40 / 51
2018年 季節小話
季節小話『3月3日は雛祭り』
しおりを挟む
◆◇◆2018年3月3日 本編にて掲載した小話の転載です。
★登場人物 ヒビキ、クロード
「……ヒビキ様、確か土日は更新をしないはずでは?」
「本編はね。なんか、作者の人が季節ものの小話に挑戦したいとかで時々こうやって小話を更新するらしいよ」
「いやだから、こんなものを書く暇があるのなら本編をバンバン進めてくれた方がいいと以前にも伝えたはずなのですが、何をやっているのでしょうか?」
「まあ、あれでしょ? 息抜き的な?」
「そういうセリフはもっとたくさん更新してからしてほしいものです」
「否定はしないけどねぇ」
「ところでヒビキ様、雛祭りとは何ですか?」
「クロード、発言が唐突過ぎる」
「申し訳ございません。それで、雛祭りとは何でしょうか? 突如頭に情報がよぎって意味が分からないのです」
「何それ怖いよ作者さん。この世界にも、正直俺達にもほとんど関係ない行事なのに」
「そうなのですか? ……それで、雛祭りとは何なのですか?」
「今日は俺の故郷、日本の暦で3月3日。桃の節句とも呼ばれる日だね。日本では女の子の健やかな成長を祈る日だよ」
「……あの、なぜ登場人物が私達だけなのでしょうか? うちにはユーリもリリアンも、今ならパトリシア様やクレアンナ殿と、女性には事欠かないはずなのですが」
「俺に聞かれても困るよ。あえて女性キャラを登場させないところに作者の思惑を感じるね」
「ヒビキ様、だから今、物語の進行を無視して『男』に戻っているのですね」
「だってこれ、完全に俺にお雛様役をやらせようって魂胆が透け切ってるんだもの。やらないよ、俺」
「お雛様役とは何をするのですか?」
「要するにコスプレだよ。ほら、これ雛人形の写真」
「……ほお、これは……ヒビキ様がお召しになれば大変お美しくなりそうな」
「……着ないからね」
「残念です」
「そんなことより、せっかくだからひし餅でも食べようよ」
「ふむ? 赤、白、緑の三色の……『もち』とは何でしょうか?」
「ああ、クロードは餅を知らないのか。お米から作るパンみたいな物だよ」
「これが、パンですか……」
「あくまでみたいなものね。美味しいよ?」
「そうですか、いただきます。……ほお?独特の食感ですね。ふむ……もちもちするから『もち』ですか。なかなかに奥が深い」
「いや、しっかりきっぱり安直だと思うけど……」
「ところでヒビキ様。この赤、白、緑の色分けには何か意味があるのでしょうか?」
「基本的には厄除けとか健康祈願じゃなかったかな? さっきも言ったけど雛祭りは『桃の節句』とも言われていて、ひし餅は桃を現しているらしいよ」
「これが、桃ですか?」
「緑が『萌える若草』、白が『残雪』、赤が『桃』だね。雪の下に若草が芽吹き、解け始めた雪の上には美しい桃の花が咲いている。そんな光景を現しているんだよ」
「それは……そう言われて想像すると、何やら風流な景色ですね」
「昔の人は想像力豊かだったんだろうね。そう思って食べると、心が洗われた気分になるよ」
「はい、確かに。……とはいえ、この『もち』というのは焼いて食べると芳ばしくて美味しいですが、もう少し何か味があった方が美味しいと思います。もぐもぐ」
「え? クロード、俺が用意した醤油、使ってないの?」
「はい? 『しょーゆ』? ――ゴクン」
「焼いた餅は醤油をつけて食べた方が美味しいのに。――はふはふもぐもぐ……うん、美味い」
「あ、あの、ヒビキ様……私にもひとくち……」
「やーだ」
「そ、そこを何とか」
「だーめ」
(うおおおっ! ダメと言いながら舌を出すのは反則です。可愛すぎるううう!)
「もぐもぐ。男だけで申し訳ないけど、雛祭りおめでとうございます」
「……そう仰るなら女性になればよいではありませんか」
「それは断る……もぐもぐ」
★登場人物 ヒビキ、クロード
「……ヒビキ様、確か土日は更新をしないはずでは?」
「本編はね。なんか、作者の人が季節ものの小話に挑戦したいとかで時々こうやって小話を更新するらしいよ」
「いやだから、こんなものを書く暇があるのなら本編をバンバン進めてくれた方がいいと以前にも伝えたはずなのですが、何をやっているのでしょうか?」
「まあ、あれでしょ? 息抜き的な?」
「そういうセリフはもっとたくさん更新してからしてほしいものです」
「否定はしないけどねぇ」
「ところでヒビキ様、雛祭りとは何ですか?」
「クロード、発言が唐突過ぎる」
「申し訳ございません。それで、雛祭りとは何でしょうか? 突如頭に情報がよぎって意味が分からないのです」
「何それ怖いよ作者さん。この世界にも、正直俺達にもほとんど関係ない行事なのに」
「そうなのですか? ……それで、雛祭りとは何なのですか?」
「今日は俺の故郷、日本の暦で3月3日。桃の節句とも呼ばれる日だね。日本では女の子の健やかな成長を祈る日だよ」
「……あの、なぜ登場人物が私達だけなのでしょうか? うちにはユーリもリリアンも、今ならパトリシア様やクレアンナ殿と、女性には事欠かないはずなのですが」
「俺に聞かれても困るよ。あえて女性キャラを登場させないところに作者の思惑を感じるね」
「ヒビキ様、だから今、物語の進行を無視して『男』に戻っているのですね」
「だってこれ、完全に俺にお雛様役をやらせようって魂胆が透け切ってるんだもの。やらないよ、俺」
「お雛様役とは何をするのですか?」
「要するにコスプレだよ。ほら、これ雛人形の写真」
「……ほお、これは……ヒビキ様がお召しになれば大変お美しくなりそうな」
「……着ないからね」
「残念です」
「そんなことより、せっかくだからひし餅でも食べようよ」
「ふむ? 赤、白、緑の三色の……『もち』とは何でしょうか?」
「ああ、クロードは餅を知らないのか。お米から作るパンみたいな物だよ」
「これが、パンですか……」
「あくまでみたいなものね。美味しいよ?」
「そうですか、いただきます。……ほお?独特の食感ですね。ふむ……もちもちするから『もち』ですか。なかなかに奥が深い」
「いや、しっかりきっぱり安直だと思うけど……」
「ところでヒビキ様。この赤、白、緑の色分けには何か意味があるのでしょうか?」
「基本的には厄除けとか健康祈願じゃなかったかな? さっきも言ったけど雛祭りは『桃の節句』とも言われていて、ひし餅は桃を現しているらしいよ」
「これが、桃ですか?」
「緑が『萌える若草』、白が『残雪』、赤が『桃』だね。雪の下に若草が芽吹き、解け始めた雪の上には美しい桃の花が咲いている。そんな光景を現しているんだよ」
「それは……そう言われて想像すると、何やら風流な景色ですね」
「昔の人は想像力豊かだったんだろうね。そう思って食べると、心が洗われた気分になるよ」
「はい、確かに。……とはいえ、この『もち』というのは焼いて食べると芳ばしくて美味しいですが、もう少し何か味があった方が美味しいと思います。もぐもぐ」
「え? クロード、俺が用意した醤油、使ってないの?」
「はい? 『しょーゆ』? ――ゴクン」
「焼いた餅は醤油をつけて食べた方が美味しいのに。――はふはふもぐもぐ……うん、美味い」
「あ、あの、ヒビキ様……私にもひとくち……」
「やーだ」
「そ、そこを何とか」
「だーめ」
(うおおおっ! ダメと言いながら舌を出すのは反則です。可愛すぎるううう!)
「もぐもぐ。男だけで申し訳ないけど、雛祭りおめでとうございます」
「……そう仰るなら女性になればよいではありませんか」
「それは断る……もぐもぐ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
901
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる