば、真っ向からじゃなくても倒せるぜ?」

 あくまでもこれはケジメ、って奴だ。
 彼女からして見れば、それだけやっても良いと思っている。だからこそ、それをやるべきだと、やっても良いのだと言っているのだが。

「えっと、テイカ……さん? ご主人様は優しいお方なので、別にそうしたら良いよというだけで‥‥…重く考えずに適度に」

「……!? ち、ちがうんです。本当に、あの村に復讐したいとか、そういったことは全然なくて」

 ……なんだか要領を得ない答えだ、と俺はそう思っていた。
 復讐よりも大事な問題があると、彼女はそう言っているような‐‐‐‐

「……じゃあ、なにが問題なんだ?
 そもそも教えてくれ、お前は何故あの村から追い出されることになったのかを」

 そう聞くと、彼女は‐‐‐‐テイカ・アンダーソンは丁度いいとばかりに、そこいらに転がっていた石を拾い上げる。

「その石がどうかしたのか?」
「えっと、なにを?」

 俺とプラトが戸惑っていると、テイカは「えいっ」と大した力を込めた込めた様子もなく、ただ単に先程拾った石をのせた拳を握りしめる。

----ごきっ!

 嫌な音と共に、彼女の拳から土埃がぽろりぽろりと零れ落ちてゆく。
 嫌な予感を感じる間もなく、彼女は拳を開けるとそこにはぼろぼろに砕けてしまって砂状という、無残な状況になってしまっている石の姿があった。

「私、どうも異常なまでに力が強すぎるみたいで、そのせいでこれくらいの意思なら簡単に壊せちゃって。
 モグラ系の獣人って、ただでさえ地面を掘るだけの筋力がありますが、私のは特に」

「異常体質……って訳か」

「はい。教会に調べて貰いましたら、私の武器を扱う適正はゼロ。その代わり、筋力は異常に高くて‐‐‐‐」

 先程のデモンストレーション、彼女は力を込めた様子は全然なかった。
 ただじゃんけんをするためにパーをグーにする程度の、ほんのちょっとした些細な動き。その程度で、石が物凄いものですり潰されたように、砂へと変わっていた。

「‐‐‐‐なにをしても壊してしまって、だから力仕事程度しか役立てなくて、なので褒美で差し出される程度しか価値がないんです」

 自嘲気味に、ただ笑うテイカ・アンダーソン。
 それを見て、俺は少しイラっとした。

 彼女は諦めきってしまっている。
 なにもかも、自分の境遇から。

「‐‐‐‐くそっ、イライラするな。おい」

「すいません、主様。私は役立たずで‐‐‐‐」

「それはあの村の、クズ達が言った言葉だろ?
 ‐‐‐‐お前がなにをした? どんな罪を犯してしまった? 俺にはそれが分からない。
 お前の罪はどれだけある?」

 完全に諦めきっている様子で、本当に嫌になる。
 
 ‐‐‐‐よし、1つ方針を決めた。

「‐‐‐‐テイカ・アンダーソン。
 今からお前に自信を、役割を与えてやろう」
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