俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第6章『ファイントは常に地獄に居る/覚醒ファイントの章』

第212話 VS幽鬼ノブナガ(2)

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「ふんっ!!」

 虚空からいきなり手の中に出現させた二丁拳銃で、幽鬼ミツヒデはマルガリータがばら撒いたアルター・フェザーを全て撃ち落としていた。
 そしてそのまま、次の攻撃へと移行する。

「----アイドルは歌が資本!」

 幽鬼ミツヒデはそう言うと、すーっと大きく息を吸う。

「それなら、こっちだって!!」

 アイドルとしての対抗意識からか、マルガリータもまた大きく息を吸う。

「「~~~~~~~~~!!」」

 同時に、2人は大きな声を出して、ぶつけ合う。
 それはお互いのプライドのぶつかり合い、トップアイドルを目指す者同士の意地のぶつかり合いだった。

「がはははっ!! 流石は同じ夢を持つ、トップアイドルを目指そうとする者達のぶつかり合いじゃのう!
 この意地のぶつかり合いの勝敗を見守りたいというのも一興じゃが、これは戦じゃから」

 そう言って、幽鬼ノブナガは自分の身体から骨を出して、それを1つに繋ぎ合わせていく。
 完成したのは2mを軽く超える長刀で、尖った骨がいくつも刀身から出ているのが特徴の刀。

「生前愛した光忠製には及ばぬが、これも良い刀じゃ。銘をとりあえず、【龍殺し】とでも名付けようかのう」

 幽鬼ノブナガはしゃれて、そう名付けたが、実際の目的はその龍殺し----つまりは、悪癖龍マルガリータを殺すためであった。


 【神階英雄:魔王】は、骨をぶつけた物を武器にする職業である。
 それは四大力も対象であり、つまりそれは【マナ】系統の【召喚士】に呼び出された召喚獣もまた対象である。

「(まぁ、とは言っても普通に身体にぶつけるだけじゃ、ダメじゃ。体内の血液に、直接、この骨をぶち当てないとダメなんじゃが)」

 そのために生み出したのが、この【龍殺し】という長刀である。
 剣は「叩く」「斬る」「突く」などを基本としているが、この【龍殺し】は"「抉る・・」"。
 刀身に尖った骨がいくつも出ているのは、相手の肉に直接食い込むことを想定しての事である。

「----どの骨が食い込むかなど、儂には分からん。分かるのは、これを相手の肉に食い込ませた瞬間、体内の血液と骨が反応して、武器としてくれることだけじゃ!!」

 幽鬼ノブナガは、マルガリータに向かって走る。
 その速さはかなりの速さであり、ミツヒデと戦うマルガリータは対処が遅れた。

「(----貰った!)」

 
 幽鬼ノブナガは、【龍殺し】を振るう。

 そして、それを"雪ん子が防いでいた"。

「《ぴっ! マルガリータ、主、知らない?!》」
「がはははっ!! そうか、一番強いお主もここに落ちていたのかっ!!」

 雪ん子は【龍殺し】をそのまま力を込めてへし折ると、マルガリータに視線を移す。
 そして、そのまま一気に状況を理解した。

 この2人は、敵。
 主さんは、ここには居ない。

 それだけ分かれば、雪ん子には十分であった。


「《私、こっちを殺る!》」
「じゃあ、可愛いボクはこっちだね!!」

 
 2人は、それぞれに対処する相手を決めた。
 雪ん子はノブナガを、マルガリータはミツヒデを。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「----トップアイドルは私の物ですんで!!」

 ミツヒデは龍の翼で飛び上がると共に、手にスナイパーライフルを出す。
 そして、銃弾を放つと、銃弾は勝手に複雑な弧の軌道を描きながら、マルガリータに向かって来る。

 明らかに自然の法則を無視した、銃弾の動き。
 なんらかのスキルかと判断したマルガリータの頭に、ぴこんっと閃きが生まれる。

「新しいスキル、ゲットしちゃったよ! 新スキル【アイドル杖術・撃】!」

 彼女が杖を振るうと、魔法が銃弾の形で生まれて、ミツヒデに迫る。
 ミツヒデは先程と同じように、息を大きく吸って、超音波を放つ。

「~~~!!」

 しかし、マルガリータの放った銃弾型の魔法は、ひょいっと超音波を避けて、ミツヒデにぶつかる。
 ミツヒデにぶつかると共に、ミツヒデは魔法によるダメージを受け、さらに周囲に綺麗なエフェクトが広がる。

「アイドルの力を与えられた銃弾型魔法は、可愛いボクの魅力と同じく、逃げられないんだよねぇ! そして、厄介なファンの攻撃も全て避けちゃう!」

 ----要約すれば、マルガリータの魔法は、必ず命中し、相手の攻撃は必ず避けるから防ぐことも出来ない。
 今しがた、マルガリータが発現させたスキルは、そんな恐ろしいスキルだったのである。

「----ぐはっ!!」

 それと同時に、ノブナガも吹っ飛ばされていた。
 雪ん子が放つ龍の形をした斬撃は、ノブナガを吹っ飛ばしていたのだ。

「こんなの、強すぎじゃよ?! 同じ【オーバーロード】なのに、強すぎじゃろうが! いくらなんでも!」
「《うるさいっ!!》」

 そしてもう一度、斬撃を放ち、ノブナガはミツヒデとぶつかる。

「よしっ! 今こそ、出番だね!」

 そうして、マルガリータは神経を集中させ、身体に力を高めていく。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 

 先日、マルガリータは冴島渉から1枚の紙を手渡された。

「雪ん子が要らないって言うから、だったらマルガリータに渡しておこうと思ってな。ほら、マルガリータはやってみたそうだったし」

 最初は、意味が分からなかったマルガリータではあったが、その紙の中身を見て、嬉し涙を流してしまった。
 あまりにも嬉しすぎて、アイドル的には禁止行為の1つである冴島渉へのハグをしてしまって、嫉妬心にかられた雪ん子に殺されてしまうなどのハプニングはあったのだが。

 つまり、何が言いたいかというと、その紙は【古代龍魔法】の使い方が書かれた紙であった。
 そう、彼女が望んだ、あの千山鯉が使っていた古代龍魔法をどのように発動すればいいかが明記された、彼女が待ち望んで仕方がない代物なのであった。

 それは、千山鯉が保険代わりに遺していた紙であった。
 主を救うために、生贄になることを選んだ千山鯉が、雪ん子に託した【古代龍魔法】の使い方を明記した紙なのであった。
 実際の所、その使い方に関しては、継承と同時に、雪ん子の本能に刻み込まれたため、必要なかったのだが。

 そして、必要なくなったはずのその紙が、今、マルガリータの手に渡ることによって、彼女が古代龍魔法を会得したのである。

「(----そう、そして古代龍魔法の欠点と改善案も、その紙には書いてあった。
 そして、この力は、この可愛いボクの力と合わさる事によって、さらなる進化を遂げちゃうんですよ!)」


 古代龍魔法、それは超強力な魔法。
 その欠点である魔力をほぼ使い切ってしまう所を失くしたのが、半古代龍魔法。
 そして、その魔法は、マルガリータの手によって、さらに生まれ変わる。


「半古代龍魔法の形成に、可愛いボクの魔力を半分。そして残ったもう半分の魔力を----」

 マルガリータは、千山鯉が見つけ出した「古代龍魔法は魔力を全て使わなくても良い、半分でも十分な威力が出る」という特性を使って、半古代龍魔法として強力な魔法を形成。
 そして、もう半分の魔力を使って----エルダードラゴンエッグ・アルターの力を使って、"別の異次元の世界"から大量の魔力を集めて、半古代龍魔法へと注ぎ込んでいく。

 既に完成してある半古代龍魔法に、別次元の世界の力がどんどん蓄えられていく。
 そして、それはマルガリータの力を、止め栓ストッパーにしているだけの、彼女のオリジナル魔法。

「この魔法は、可愛いボクの手を離れた瞬間、完成するっ!
 古代も、半古代も越えた、私だけのオリジナル魔法!」

「ヤバい……?! 儂の直感が死を、本能寺のあの時を予感させる?!」
「えぇ、こちらはあんたの腹心の猿が、迫った時を……!」

 2人の幽鬼に逃げる事すら許さず、マルゲリータはその魔法を放つ。


「----名付けて、"悪癖龍魔法"! その第1号、【マルガリータのブラックブレス】!!」


 そして、それは放たれた。
 放たれたその魔法は、2人の幽鬼を飲み込む。
 
 飲み込んだ後、異次元のエネルギーはアルター・フェザーと同じ効果を発揮する。
 つまり----エネルギーは、元々あった世界へ帰還する。

「可愛いボクが、いろんな世界のファンから貰ったエネルギー! 既に可愛いボクですら、どこから貰ったか分からない大量の世界から貰ったエネルギーは、あなた達の身体に纏われたまま、帰還する!」

 そして、2人の幽鬼は魔法に飲まれて消えていくのであった----。



(※)悪癖龍魔法
 悪癖龍マルガリータのみが使える、オリジナル魔法。彼女が、古代龍魔法の特性を理解し、半古代龍魔法をアレンジした末に完成させた
 半古代龍魔法によって判明した「半古代龍魔法を発動するのに、最低限必要な魔力量」----自身の全魔力の半分を使って、魔法の大元を作る。そして悪癖龍マルガリータの種族特性を利用し、残った魔力を全部使って、様々な異次元の世界からエネルギーを集めて、魔法の中に閉じ込めて、十分に攪拌させてから放つ
 放たれた魔法は、マルガリータというストッパーを失くしたことにより、真価を発揮する。この魔法に当たった全ての物は、異次元から来たエネルギーに複雑に絡み合い、そしてそれぞれの世界へ持っていかれる。身体が複数の色々な世界に持っていかれるため、召喚獣や魔物であろうとも、この魔法を喰らった場合、二度と元の姿には戻れない
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