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第6章『ファイントは常に地獄に居る/覚醒ファイントの章』
第216話(番外編) 友情と、協力と、《チーズフォンデュ》の幽鬼(2)
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【ガチャガ、シタイダケェェェェェェ!!】
そして、網走海渡が放った【居合=神話創生ダブルエム=】は、見事に幽鬼へとぶつかって、その硬い鍋の頭をぶっ潰していた。
鍋頭が壊されたことによって、ようやく世界幽鬼の動きが止まる。
【よいっしょっ、と】
これ以上、彼の手の中に居られるか!!
そうと言わんばかりに、大剣へと変化したダブルエムは、海渡の手から強制的に逃げ出す。
【----【再錬成:獣人】っと】
そして、またしても青い光が大剣を包み込んだかと思うと、大剣が人の姿へと変わっていく。
大剣から腕が、そして足が出て来て、刀身が消えて身体が現れる。
「おっ、人形態に戻った……のか?」
海渡はダブルエムの姿を見て、言葉を言い淀んでしまった。
彼女の姿は先程と同じく白衣姿ではあったのだが、前とは別の姿であったのだ。
猫耳! 猫の尻尾! 手は肉球っ!!
ダブルエムの姿は、猫を思わせる獣人姿へと変わっていたのである。
「人形態ではなく、人間に戻った----と言うか、獣人姿という感じですけど。
獣人の猫獣人、『身軽さに重きを置いた種族』です。この姿で、一気に【世界球体】を回収して----」
「かわ……」
「かわ……?」
いきなり、喋り出した海渡の言葉を復唱するダブルエム。
次の瞬間、海渡はダブルエムの肩を力強く掴んで----
「かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
むぎゅーっ!!
海渡は、ダブルエムを強く抱きしめていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
網走海渡は、別に猫がとりわけ好きな人間ではなかった。
そして、ダブルエムも、大剣からいつもの人間姿ではなく、獣人姿になったのは、彼女の意思ではなかった。
----魔剣ダブルエム。
ダブルエムが大剣姿へと変身したこの姿は、ダブルエムも網走海渡も意図しない副作用があった。
刀身を魔力で巡らせることで破壊力を何倍何十倍にも上げる力を持つ、魔剣ダブルエム。
その魔力を巡らせる際に、ダブルエムの刀身----つまり、身体を彼の魔力が何回も往復することになる。
その際、彼の趣味嗜好が、ダブルエムの脳内に刻み込まれたのだ。
普通ならそこで精神崩壊だとか、異常を検知するのだが、スキル【テセウスの船】を幾度も使用している彼女は、身体や魂をバラバラにしたことは多々あり、痛みなどを感じる機関が鈍っていた。
そして、ダブルエムは自分が意図しないうちに、彼の好みを知ってしまい、ダブルエムのスキルは(空気を読んで)その好みに合わせて変身したのである。
----そう。彼がもっとも、本能の奥底に隠して自分でも知らずにいるフェチを、目覚めさせたのだ。
「猫耳、可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
----すなわち、猫耳フェチである。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
一方で、困惑するのはダブルエムの方である。
彼女自身は、網走海渡を篭絡しようなどとは、一切毛ほども考えておらず、故に恐怖を覚えていた。
「俺、今こそ分かった! お前を見てると、心がときめいて、ヤバいくらいに心臓が鼓動している!!」
それは単なる、【魅了】の強化版みたいな状態である。
自分も知らなかったフェチ好みの人物を見て、情報が多すぎて、脳がバグっているだけである。
「----これは、恐らくお前に恋してるんだ!!」
だから、違うって。
「ダブルエム! 俺と、結婚を前提にした交際を申し込む!!」
そして、彼は交際を申し込んだのであった。
「……#ThX のNoバージョン。つまり、【ごめん被る】と返しておきますね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その一方、【世界球体】を取り外されてない世界幽鬼の方には、変化が訪れていた。
【ガチャ、レア……"って、何だっけ?"】
むくりっ。
何事もなく起きた世界幽鬼、その姿は変化を始めていた。
チーズ鍋の頭はそのままに、しかし手にしていた槍は消え、代わりに水晶が輝く魔法の杖を持っていた。
そして服に刻まれていた【世界幽鬼】の文字は消え、代わりに"【世界覚醒】"という文字が出ていた。
【さぁ! ガチャなんて知らないモノは忘れて、この私の為すべきことはただ1つ!
レッツ!! 世界をぜーんぶ、チーズフォンデュ!!】
先程までと違い、流ちょうな言葉で語り始めたその敵は、早速行動を開始するのであった。
===== ===== =====
《チーズフォンデュ》世界幽鬼が 覚醒しました
これにより 《チーズフォンデュ》覚醒幽鬼へと 変化しました
生前時の職業 【魔法使い】の力を 会得しました
特殊スキル【チーズ魔法】を 獲得しました
===== ===== =====
【さぁ、行くよ!! 特殊スキル【チーズ魔法】を発動するでフォンデュ!!】
(※)覚醒幽鬼
世界幽鬼の発展形。【世界球体】のエネルギーが幽鬼を支配し、生前の力と肉体を使えるようになった状態
世界幽鬼はただ使えるスキルを、狙いもつけずに攻撃するだけだった。しかし、覚醒して覚醒幽鬼となった場合、生前の時の職業の力を使えるようになり、意識もはっきりしているため、策なども弄すようになる
ダブルエム曰く『人間は世界で一番、欲深い種族であると同時に、欲がない種族である』。未練を持つという他の生物にはない特徴を有しているのに、その未練をあっさりと諦めるという二面性を持つ。
----故に、その悪性だけが【世界球体】を侵食し、覚醒幽鬼となることで世界を悪へと導く悪鬼となる
そして、網走海渡が放った【居合=神話創生ダブルエム=】は、見事に幽鬼へとぶつかって、その硬い鍋の頭をぶっ潰していた。
鍋頭が壊されたことによって、ようやく世界幽鬼の動きが止まる。
【よいっしょっ、と】
これ以上、彼の手の中に居られるか!!
そうと言わんばかりに、大剣へと変化したダブルエムは、海渡の手から強制的に逃げ出す。
【----【再錬成:獣人】っと】
そして、またしても青い光が大剣を包み込んだかと思うと、大剣が人の姿へと変わっていく。
大剣から腕が、そして足が出て来て、刀身が消えて身体が現れる。
「おっ、人形態に戻った……のか?」
海渡はダブルエムの姿を見て、言葉を言い淀んでしまった。
彼女の姿は先程と同じく白衣姿ではあったのだが、前とは別の姿であったのだ。
猫耳! 猫の尻尾! 手は肉球っ!!
ダブルエムの姿は、猫を思わせる獣人姿へと変わっていたのである。
「人形態ではなく、人間に戻った----と言うか、獣人姿という感じですけど。
獣人の猫獣人、『身軽さに重きを置いた種族』です。この姿で、一気に【世界球体】を回収して----」
「かわ……」
「かわ……?」
いきなり、喋り出した海渡の言葉を復唱するダブルエム。
次の瞬間、海渡はダブルエムの肩を力強く掴んで----
「かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
むぎゅーっ!!
海渡は、ダブルエムを強く抱きしめていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
網走海渡は、別に猫がとりわけ好きな人間ではなかった。
そして、ダブルエムも、大剣からいつもの人間姿ではなく、獣人姿になったのは、彼女の意思ではなかった。
----魔剣ダブルエム。
ダブルエムが大剣姿へと変身したこの姿は、ダブルエムも網走海渡も意図しない副作用があった。
刀身を魔力で巡らせることで破壊力を何倍何十倍にも上げる力を持つ、魔剣ダブルエム。
その魔力を巡らせる際に、ダブルエムの刀身----つまり、身体を彼の魔力が何回も往復することになる。
その際、彼の趣味嗜好が、ダブルエムの脳内に刻み込まれたのだ。
普通ならそこで精神崩壊だとか、異常を検知するのだが、スキル【テセウスの船】を幾度も使用している彼女は、身体や魂をバラバラにしたことは多々あり、痛みなどを感じる機関が鈍っていた。
そして、ダブルエムは自分が意図しないうちに、彼の好みを知ってしまい、ダブルエムのスキルは(空気を読んで)その好みに合わせて変身したのである。
----そう。彼がもっとも、本能の奥底に隠して自分でも知らずにいるフェチを、目覚めさせたのだ。
「猫耳、可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
----すなわち、猫耳フェチである。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
一方で、困惑するのはダブルエムの方である。
彼女自身は、網走海渡を篭絡しようなどとは、一切毛ほども考えておらず、故に恐怖を覚えていた。
「俺、今こそ分かった! お前を見てると、心がときめいて、ヤバいくらいに心臓が鼓動している!!」
それは単なる、【魅了】の強化版みたいな状態である。
自分も知らなかったフェチ好みの人物を見て、情報が多すぎて、脳がバグっているだけである。
「----これは、恐らくお前に恋してるんだ!!」
だから、違うって。
「ダブルエム! 俺と、結婚を前提にした交際を申し込む!!」
そして、彼は交際を申し込んだのであった。
「……#ThX のNoバージョン。つまり、【ごめん被る】と返しておきますね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その一方、【世界球体】を取り外されてない世界幽鬼の方には、変化が訪れていた。
【ガチャ、レア……"って、何だっけ?"】
むくりっ。
何事もなく起きた世界幽鬼、その姿は変化を始めていた。
チーズ鍋の頭はそのままに、しかし手にしていた槍は消え、代わりに水晶が輝く魔法の杖を持っていた。
そして服に刻まれていた【世界幽鬼】の文字は消え、代わりに"【世界覚醒】"という文字が出ていた。
【さぁ! ガチャなんて知らないモノは忘れて、この私の為すべきことはただ1つ!
レッツ!! 世界をぜーんぶ、チーズフォンデュ!!】
先程までと違い、流ちょうな言葉で語り始めたその敵は、早速行動を開始するのであった。
===== ===== =====
《チーズフォンデュ》世界幽鬼が 覚醒しました
これにより 《チーズフォンデュ》覚醒幽鬼へと 変化しました
生前時の職業 【魔法使い】の力を 会得しました
特殊スキル【チーズ魔法】を 獲得しました
===== ===== =====
【さぁ、行くよ!! 特殊スキル【チーズ魔法】を発動するでフォンデュ!!】
(※)覚醒幽鬼
世界幽鬼の発展形。【世界球体】のエネルギーが幽鬼を支配し、生前の力と肉体を使えるようになった状態
世界幽鬼はただ使えるスキルを、狙いもつけずに攻撃するだけだった。しかし、覚醒して覚醒幽鬼となった場合、生前の時の職業の力を使えるようになり、意識もはっきりしているため、策なども弄すようになる
ダブルエム曰く『人間は世界で一番、欲深い種族であると同時に、欲がない種族である』。未練を持つという他の生物にはない特徴を有しているのに、その未練をあっさりと諦めるという二面性を持つ。
----故に、その悪性だけが【世界球体】を侵食し、覚醒幽鬼となることで世界を悪へと導く悪鬼となる
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