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第8章『【街】/武装姫ヘミングウェイの章』
第296話 神となったモノ、ヒトならざるモノ
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「神? まさか本当に、神様になったとでも言うつもりですか?」
ちゃんちゃらおかしいとばかりに、大きな声を出すブイオー。
その大声はまるで、そんなことはあるはずないと、自分自身に言い聞かせているようでもあった。
「あなたを【殺す、それだけ殺す殺す殺す殺す殺す】-----」
「おぉ、おぉ。まるで壊れた"てれび"のようじゃのう」
狂ったかのように、殺すを連呼するブイオーに対し、ココアはそう笑うように告げる。
だがしかし、神となったココアの頭の中では、いまブイオーになにが起こっているのかという事が、全知全能の神としての力で如実に分かっていた。
「(感情の固定化、じゃと。ふざけおってからに)」
それはブイオーに【塔】という職業を与えた、絶望スカレットの力。
彼女は【パティシエ】という職業によって、ブイオーの感情を一定方向に、『ココアを殺したい復讐心』で練りに練って固めてしまっている。
これにより、ブイオーはどれだけ矛盾に気付こうが、どれだけ説得しようが、絶対にココアを殺すという、ただその目的を果たす怪物となった。
敵に寝返らない、何を言われようとも目的を果たす。
それは物語でいえば、英雄的な誇り高い行為とも言える。
だがしかし----それが自分の意思によって為されてる場合のみに限る。
「(今のブイオーは、ただそれだけしか"ぷろぐらみんぐ"されてない"ぱそこん"のようなモノ。妾に対する復讐心を果たすためなら、生物が持っておって不思議ではない逃走本能とやらが欠如しておる)」
未知に挑む冒険心というのは、確かに尊いモノ。
しかし、生物は時として、逃げる事だって必要な事である。
そこには『次に繋げる』という、確かな未来への第一歩が隠されているのだから。
神様に挑む-----それがどれだけ無謀な事なのか、ブイオーの頭では分かっている。
絶望スカレットによる【パティシエ】の能力によって頭が凝り固まっていなければ、彼女は『逃走』という理性的な手段を取っていたに違いない。
それが出来ないから、故障により、「殺す」と言い続けるロボットのようになってしまった。
叶わない相手を前にしても逃げない、それも確かに重要だ。
だが、今のブイオーはただ『逃げる』という行動がそもそもないだけだ。
そんなのは勇気でもなんでもない、ただの機械である。
「(これが、こんな事を平気でするのが、絶望スカレットじゃと……)」
その事に、ココアは腹が立って仕方がなかった。
生物としての自由意志を消し、ただ1つの行動を遂行させる----それは生物ではなく、ただの機械である。
----まさしくヒトの姿をして、行動をしているように見えるNPCそのものである。
「敵ながら、ヒト以下にさせられてるだなんて、誠に可哀想でありんす」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す----】」
理性を失くしたブイオーは、そう呟きつつ、彼女の職業は、神様と戦うための現状における最適解を叩きだす。
----スキル【救いの塔】。
----スキル【災いの種】。
【救いの塔】は、相手の攻撃を吸収し、回復しようとするとダメージを受ける。
【災いの種】は、相手の回復を自分のモノとし、攻撃を必要以上に受ける。
相反する効果を持つ2つのスキルが、ブイオーの身体の中で混ざり合い、【攻撃を吸収しつつ】【回復を我が物とする】長所のみを会得する。
こうして、ブイオーは短所を、弱点を失くして、無敵となった。
「まぁ、それで勝てれば、神様になぞならかったのじゃが。神の力、その一端を見せてやろう、ブイオーよ」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!】」
「深淵魔法【裁き】」
そして、魔法の名をココアは唱える。
ブイオーは無敵になりながらも、攻撃が来るのを構える。
だがしかし、攻撃は来ず、不発かとたかをくくった。
そして、そのままやられた。
「神となった妾の深淵魔法、それは対象そのものというよりも、対象が居る空間そのものに"あぷろーち"する魔法。いくら相手が不死になろうが、不滅になろうが、無敵になろうが、関係ない。
妾の魔法は、ブイオーの存在する空間そのものを破滅させるのじゃからのう」
そして、空間と共に、ブイオーは倒された。
「まぁ、知っておるがのう。妾は神、全知全能----お主の本体がそこにあるとのう」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す】」
そのブイオーは、巨大であった。
およそ10kmはありそうな巨体となったブイオーの全身は黄金に染め上げられており、その黄金のブイオーは背中の翼で悠々と浮かびながら、殺意の籠った呪言を、ココアへと向けていた。
「タロット番号16番、【塔】。またの名を----【神の家】」
「【殺す殺す殺す……】」
「推理しても達成感がないのう、妾は全能にて全てを知っておるし、犯人であるお主が語らぬじゃから」
やれやれと嘆きつつ、ココアはブイオーに視線を向ける。
「まぁ、ともかくお主の本体はこの地に降り立った時に見えた豪邸----そして今まで戦ってたのは、ただその力を付与していた分身……つまり今の妾と同じく、分身で戦っておったという事じゃ。
そして本体が出て来たという事は、つまり今の魔法が効かないようにスキルでなんとかしたという事じゃろうか? まぁ、なんでも良いわい」
----ぶぉんっ!!
次の瞬間には、ココアはブイオーと同じく、10kmの巨大な姿となって、ココアと相対する。
「神となった妾の攻撃方法が、先の一発な訳なかろう? たーっぷり、味あわさせてやるわい」
(※)【神の家】
ココアの職業、【塔】が持つスキルの1つ。自らを10kmを越える巨体へと変えつつ、黄金の家へと偽装変身する力を与える
タロットの【塔】は別名、【神の家】と呼ばれているのがこのスキルが生まれた理由であり、文字通り神様も入れる家へと姿を変えられるようになるスキル。神そのものではないにしろ、神の所有物そのものとなるため、本体である10kmを越すその巨体の本体には神と同等の力がある
(※)深淵魔法【裁き】
ココアの持つ神の力、その一端。相手がいかに強固であろうとも、それを無視して空間そのものを破壊して、相手を消滅させる力
たとえるなら相手は紙の上に描かれた絵であり、今までは同じ絵として戦ってきた。しかし深淵魔法【裁き】はその絵が描かれている紙そのものを破壊する力である
ちゃんちゃらおかしいとばかりに、大きな声を出すブイオー。
その大声はまるで、そんなことはあるはずないと、自分自身に言い聞かせているようでもあった。
「あなたを【殺す、それだけ殺す殺す殺す殺す殺す】-----」
「おぉ、おぉ。まるで壊れた"てれび"のようじゃのう」
狂ったかのように、殺すを連呼するブイオーに対し、ココアはそう笑うように告げる。
だがしかし、神となったココアの頭の中では、いまブイオーになにが起こっているのかという事が、全知全能の神としての力で如実に分かっていた。
「(感情の固定化、じゃと。ふざけおってからに)」
それはブイオーに【塔】という職業を与えた、絶望スカレットの力。
彼女は【パティシエ】という職業によって、ブイオーの感情を一定方向に、『ココアを殺したい復讐心』で練りに練って固めてしまっている。
これにより、ブイオーはどれだけ矛盾に気付こうが、どれだけ説得しようが、絶対にココアを殺すという、ただその目的を果たす怪物となった。
敵に寝返らない、何を言われようとも目的を果たす。
それは物語でいえば、英雄的な誇り高い行為とも言える。
だがしかし----それが自分の意思によって為されてる場合のみに限る。
「(今のブイオーは、ただそれだけしか"ぷろぐらみんぐ"されてない"ぱそこん"のようなモノ。妾に対する復讐心を果たすためなら、生物が持っておって不思議ではない逃走本能とやらが欠如しておる)」
未知に挑む冒険心というのは、確かに尊いモノ。
しかし、生物は時として、逃げる事だって必要な事である。
そこには『次に繋げる』という、確かな未来への第一歩が隠されているのだから。
神様に挑む-----それがどれだけ無謀な事なのか、ブイオーの頭では分かっている。
絶望スカレットによる【パティシエ】の能力によって頭が凝り固まっていなければ、彼女は『逃走』という理性的な手段を取っていたに違いない。
それが出来ないから、故障により、「殺す」と言い続けるロボットのようになってしまった。
叶わない相手を前にしても逃げない、それも確かに重要だ。
だが、今のブイオーはただ『逃げる』という行動がそもそもないだけだ。
そんなのは勇気でもなんでもない、ただの機械である。
「(これが、こんな事を平気でするのが、絶望スカレットじゃと……)」
その事に、ココアは腹が立って仕方がなかった。
生物としての自由意志を消し、ただ1つの行動を遂行させる----それは生物ではなく、ただの機械である。
----まさしくヒトの姿をして、行動をしているように見えるNPCそのものである。
「敵ながら、ヒト以下にさせられてるだなんて、誠に可哀想でありんす」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す----】」
理性を失くしたブイオーは、そう呟きつつ、彼女の職業は、神様と戦うための現状における最適解を叩きだす。
----スキル【救いの塔】。
----スキル【災いの種】。
【救いの塔】は、相手の攻撃を吸収し、回復しようとするとダメージを受ける。
【災いの種】は、相手の回復を自分のモノとし、攻撃を必要以上に受ける。
相反する効果を持つ2つのスキルが、ブイオーの身体の中で混ざり合い、【攻撃を吸収しつつ】【回復を我が物とする】長所のみを会得する。
こうして、ブイオーは短所を、弱点を失くして、無敵となった。
「まぁ、それで勝てれば、神様になぞならかったのじゃが。神の力、その一端を見せてやろう、ブイオーよ」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!】」
「深淵魔法【裁き】」
そして、魔法の名をココアは唱える。
ブイオーは無敵になりながらも、攻撃が来るのを構える。
だがしかし、攻撃は来ず、不発かとたかをくくった。
そして、そのままやられた。
「神となった妾の深淵魔法、それは対象そのものというよりも、対象が居る空間そのものに"あぷろーち"する魔法。いくら相手が不死になろうが、不滅になろうが、無敵になろうが、関係ない。
妾の魔法は、ブイオーの存在する空間そのものを破滅させるのじゃからのう」
そして、空間と共に、ブイオーは倒された。
「まぁ、知っておるがのう。妾は神、全知全能----お主の本体がそこにあるとのう」
「【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す】」
そのブイオーは、巨大であった。
およそ10kmはありそうな巨体となったブイオーの全身は黄金に染め上げられており、その黄金のブイオーは背中の翼で悠々と浮かびながら、殺意の籠った呪言を、ココアへと向けていた。
「タロット番号16番、【塔】。またの名を----【神の家】」
「【殺す殺す殺す……】」
「推理しても達成感がないのう、妾は全能にて全てを知っておるし、犯人であるお主が語らぬじゃから」
やれやれと嘆きつつ、ココアはブイオーに視線を向ける。
「まぁ、ともかくお主の本体はこの地に降り立った時に見えた豪邸----そして今まで戦ってたのは、ただその力を付与していた分身……つまり今の妾と同じく、分身で戦っておったという事じゃ。
そして本体が出て来たという事は、つまり今の魔法が効かないようにスキルでなんとかしたという事じゃろうか? まぁ、なんでも良いわい」
----ぶぉんっ!!
次の瞬間には、ココアはブイオーと同じく、10kmの巨大な姿となって、ココアと相対する。
「神となった妾の攻撃方法が、先の一発な訳なかろう? たーっぷり、味あわさせてやるわい」
(※)【神の家】
ココアの職業、【塔】が持つスキルの1つ。自らを10kmを越える巨体へと変えつつ、黄金の家へと偽装変身する力を与える
タロットの【塔】は別名、【神の家】と呼ばれているのがこのスキルが生まれた理由であり、文字通り神様も入れる家へと姿を変えられるようになるスキル。神そのものではないにしろ、神の所有物そのものとなるため、本体である10kmを越すその巨体の本体には神と同等の力がある
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