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2018年 脱稿小話
脱稿小話『3月8日はみつばちの日』
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◆◇◆2018年3月8日 本編にて掲載した小話の転載です。
★登場人物 ヒビキ・クロード
「ふむ、3月8日は『みつばちの日』。『みつ(3)ばち(8)』のごろ合わせですね。ヒビキ様の故郷では本当にごろ合わせが好きですね……おや? ヒビキ様はどこへ?」
「ただいまー!」
「おかえりなさいませ、ヒビキ様。……どちらにおでかけで?」
「確定申告してきた」
「……かくていしんこく?」
「ほら、俺達ローウェルでシルバーダイヤモンドウルフを倒した時に随分とお金が入ったでしょ? 毎年2月16日から3月15日までは確定申告の季節だからね。これやらなかったら延滞税とか無申告加算税とか取られるペナルティがあるらしいんだ。故意でも不意でも認められないから、絶対に忘れちゃダメなんだよ」
「そ、そうなのですか(私達の世界には存在しない制度のはずですが……まあ、触れずにおきましょう)」
「それにね、場合によっては税金の払い過ぎで一部が還元されることもあるらしいよ。だから、確定申告はしっかりやっておいた方がいいんだ」
「ヒビキ様は今回、還元はあるのですか?」
「いや、俺の方はないよ。むしろ今まで払ってなかった分を払ったくらいさ。危うく脱税になるところだったよ」
「それはようございました。ですが、ヒビキ様はこの世界では成人されていますが、確か元の世界では未成年扱いなのですよね? ヒビキ様にも確定申告は必要なのですか?」
「未成年でも課税所得金額がある時は必要なんだってさ。未成年の作者の人も確定申告を忘れずにね! それはともかく、シルバーダイヤモンドウルフ討伐の報酬は確か金貨二千枚……日本円で約二千万円。結構な額の所得税を取られたよ、参っちゃうね」
「そ、そうですか(やはりおかしい。金貨二千枚とはギルドが税金を抜いたうえでの金額のはず。そこからさらに税金が引かれるなど聞いたことがないが……)」
「ところでクロードは何してるの?」
「はい。本日3月8日は『みつばちの日』だそうで、せっかくなのでハチミツを使った料理をヒビキ様に作っていただこうかと思い、用意しておりました」
「はちみつか、何がいいかな? ハニートーストなんて美味しそうだ。まずは食パンから作らないとね。クロード、小麦粉取ってくれる?」
「どうぞ。……ところでヒビキ様、先程の『かくていしんこく』というのはどちらでなされたのですか? 恥ずかしながら私、『かくていしんこく』とは初めて聞きまして」
「ええ!? それ大丈夫なの!? クロードもやった方がいいんじゃない? あ、でも、さっきの人はもういないみたいだ。でも税務署ってどこにあるんだろ?」
「……ヒビキ様、『かくていしんこく』はここでなさったのですか?」
「うん、さっき係の人がうちに来たんだ。わざわざ税務署の方から来てくれたんだって」
「……ヒビキ様、ちょっと失礼します」
「え? まあ、クロードは料理の役には立たないし別にいいけど、どこへ?」
「ご安心を。匂いを辿ればすぐですので……」
「匂い? ああ、ハチミツね。養蜂場にでも用事が?」
「……ええ、そんな感じです」
「分かった。あ、よかったらローヤルゼリーももらえないか聞いてきてよ。味はともかく栄養はあるからリリアン用にサプリにしてもいいし」
「ええ、お任せください。では行ってまいります」
「うん、行ってらっしゃい」
「はい!(この詐欺師があああああああああ!ヒビキ様を騙したこと、後悔させてやる!)」
「美味しくなーれ、美味しくなーれ。……そういえば、日本では確定申告の還付金詐欺が毎年多発してるんだっけ。まあでも、俺は還付金じゃなくて税金の払い忘れだから関係ないけど。ホント、詐欺には注意しないとね」
★登場人物 ヒビキ・クロード
「ふむ、3月8日は『みつばちの日』。『みつ(3)ばち(8)』のごろ合わせですね。ヒビキ様の故郷では本当にごろ合わせが好きですね……おや? ヒビキ様はどこへ?」
「ただいまー!」
「おかえりなさいませ、ヒビキ様。……どちらにおでかけで?」
「確定申告してきた」
「……かくていしんこく?」
「ほら、俺達ローウェルでシルバーダイヤモンドウルフを倒した時に随分とお金が入ったでしょ? 毎年2月16日から3月15日までは確定申告の季節だからね。これやらなかったら延滞税とか無申告加算税とか取られるペナルティがあるらしいんだ。故意でも不意でも認められないから、絶対に忘れちゃダメなんだよ」
「そ、そうなのですか(私達の世界には存在しない制度のはずですが……まあ、触れずにおきましょう)」
「それにね、場合によっては税金の払い過ぎで一部が還元されることもあるらしいよ。だから、確定申告はしっかりやっておいた方がいいんだ」
「ヒビキ様は今回、還元はあるのですか?」
「いや、俺の方はないよ。むしろ今まで払ってなかった分を払ったくらいさ。危うく脱税になるところだったよ」
「それはようございました。ですが、ヒビキ様はこの世界では成人されていますが、確か元の世界では未成年扱いなのですよね? ヒビキ様にも確定申告は必要なのですか?」
「未成年でも課税所得金額がある時は必要なんだってさ。未成年の作者の人も確定申告を忘れずにね! それはともかく、シルバーダイヤモンドウルフ討伐の報酬は確か金貨二千枚……日本円で約二千万円。結構な額の所得税を取られたよ、参っちゃうね」
「そ、そうですか(やはりおかしい。金貨二千枚とはギルドが税金を抜いたうえでの金額のはず。そこからさらに税金が引かれるなど聞いたことがないが……)」
「ところでクロードは何してるの?」
「はい。本日3月8日は『みつばちの日』だそうで、せっかくなのでハチミツを使った料理をヒビキ様に作っていただこうかと思い、用意しておりました」
「はちみつか、何がいいかな? ハニートーストなんて美味しそうだ。まずは食パンから作らないとね。クロード、小麦粉取ってくれる?」
「どうぞ。……ところでヒビキ様、先程の『かくていしんこく』というのはどちらでなされたのですか? 恥ずかしながら私、『かくていしんこく』とは初めて聞きまして」
「ええ!? それ大丈夫なの!? クロードもやった方がいいんじゃない? あ、でも、さっきの人はもういないみたいだ。でも税務署ってどこにあるんだろ?」
「……ヒビキ様、『かくていしんこく』はここでなさったのですか?」
「うん、さっき係の人がうちに来たんだ。わざわざ税務署の方から来てくれたんだって」
「……ヒビキ様、ちょっと失礼します」
「え? まあ、クロードは料理の役には立たないし別にいいけど、どこへ?」
「ご安心を。匂いを辿ればすぐですので……」
「匂い? ああ、ハチミツね。養蜂場にでも用事が?」
「……ええ、そんな感じです」
「分かった。あ、よかったらローヤルゼリーももらえないか聞いてきてよ。味はともかく栄養はあるからリリアン用にサプリにしてもいいし」
「ええ、お任せください。では行ってまいります」
「うん、行ってらっしゃい」
「はい!(この詐欺師があああああああああ!ヒビキ様を騙したこと、後悔させてやる!)」
「美味しくなーれ、美味しくなーれ。……そういえば、日本では確定申告の還付金詐欺が毎年多発してるんだっけ。まあでも、俺は還付金じゃなくて税金の払い忘れだから関係ないけど。ホント、詐欺には注意しないとね」
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