俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第9章『失楽園のツクり方/冒険者サエジマ・ワタルの章』

第310話 マルガリータVSヘミングウェイ(1)

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【もっと、ちょうだあああああああああああ!!】

 マルガリータが能力の確認をしていると、ヘミングウェイが氷の右腕で斬りかかろうとしていた。
 いきなりの攻撃、それこそ何の前触れもなかったが、マルガリータが冷静で居られたのは、魔黄金龍マルガリータ・ラードンへと進化した際に得たスキル【百頭のドラゴン】、そしてスキル【眠らずのラードン】の2つであった。

 同時にいくつものことを並列で考えることが出来るスキル【百頭のドラゴン】。
 眠りを必要とせず、常に生命力が満ち満ちており、体力が常時回復するスキル【眠らずのラードン】。
 この2つが組み合わさる事により、どんな状況だろうとも警戒する人格システムを作り上げたのである。

「(まぁ、可愛いボクの顔を、ほんの少し曇らせる程度には驚いたけどね)」

 ヘミングウェイの、いきなりの攻撃。
 それは文字通り、常に相手の動向に目を光らせていた別人格システムにとっても、文字通りのいきなりの攻撃であった。

「行動が明らかにおかしかったんですけど、それがその姿の能力なのかな?」
【もっと! もっとぉぉぉぉぉぉ!!】
「会話くらいは、して欲しいけどね。可愛いボクとの会話が、退屈だと思われるのは、心外だよ~」

 次の瞬間、マルガリータは殴り飛ばされていた。
 ヘミングウェイに殴られたというのを知ったのは、殴り飛ばされた後だった。

「(えっ?! いつの間に殴られたの?!)」

 大切な、アイドルとして大切な顔を冷やしつつ、マルガリータは今の行動が全く分からなかった。
 マルガリータのステータスならば、よほど隙を見せなければ、相手の行動を目で追えないということはない。

 ----にも関わらず、ヘミングウェイの攻撃が一切見えなかった。

 いつ歩き出したのか、いつ拳を突き出したのか、いつその拳が顔にぶつかったのか。

 まったく、全然、いっさい分からなかったのだ。

【いくよぉぉぉぉおおおお! やるぉよぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!】
「くっ----!!」

 顔だけでも守ろうと、腕を構える。
 ……だけれども構えようとして、また殴られていた・・・・・・

「また、顔?! もう次こそ----」
【やるよ、やるよ、やるよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!】

 一度、二度、三度----。
 何度も何度も、顔だけではなく、身体全体を、恐竜を思われる強力な力によって殴られていたのだ。

「もうっ、ヘミングウェイちゃんったら! 私の顔も、身体も、アイドルとして重要なモノとして認識しといてよね!」

 ドラゴニック杖術によって、高性能な回復魔法を自身にかけつつ、マルガリータは愚痴ぐちっていた。
 
「私、こう見えて視力には自信があるつもりなんだけども?!」

 それなのにも関わらず、毎回攻撃が一切認識出来ないという事態に、ほんの少しだけマルガリータは落ち込んでしまっていた。

 なんらかのスキルである事は間違いないが、攻撃が認識できなくなる類のスキルでも持っているのだろうか。
 理屈がさっぱり分からず、マルガリータは考える事を止めた。

 ヘミングウェイの攻撃を受ける事は避けられないモノだと認識し、マルガリータは自らも攻撃する事にした。



 攻撃を決めたマルガリータは、

 ----すかっ!!

【いたあああああああいいいいいいい! きもちいいいいいいいい!!】

 マルガリータには、いっさい殴った感触はなかった。
 空気でも殴ったかのように、なにかに触れたという感覚もなかった。

 それなのにも関わらず、ヘミングウェイは気持ちよさそうに痛がっていた。
 まるで、ドエムであるヘミングウェイが攻撃を受けた時のような反応である。

「当たった……?」

 感触の阻害するスキルかなにかで触れたのを認識できてないだけかとも思ったが、手になにか触れた跡もない。
 まさしく、『ただヘミングウェイが攻撃を受けて、吹っ飛ばされた』という事しか分からなかった。

「----よく分からないけど、仲間に戻った時に強くなりそうだし、なんとか仲間に戻さないとね!
 可愛いボクが、プロデューサーが起きる前になんとかしませんとね!」

 気持ちを新たに、マルガリータは戦いを決意するのであった。
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