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2017年 季節小話
七月七日 七夕たなばた小話
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「イエーイ! 七夕おめでとう!」
「エマリアさん、急にどうしたの?」
なぜかエマリアさんのテンションが高い。一体どうしたんだ?
「あれ? 七夕って何かのお祭りって聞いたんだけど……」
「確かにお祭りは各所でやるけど、そんなハイテンションにならなくても……」
「じゃあ七夕って何なの?」
「えーと……何だろ?」
そう言えば、『何?』と聞かれるとどう答えていいのか分からないな。
「七夕というのは元々中国の行事だな。多くの場合、神事は7月6日の夜から7月7日の早朝に掛けて行われるらしい。これは午前1時くらいに、七夕の主要とな星、『天の川』『牽牛星』『織女星』の三つが最も見ごろになるからとも言われているらしい。短冊に願いを書き、笹や竹を飾るのが一般的かな? 全国的に祭りもあるから一概に間違ってもいないぞ?」
「へぇ、やっぱり詳しいね、候兄」
「ははは、ヴィキベディアの情報だ」
「なんだ、やっぱり七夕ってお祭りなんじゃない」
「いやでも、もう少し厳かな雰囲気でやった方が願いが叶いそうじゃない?」
「そういうものかしら……?」
「まあ、天の川の伝説『織姫と彦星』にちなんだ祭りだからな。黙る必要はないが、礼節ある態度でいた方が願いが叶いそうな気はするよな」
「オリヒメとヒコボシ? 何の話?」
「確か……働き者の織姫と彦星を結婚させたら、夫婦生活が楽しいあまり働かなくなった二人を、神様が天の川で隔てて年に一度しか会えないようにしたっていう伝説じゃなかったっけ?」
「何それ。結婚して働かなくなった夫婦も夫婦だけど、それくらいで夫婦を強制的に別居させる神様も神様ね。一体何の権利があって愛する二人を引き裂いてるの? 最低ね」
「エマリアさん的にはそうなるんだ……」
「要するに、年に一度しか会うことの許されない夫婦のいじらしい愛がロマンスとして語り継がれているってことだ。まるで今の俺達のようだな、ヒビキ」
「俺達?」
「ちょっと! それを言うなら私の方がその話に合ってるじゃない! あなたは黙ってて!」
「なっ!? 女だからって調子に乗るなよ?」
「会えないのは俺だって同じだろうが! ヒビキと会えなくて寂しい思いをしてるのは俺だ!」
「突然どうしたの!? バルス兄貴!」
「ちょっと、出しゃばらないで、バルス!」
「まあまあ、なんでしたら、私が代わって差し上げてもよろしいですわよ? エマリア様」
「ジュエルまでっ!?」
「ふんっ! 貴殿らはそのように稀にヒビキ様に会える程度で十分でしょう。そんなものより、私は毎日ヒビキ様にお会いしたいので、ご遠慮させていただきます」
「どうしたの、クロード?」
「「「ふざけんなっ!!!」」」
「う、うるせえ……ヒビキばっかり綺麗なお姉さんに追われやがって。妬ましい!」
「大樹、言ってないでこれ、どうにかしてよ! なんであの四人、にらみ合ってるの!」
「ふふふ、少し煽っただけですのに、エマリア様ったら、可愛い♪」
「ジュエルさん!? なんてことしてくれるの!?」
「「「いい加減、ヒビキに会わせろおおおおおおおおおおおお!!!」」」
『七夕の願いは……叶いませんでしたとさ。めでたしめでたし!』
「主神様! ちょっとくらい叶えてあげてよ!」
「エマリアさん、急にどうしたの?」
なぜかエマリアさんのテンションが高い。一体どうしたんだ?
「あれ? 七夕って何かのお祭りって聞いたんだけど……」
「確かにお祭りは各所でやるけど、そんなハイテンションにならなくても……」
「じゃあ七夕って何なの?」
「えーと……何だろ?」
そう言えば、『何?』と聞かれるとどう答えていいのか分からないな。
「七夕というのは元々中国の行事だな。多くの場合、神事は7月6日の夜から7月7日の早朝に掛けて行われるらしい。これは午前1時くらいに、七夕の主要とな星、『天の川』『牽牛星』『織女星』の三つが最も見ごろになるからとも言われているらしい。短冊に願いを書き、笹や竹を飾るのが一般的かな? 全国的に祭りもあるから一概に間違ってもいないぞ?」
「へぇ、やっぱり詳しいね、候兄」
「ははは、ヴィキベディアの情報だ」
「なんだ、やっぱり七夕ってお祭りなんじゃない」
「いやでも、もう少し厳かな雰囲気でやった方が願いが叶いそうじゃない?」
「そういうものかしら……?」
「まあ、天の川の伝説『織姫と彦星』にちなんだ祭りだからな。黙る必要はないが、礼節ある態度でいた方が願いが叶いそうな気はするよな」
「オリヒメとヒコボシ? 何の話?」
「確か……働き者の織姫と彦星を結婚させたら、夫婦生活が楽しいあまり働かなくなった二人を、神様が天の川で隔てて年に一度しか会えないようにしたっていう伝説じゃなかったっけ?」
「何それ。結婚して働かなくなった夫婦も夫婦だけど、それくらいで夫婦を強制的に別居させる神様も神様ね。一体何の権利があって愛する二人を引き裂いてるの? 最低ね」
「エマリアさん的にはそうなるんだ……」
「要するに、年に一度しか会うことの許されない夫婦のいじらしい愛がロマンスとして語り継がれているってことだ。まるで今の俺達のようだな、ヒビキ」
「俺達?」
「ちょっと! それを言うなら私の方がその話に合ってるじゃない! あなたは黙ってて!」
「なっ!? 女だからって調子に乗るなよ?」
「会えないのは俺だって同じだろうが! ヒビキと会えなくて寂しい思いをしてるのは俺だ!」
「突然どうしたの!? バルス兄貴!」
「ちょっと、出しゃばらないで、バルス!」
「まあまあ、なんでしたら、私が代わって差し上げてもよろしいですわよ? エマリア様」
「ジュエルまでっ!?」
「ふんっ! 貴殿らはそのように稀にヒビキ様に会える程度で十分でしょう。そんなものより、私は毎日ヒビキ様にお会いしたいので、ご遠慮させていただきます」
「どうしたの、クロード?」
「「「ふざけんなっ!!!」」」
「う、うるせえ……ヒビキばっかり綺麗なお姉さんに追われやがって。妬ましい!」
「大樹、言ってないでこれ、どうにかしてよ! なんであの四人、にらみ合ってるの!」
「ふふふ、少し煽っただけですのに、エマリア様ったら、可愛い♪」
「ジュエルさん!? なんてことしてくれるの!?」
「「「いい加減、ヒビキに会わせろおおおおおおおおおおおお!!!」」」
『七夕の願いは……叶いませんでしたとさ。めでたしめでたし!』
「主神様! ちょっとくらい叶えてあげてよ!」
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