拳銃スキルで異世界探訪~銃スキルは優秀、ただし使用者も優秀とは限らない~

摂政

文字の大きさ
11 / 21

盗賊は倒した! 最高の報酬と、胸糞悪い褒美

しおりを挟む
《太陽の盗賊ジョン・オンズが倒れました》
《経験値を獲得しました》
《スキル【発光弾】を獲得しました》
《【発光弾】の取得により新種拳銃【グレネード】を獲得しました》

 湖を占拠していた盗賊、ジョン。
 そいつは今、俺が放った異常成長する植物の下で潰されて倒されている。その盗賊を倒したことによって、俺は新たな能力を得たらしい。

「あの、ご主人様? なんだか頭の中で音が聞こえるんですが、これはいったい……」

「それは多分、レベルアップの音楽じゃないか?」 

「れべる……あっぷ?」

「気にしなくても良い、要するに強くなったという音だからな。そんなに気にしなくても良いだろう」

 どういう理屈かはまったく分からないのだが、経験値‐‐‐‐つまりは色々な勝負を経験することによって得られるモノが一定を越えると、強くなるみたいだ。まるでゲームのようだが、実際そうとしか説明できない。
 神の祝福だとか、生物に備わっている機能だとか‐‐‐‐色々とあるのだろうが、とりあえずそういう事が起きてる、そういう認識で良いだろう。
 どうやらこの様子だとプラトは一度も、レベルアップしてないみたいである。まぁ、奴隷人生だとそういうのもある、か。

「(とまぁ、俺はそんな事よりも能力の確認をするか)」

 ‐‐‐‐【グレネード】。
 俺は銃が大好きなことは少しは伝わってるとは思うのだが、俺が好きなのはあくまでも銃。カッコよく、男らしく、ダンディな銃については個人的に好きである。
 けれども、その分他の銃火器についてはあまり調べていない。
 俺の半端な知識で語ることがあるとすれば、栓を抜いて投げる小型の爆弾ということくらいである。

「(とりあえず、銃のスキルが増えたことは嬉しいことだ。どういうスキルかをきちんと確認しておこう)」

 銃に関連するので要らないスキルだとは思わないが、それでもどんなスキルなのかは知っておかなくては。

【グレネード……魔力を込めて、投てき用の爆弾を生み出すスキル。魔力の量によって、栓のついたグレネードを作成する。譲渡可能、作成交代可能スキル。
 発光弾……光の魔力を込めたグレネード弾の一種。辺りをまるで太陽を直視したかのように輝かせて、敵の目を潰すための投てき弾。ヌウェン神の加護を受けた者を倒した事で手に入れたスキル】

「投てき弾、ねぇ」

 とりあえず、今のうちに試しておくことにしよう。
 ‐‐‐‐っと、その前に……

「プラト、行くぞ」

「えっと、あの……なんだか、まだ音が鳴りやまないんですが……」

 マジ、か。普通だったらすぐにレベルアップの音楽は止まっている頃合いなんだろうけれども、それなのにまだ鳴り響くという事は、どれだけ、なんだろう……。
 まっ、そんな事よりもだ。

「上を見てみろ。さっきの盗賊野郎とは違って、土石で圧し潰そうという訳ではないから」

「……? あ、あれって」

 俺達の頭上。天空には盗賊のジョンを倒したためだと思われるが、大量の水が‐‐‐‐おそらく、この池に本来あったのであろう水がぷっかぷっかと浮かんでおり、その水が少しずつ落ちて、いや、元の場所である湖に戻ろうとしているみたいである。

「(……ボスを倒すことで、元に戻るのとか、丸っきりゲームみたいだな。おい)
 とりあえずこの場にいると、湖に戻るのに巻き込まれてしまいそうだ」

「はいっ……あっ、止まった」

 ……よしっ、とりあえずレベルアップも終わったらしい。
 こうして、俺達は無事にクエストを達成して、湖を後にしたのであった。



 村へと帰る前に、俺はこの【グレネード】スキルの検証を済ませることにした。このスキルには魔力がいるみたいなので、自前の魔力を持たない俺だとどこからか調達しないといけないんだよな、魔力。
 譲渡可能、と言うかグレネードを別の人に作ってもらう事は可能なのだが、プラトには前科があるからな。魔力を込めるスキルをやらせるのにはプラトは怖い。ダメ、ゼッタイ。

「よしっ、これくらいで良いだろう。プラト、ちょっとだけ離れてくれ。まだこのスキルの威力がどれだけか分かってないからな」

「はっ、はいっ!」

 とりあえずプラトには離れてもらい、その後魔力を地面からほんのちょっとばかり吸収。

 ……こう言った魔力を、身体に保存しておかないの、だって?
 甘いな。俺は魔力を持ってない人間だ、、それをスキルの効果によって無理やり自分の身体の中に魔力を込めているのだ。
 例えるならば金属のコップの中に溶解液を入れてるような感じ。汲む事は出来るが、長時間そのままだと溶けてしまう。つまりはそれに似た現象が今、俺の身体の中では行われているという事なのである。
 後は、やはりカッコわるいだろう? 準備をしっかりと行うのはカッコいいが、後で必要かもと思って保存するだけはいけない。そういう個人的な問題である。

「(さて、【グレネード】作成っ!)」

 魔力を少しばかり溜め、そしてスキル【グレネード】を発動。すると共に、俺の左手に黒い手袋が装着され、その手袋の上にグレネードが作られる。

 ----ピンのついた、金属質のパイナップル? みたいな感じかな。
 とりあえずこのパイナップルみたいな感じの部分に爆弾が詰まっていて、このピンはそれが誤爆しないようにしているという感じだろうか。

 とりあえず、投げてみることにした。

 ピンは割と簡単に抜くことが出き、そうすると爆弾の上にカウントダウンのような文字が現れる。そしてひょいっと投げると、宙を舞ってそのまま奥の方まで転がっていき‐‐‐‐グレネードは爆発する。
 爆発すると共に、グレネードがあった場所に穴が開いていた。

 ネズミが5匹ほど入るくらいの、大きさの穴。
 グレネードの大きさから考えると‐‐‐‐だいたい爆弾の大きさの5倍くらいだろうか。

「音もそんなにしなかった、ですよね?」

「そうだな。銃の方がやっぱり良いが、これはこれで使い道がありそうだ」

 譲渡や作成交代可能とは、恐らくこの手袋の事だろう。
 この手袋を渡すことで、それが可能となるだろう。とは言え、前述の通りにプラトには渡せんので、これは銃が使えなくなった場合の補助みたいな感じに思っておけば良いだろう。

 ‐‐‐‐グレネードの検証は成功した。スキルを解除して手袋を消す。
 そして、無事にベートシャンに戻ってきた。

「よしっ、と言う訳でクエストの報酬を貰いに行くとするか」

「はいっ、了解です。ご主人様」

 クエスト成功の報告、報酬もそうだが無事に湖を取り戻せたことを伝えるのが重要だ。
 これで不安に怯えることもなくなるに違いない。

 ……ふっ、ハードボイルドな俺の報告に、嬉しさで涙を見せてくれよ。



「さいっ、あっくだ」

 そう、"これ"は最悪の報酬だ。

「なにを仰いますか、勇者様」

 と、村長と名乗った人っぽいなにかはいけしゃあしゃあと俺にそう言う。

「ワンベート湖は我ら村人全員の命の生命線。これを復活させてくれたあなた方こそ、我が村の救世主。
 しかしあいにくと今、この村に報酬を支払う能力はございません。なにせ寂しい村ですから」

 嘘をつけ、と俺はそう心の中で言う。
 ギルドがクエストとして認定した以上、「払える!」という確固たる証拠があったからこそクエストとして認定されたのだ。

 要するに、あれだ。
 こいつらは金が惜しくなったのだ。

 こいつらが出したクエスト‐‐‐‐つまりはクエストになる前の申請書をギルドの方に頼んで見せてもらった。ギルドの方も、流石に"こんな状況"ならば見せてくれてもやぶさかではないらしく、申請はすぐに降りた。

 詳しい金額は省くが、報酬はこの村3年分の収入。湖事業で村人全員が生計を立てており、その湖が使えなくなったのだから、このくらいが妥当だという。
 出したときは良かったのだろう、しかし払う間際になって魔が差した。

「勇者様は、いや、救世主様はきちんと仕事をなさってくださいました。それなのにも関わらず、我々が報酬を支払わないわけにはなりません。それなので代案をご用意させていただきました」

 魔が差した、とは言ったが、恐らくは最初からそういうつもりだったらしいだろう。
 彼らの出したクエストにはクエストを出した者である発注者の名前が書かれていたのだが……そこには村の住人の名前が、"書かれていなかった"。
 実際には何人も、全員の名前が書かれていたのだが、そう、円状に。

 傘連判。
 あれだ。教科書に載っているような傘を思わせる、円状に全員の名前を書くことによって、首謀者が誰かが分からないようにするヤツ。
 分からない人は、大人か、そう言うのが詳しい人に聞いてくれ。

 で、だ。そこには俺達が見たテイカ・アンダーソンという女性以外、全員、"偽名"で記入してあった。
 勿論、最初から最後まで偽名だとすぐにバレる。だが、日本とは違い、識字率は異世界らしく(?)高くない。なのでつづりが違っていたり、あるいは名前の一部を交換してたりして、自分ではないと思わせるように名前を書いているのだ。

「本来ならば、我々全員が村の救出をしてくださったことに感謝して報酬を支払うべきなのでしょうね。
 残念ですねぇ、ここに書いてあるのはこの村人以外は、"聞いたこともない"名前でして」

 そう言って、村人達は彼女を差し出した。
 テイカ・アンダーソン。このクエストの中で唯一、本名を"書かされた"者であり‐‐‐‐

 ‐‐‐‐このクエストに対する褒美いけにえだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

処理中です...