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2018年 脱稿小話
脱稿小話『3月9日はサンキューの日』
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◆◇◆2018年3月9日 本編にて掲載した小話の転載です。
★ 登場人物 ヒビキ・クロード・???
「というわけでいつもありがとう、クロード。これは心ばかりの感謝の品です」
「ヒビキ様……! とても嬉しいです、こちらこそありがとうございます! ……それはそうと、やはり本日もゴロ合わせなのですね。毎度のことながら、ヒビキ様の故郷の方々は本当に言葉遊びが好きなことで」
「否定はできないなぁ。他には日本雑穀協会より『雑穀の日〈ざっ(3)こく(9)〉』とか、何とお酢のメーカーさんからは『酢酸の日〈さ(3)く(9)さん〉』とか」
「これも毎度のことながら、なかなかに強引ですね。ざっこくに3,9を合わせるとは力技過ぎるのではないかと」
「うーん、でも日本雑穀協会では今日きちんと何かやってたらしいよ? 『日本雑穀アワード2018金賞受賞式』とか。某有名お酢メーカーだって……あれ? それらしいスケジュールがないな」
「ガセ情報でしたか?」
「うーん、どうなんだろう? 噂話とかなのかな?」
「ヒビキ様、その会社では9月6日を『黒酢の日〈黒(9,6)酢〉』と制定しているようですよ」
「あ、本当だ。でも3月9日のことは見当たらないみたい。まあ、別にいいんだけど」
「確かに、正直どうでもいいことでしたね」
「ゴロ合わせじゃない記念日もあるよ。その名も『記念切手記念日』」
「キネンキッテキネンビ……何やら大変言いづらい名前の記念日ですね」
「俺達の故郷で初めて記念切手が発行された日なんだって。ちなみに発行されたのは1894年(明治27年)。明治天皇成婚25周年記念の切手だよ」
「確か天皇とはこちらでいうところの国王や皇帝のことでしたか」
「その通り。当時はどうだったのかな? 購入者の行列とかできていたのかな?」
「……ところでヒビキ様、ひとつ質問が」
「何?」
「『きって』とは何ですか? 何か切るのですか?」
「ああ、うん。そうだね。この世界にはないよね、切手」
『あら、テラダイナスにはあるわよ?』
「ひと言だけゲスト出演ありがとう、パトリシアさん。切手っていうのは手紙を送る際に料金を前納したことを証明する証紙のことで、手紙に貼っておくんだよ」
「荷運びですか? 確かに運搬を依頼する前に料金を前払いすることはありますが、なぜそれに紙を貼るのですか? わざわざそんな物を貼らなくとも依頼人と請負人の間で受注書を持てばよいのでは?」
「いや、それは手紙をポストに投函するから……」
「……『ぽすと』?」
「キョトンとして首を傾げるワンコ顔は可愛いな! ――て、それはともかく、異世界とのカルチャーギャップで説明すればするほど深みにはまっていく感じ……」
「申し訳ございません」
「いや、クロードが悪いわけじゃないから」
「ヒビキ様、とりあえず『きって』や『ぽすと』のことはもう構いませんので、そろそろヒビキ様からいただいた品を見てもよろしいでしょうか?」
「いいよ、日本の郵便制度についてはまた後日ということで。ふふ、今回選んだプレゼントはなかなかの品だよ。この前設定を無視して日本から取り寄せたんだ」
「ほお、異世界の品ですか。楽しみです。ガサゴソガサゴソ……これは」
「実はね、クロードにとは言ったんだけど、みんなで楽しめるものがいいかなって思ってそれを選んだんだ」
「み、みんなで楽しむ……ですか」
「うん、あ、でも、取り合いにならないかちょっと心配だな」
「と、取り合い……」
「みんなもきっと気に入ると思うんだよね、それ」
「そ、そんな。ヒビキ様、あんまりです……わ、私はヒビキ様以外は嫌です!」
「俺以外? 何を言って……クロード、それは何?」
「……ヒビキ様が私にくださった『亜麻色の首輪』です」
「いやいやいや、俺が注文したのは『長崎県産 甘香びわ』で…………いやいやいやいや! 確かに電話で注文したけども、さすがにそれは間違いすぎじゃない!?」
「とりあえずヒビキ様……その、首輪をつけていただけますか? ……ついでにリードもあるようなのですが……その、使われますか?」
「いやいやいや! 違うって言ってるでしょ!? 微妙に期待の視線を感じるけど気のせいだよね!? 気のせいだよね!?」
「……」
「返事いいいいいいいいい!」
『……冗談のつもりだったのだけど、ちょっとやり過ぎたかしら?』
★ 登場人物 ヒビキ・クロード・???
「というわけでいつもありがとう、クロード。これは心ばかりの感謝の品です」
「ヒビキ様……! とても嬉しいです、こちらこそありがとうございます! ……それはそうと、やはり本日もゴロ合わせなのですね。毎度のことながら、ヒビキ様の故郷の方々は本当に言葉遊びが好きなことで」
「否定はできないなぁ。他には日本雑穀協会より『雑穀の日〈ざっ(3)こく(9)〉』とか、何とお酢のメーカーさんからは『酢酸の日〈さ(3)く(9)さん〉』とか」
「これも毎度のことながら、なかなかに強引ですね。ざっこくに3,9を合わせるとは力技過ぎるのではないかと」
「うーん、でも日本雑穀協会では今日きちんと何かやってたらしいよ? 『日本雑穀アワード2018金賞受賞式』とか。某有名お酢メーカーだって……あれ? それらしいスケジュールがないな」
「ガセ情報でしたか?」
「うーん、どうなんだろう? 噂話とかなのかな?」
「ヒビキ様、その会社では9月6日を『黒酢の日〈黒(9,6)酢〉』と制定しているようですよ」
「あ、本当だ。でも3月9日のことは見当たらないみたい。まあ、別にいいんだけど」
「確かに、正直どうでもいいことでしたね」
「ゴロ合わせじゃない記念日もあるよ。その名も『記念切手記念日』」
「キネンキッテキネンビ……何やら大変言いづらい名前の記念日ですね」
「俺達の故郷で初めて記念切手が発行された日なんだって。ちなみに発行されたのは1894年(明治27年)。明治天皇成婚25周年記念の切手だよ」
「確か天皇とはこちらでいうところの国王や皇帝のことでしたか」
「その通り。当時はどうだったのかな? 購入者の行列とかできていたのかな?」
「……ところでヒビキ様、ひとつ質問が」
「何?」
「『きって』とは何ですか? 何か切るのですか?」
「ああ、うん。そうだね。この世界にはないよね、切手」
『あら、テラダイナスにはあるわよ?』
「ひと言だけゲスト出演ありがとう、パトリシアさん。切手っていうのは手紙を送る際に料金を前納したことを証明する証紙のことで、手紙に貼っておくんだよ」
「荷運びですか? 確かに運搬を依頼する前に料金を前払いすることはありますが、なぜそれに紙を貼るのですか? わざわざそんな物を貼らなくとも依頼人と請負人の間で受注書を持てばよいのでは?」
「いや、それは手紙をポストに投函するから……」
「……『ぽすと』?」
「キョトンとして首を傾げるワンコ顔は可愛いな! ――て、それはともかく、異世界とのカルチャーギャップで説明すればするほど深みにはまっていく感じ……」
「申し訳ございません」
「いや、クロードが悪いわけじゃないから」
「ヒビキ様、とりあえず『きって』や『ぽすと』のことはもう構いませんので、そろそろヒビキ様からいただいた品を見てもよろしいでしょうか?」
「いいよ、日本の郵便制度についてはまた後日ということで。ふふ、今回選んだプレゼントはなかなかの品だよ。この前設定を無視して日本から取り寄せたんだ」
「ほお、異世界の品ですか。楽しみです。ガサゴソガサゴソ……これは」
「実はね、クロードにとは言ったんだけど、みんなで楽しめるものがいいかなって思ってそれを選んだんだ」
「み、みんなで楽しむ……ですか」
「うん、あ、でも、取り合いにならないかちょっと心配だな」
「と、取り合い……」
「みんなもきっと気に入ると思うんだよね、それ」
「そ、そんな。ヒビキ様、あんまりです……わ、私はヒビキ様以外は嫌です!」
「俺以外? 何を言って……クロード、それは何?」
「……ヒビキ様が私にくださった『亜麻色の首輪』です」
「いやいやいや、俺が注文したのは『長崎県産 甘香びわ』で…………いやいやいやいや! 確かに電話で注文したけども、さすがにそれは間違いすぎじゃない!?」
「とりあえずヒビキ様……その、首輪をつけていただけますか? ……ついでにリードもあるようなのですが……その、使われますか?」
「いやいやいや! 違うって言ってるでしょ!? 微妙に期待の視線を感じるけど気のせいだよね!? 気のせいだよね!?」
「……」
「返事いいいいいいいいい!」
『……冗談のつもりだったのだけど、ちょっとやり過ぎたかしら?』
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