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小話いろいろ
バルスさんってこんな人(だった)
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「あ、おはようございます。ギルドマスター」
「おう、おはよう」
「あ、ギルマス! 昨日はありがとうございました! おかげで命拾いしました」
「気にするな。また困った事があればいつでもいいに来いよ」
「はい!」
彼がギルド1階に下りれば誰もが彼に尊敬の眼差しを向けていた。
鋭い眼光と猛々しい容貌。鍛え上げられた肉体は歴戦の勇者を思わせる。誰にでも気さくに声を掛け、その見た目に反して意外と細かいところにまで目が行く冒険者ギルドローウェル支部の顔。
多くの者に慕われ、頼りにされ、国王さえも一目置く冒険者ギルドの元Sランク冒険者。
それがギルドマスター、バルス・デリアードに対する周りの者達の評価だ。
いや、だった……か。
「ジュエル、応接室の準備なんてしてどうした?」
「あら、バルス様。冒険者のエマリア様の要請で高額な品の取引をするのですわ」
「高額な買い取り? エマリアっていうと確かうちのギルドで唯一のエルフの嬢ちゃんだったか。確か随分な美人でみんな仲良くなりたいとか言ってたな」
「そう、そのエマリア様ですわ。今日は中々の品をお持ちになられたので応接室でお受けしますの」
「ほう? それは気になるな。お前が中々という品はかなりの品だろう?」
「ふふふ、楽しみにしていてくださいませ。では私は二人を呼んでまいりますので失礼しますわ」
「お? おう」
副ギルドマスター、ジュエルはそのままバルスの元を後にした。
「ジュエルの奴、軽くスキップまでしてやがったな。本当にかなりの品なんだな。……どんな物だろうか? ちょっと気になるな。……そういえばさっき二人って言っていたな。確かエマリア嬢はソロの冒険者だと記憶していたが、いつの間に誰かと組んだんだ? 男衆はなんとかパーティーに入ってほしいけど中々声を掛けにくくて上手くいかないとか言っていたが、どこのどいつが上手くやったんだ?」
しばし考えてみるが、勿論思い浮かぶ相手はいなかった。
「ちょっと気になるなぁ。……よし、どんな奴が相手か見てみるか。それに品物が何かも見てみたいしな。この応接室でやるんだろ。ここで待ってみるか。ジュエルの奴、俺がいると知ったら睨んでくるかもしれないな。でも、まあ、気になるものは気になるんだからしょうがないよな!」
そう言ってバルスは応接室へと入っていった。
この日から彼の周りからの評価が大変なことになるとも露知らずに……。
「やっぱりあの日無理にでも叩き出しておけばよかったのかしら? ふぅ」
(……無駄じゃない?)
勿論主神様の声などジュエルさんには聞こえないわけで。
「おう、おはよう」
「あ、ギルマス! 昨日はありがとうございました! おかげで命拾いしました」
「気にするな。また困った事があればいつでもいいに来いよ」
「はい!」
彼がギルド1階に下りれば誰もが彼に尊敬の眼差しを向けていた。
鋭い眼光と猛々しい容貌。鍛え上げられた肉体は歴戦の勇者を思わせる。誰にでも気さくに声を掛け、その見た目に反して意外と細かいところにまで目が行く冒険者ギルドローウェル支部の顔。
多くの者に慕われ、頼りにされ、国王さえも一目置く冒険者ギルドの元Sランク冒険者。
それがギルドマスター、バルス・デリアードに対する周りの者達の評価だ。
いや、だった……か。
「ジュエル、応接室の準備なんてしてどうした?」
「あら、バルス様。冒険者のエマリア様の要請で高額な品の取引をするのですわ」
「高額な買い取り? エマリアっていうと確かうちのギルドで唯一のエルフの嬢ちゃんだったか。確か随分な美人でみんな仲良くなりたいとか言ってたな」
「そう、そのエマリア様ですわ。今日は中々の品をお持ちになられたので応接室でお受けしますの」
「ほう? それは気になるな。お前が中々という品はかなりの品だろう?」
「ふふふ、楽しみにしていてくださいませ。では私は二人を呼んでまいりますので失礼しますわ」
「お? おう」
副ギルドマスター、ジュエルはそのままバルスの元を後にした。
「ジュエルの奴、軽くスキップまでしてやがったな。本当にかなりの品なんだな。……どんな物だろうか? ちょっと気になるな。……そういえばさっき二人って言っていたな。確かエマリア嬢はソロの冒険者だと記憶していたが、いつの間に誰かと組んだんだ? 男衆はなんとかパーティーに入ってほしいけど中々声を掛けにくくて上手くいかないとか言っていたが、どこのどいつが上手くやったんだ?」
しばし考えてみるが、勿論思い浮かぶ相手はいなかった。
「ちょっと気になるなぁ。……よし、どんな奴が相手か見てみるか。それに品物が何かも見てみたいしな。この応接室でやるんだろ。ここで待ってみるか。ジュエルの奴、俺がいると知ったら睨んでくるかもしれないな。でも、まあ、気になるものは気になるんだからしょうがないよな!」
そう言ってバルスは応接室へと入っていった。
この日から彼の周りからの評価が大変なことになるとも露知らずに……。
「やっぱりあの日無理にでも叩き出しておけばよかったのかしら? ふぅ」
(……無駄じゃない?)
勿論主神様の声などジュエルさんには聞こえないわけで。
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