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1巻該当内小話
受付嬢ターニャの疑問
「ターニャさん、ただいま!」
「あら、おかえりなさい、ヒビキ君」
私の名前はターニャ。『微笑の女神亭』という宿屋で受付嬢をやっているわ。街でも十指に入る美人だって評判なのよ?
二十五歳にもなって独身の女が何を言っているんだって気はするけど、実際私目当てのお客さんが結構いるのも事実なのよね。
一応言っておくけど、私、結婚できないんじゃなくて、結婚しないだけだから! 勘違いしないでね。
「どうかしたの? ターニャさん?」
「え!? ああ、なんでもないわ。部屋に戻るのよね。すぐに鍵を用意する……て、後ろの人達は、誰?」
私に挨拶をしたこの子の名前はヒビキ・マナベ君。もう一ヶ月以上うちに泊まってくれているお得意さんよ。
ヒビキ君はエマリアと同じ冒険者で、宿泊当初はずっと部屋に篭りきりだったけど最近は毎日頑張って近くの森に行っているみたい。今日もいつも通り森から帰ってきたのかと思っていたら、彼の後ろには大きな獣人と可愛らしい少女が立っていた。
獣人の方は全身真っ黒な狼の獣人みたい。ヒト種の男より頭一つか二つは大きいのに威圧感を感じさせない静かな瞳だわ。
少女の方は、緊張しているのか私と目を合わせられないみたい。今も十分可愛いけど、大きくなったらきっとモテるでしょうね。両手で抱えている白ネコも可愛いわぁ。
「紹介するね。狼の獣人がクロードで、この子はリリアン。この白ネコはヴェネくんって名前だよ。今日から俺の仲間なんだ」
ヒビキ君たらとても嬉しそう。満面の笑みってこういうのをいうんでしょうね。『仲間』と言われた瞬間、後ろの二人と一匹の顔が一瞬喜色に溢れたのは気のせいではないでしょう。
「よろしくね、みんな。それで、全員うちに泊まるのかしら?」
「そのつもりなんだけど、大丈夫?」
「ええ、勿論大丈夫よ。何か気になる?」
国によっては獣人を差別する国もあるとは聞くけど、少なくともこの辺りの国々ではそういう話は聞かないし、勿論うちの宿でもそんなことはしない。そういえば、奴隷の宿泊を断る宿もあるなんて話を聞いたわね。奴隷だって客は客よ。せっかく宿泊代を貰えるのに差別する意味が分からないわ。
「ヴェネ君は動物だけど一緒に泊まれるのかなって思って」
まさか、ネコの宿泊を気にしているとは思わなかったわ。
「あら、全然大丈夫よ。むしろそれを断る宿屋なんてあるのかしら?」
「でも、俺の故郷では基本的に動物とは一緒に泊まれないから」
ちょっと驚き。そんな変な宿屋があるなんて。
ヒビキ君によると、動物の毛や、臭い、遠吠えによる騒音を気にするお客がいるから基本的に動物は受け入れないらしいわ。
一体どこの差別国家よ、それ。
この世には獣人種、半獣人種が山ほどいるのよ? 全員動物の毛も臭いも持っているし、動物の遠吠えなんて宿屋に宿泊していなくても街の外からでも聞こえるでしょうに。
大体、動物の毛が落ちるのがイヤって何よ? そんなもの、毎日掃除をすればいいじゃない。臭いだって気になるほどでもないはずよ。どれだけ神経質な人達なのかしら?
「一番の理由は衛生面だと思うけど、この宿屋で泊まれるなら気にする必要はないかな?」
「エイセイメン? よく分からないけど、うちでならそのネコも一緒に泊まれるから安心してちょうだい」
「よかった。ありがとう、ターニャさん」
「動物なんて問題ないわよ。従魔を連れてくる冒険者だっているくらいだもの」
「従魔?」
あら、冒険者なのに従魔も知らないのかしら? そういえばヒビキ君はまだまだ初心者だったわね。
「ヒビキ様、従魔とは調教された魔物のことです。魔物使いの持つ『調教』というスキルで魔物を従えることができます」
「へえ、そんな人がいるんだ」
ヒビキ君の後ろにいた獣人のクロード君が説明した。クロード君は熟練の冒険者って感じね。装備はないけど。
……それにしても『ヒビキ様』って。主従関係なのかしら?
ヒビキ君って実は貴族とかじゃないわよね? 世間知らずみたいだし、クロード君達は仲間というか、護衛なのかしら?
いやいや、護衛に少女とネコって……流石に無いわね。奴隷でもないわよね? 首輪はしてないみたいだし……。
「それで、部屋はどうする? 別々に借りるの? それとも全員一緒の部屋にする?」
「俺は一緒がいいんだけど、みんなはどうしたい?」
「私はヒビキ様さえよろしければご一緒させていただきたいです」
「えっと……わたしも、一緒が、いいです」
「にゃあ!」
「なら悪いけど、うちは三人部屋がないから四人部屋になるけどいいかしら? 四人部屋の料金は一人部屋の四倍になっちゃうから少し出費が嵩むことになるけど、どうする?」
「じゃあそれでいいです。お願いします」
「分かったわ」
うーん、やっぱりヒビキ君は貴族か裕福な商人の息子とかなのかしら? 財布の紐が一般人よりかなり緩いのよね。普通は二人部屋と一人部屋に分けて出費を抑える方を優先させるものだけど、ヒビキ君の場合は仲間と一緒にいる方が優先みたい。
「それじゃあこれが四人部屋の鍵よ」
「ありがとう、ターニャさん。あ、みんなの挨拶がまだだったね。クロード、リリアン、あとヴェネくんも。これからお世話になるターニャさんにしっかり挨拶してね」
ヒビキ君がそう言うと、まずは大きな獣人、クロード君が私に頭を下げた。
「ヒビキ様にお仕えしております、クロードと申します。以後お見知り置き下さい、ターニャ殿」
「う、うん。よろしくお願いします」
今まで見たことないくらい美しいお辞儀を見たわ。物凄く堅いけど。その辺の冒険者とは品格が違うって感じ。これで格好が粗末じゃなかったらドキッっとしていたかもしれないわね。
というか、はっきりお仕えしているって言ったわね、彼。
クロード君の次は、可愛い少女のリリアンちゃんが来た。
「あの……リリアン、です。よろしく、おねがい、します」
「よろしくね、リリアンちゃん。困ったことがあればいつでも聞いてね」
「……はい」
か、可愛い! やっぱり緊張しているのかモジモジしている姿が可愛いわ。こういう子が妹だったらって誰もが思いそう!
「にゃああ!」
「へ? ……ああ、君も挨拶してくれるのね。確かヴェネ君だったわね、よろしくね」
「にゃにゃあ!」
リリアンちゃんに抱かれていた白ネコのヴェネ君も私に挨拶した。何だか嬉しそうね。気のせいでしょうけど。
「ふふ、ヴェネくんもこの宿に泊まれて嬉しいみたいだね」
「よく分からないけど、喜んでくれているのならよかったわ。でも、糞で汚したら弁償だから気を付けてね」
「うん、気をつけるよ」
「ふにゃ!? ふにゃあああああ!」
あれ? なんか怒ってない? まるでこっちの言葉が分かるみたい。偶然だろうけど、何に怒っているのかしら?
怒っているネコはともかく、ヒビキ君達は楽しそうに新しい部屋へと向った。
「クロードは大きいからベッドを二つくっつけようか?」
「ありがとうございます、ヒビキ様」
「ご主人さま、とってもいい、考え、なの」
「にゃあああ!」
……ご主人さま? ヒビキ君って一体何者なのかしら?
もう、エマリア。ちゃんと説明しておいてよね。
「あら、おかえりなさい、ヒビキ君」
私の名前はターニャ。『微笑の女神亭』という宿屋で受付嬢をやっているわ。街でも十指に入る美人だって評判なのよ?
二十五歳にもなって独身の女が何を言っているんだって気はするけど、実際私目当てのお客さんが結構いるのも事実なのよね。
一応言っておくけど、私、結婚できないんじゃなくて、結婚しないだけだから! 勘違いしないでね。
「どうかしたの? ターニャさん?」
「え!? ああ、なんでもないわ。部屋に戻るのよね。すぐに鍵を用意する……て、後ろの人達は、誰?」
私に挨拶をしたこの子の名前はヒビキ・マナベ君。もう一ヶ月以上うちに泊まってくれているお得意さんよ。
ヒビキ君はエマリアと同じ冒険者で、宿泊当初はずっと部屋に篭りきりだったけど最近は毎日頑張って近くの森に行っているみたい。今日もいつも通り森から帰ってきたのかと思っていたら、彼の後ろには大きな獣人と可愛らしい少女が立っていた。
獣人の方は全身真っ黒な狼の獣人みたい。ヒト種の男より頭一つか二つは大きいのに威圧感を感じさせない静かな瞳だわ。
少女の方は、緊張しているのか私と目を合わせられないみたい。今も十分可愛いけど、大きくなったらきっとモテるでしょうね。両手で抱えている白ネコも可愛いわぁ。
「紹介するね。狼の獣人がクロードで、この子はリリアン。この白ネコはヴェネくんって名前だよ。今日から俺の仲間なんだ」
ヒビキ君たらとても嬉しそう。満面の笑みってこういうのをいうんでしょうね。『仲間』と言われた瞬間、後ろの二人と一匹の顔が一瞬喜色に溢れたのは気のせいではないでしょう。
「よろしくね、みんな。それで、全員うちに泊まるのかしら?」
「そのつもりなんだけど、大丈夫?」
「ええ、勿論大丈夫よ。何か気になる?」
国によっては獣人を差別する国もあるとは聞くけど、少なくともこの辺りの国々ではそういう話は聞かないし、勿論うちの宿でもそんなことはしない。そういえば、奴隷の宿泊を断る宿もあるなんて話を聞いたわね。奴隷だって客は客よ。せっかく宿泊代を貰えるのに差別する意味が分からないわ。
「ヴェネ君は動物だけど一緒に泊まれるのかなって思って」
まさか、ネコの宿泊を気にしているとは思わなかったわ。
「あら、全然大丈夫よ。むしろそれを断る宿屋なんてあるのかしら?」
「でも、俺の故郷では基本的に動物とは一緒に泊まれないから」
ちょっと驚き。そんな変な宿屋があるなんて。
ヒビキ君によると、動物の毛や、臭い、遠吠えによる騒音を気にするお客がいるから基本的に動物は受け入れないらしいわ。
一体どこの差別国家よ、それ。
この世には獣人種、半獣人種が山ほどいるのよ? 全員動物の毛も臭いも持っているし、動物の遠吠えなんて宿屋に宿泊していなくても街の外からでも聞こえるでしょうに。
大体、動物の毛が落ちるのがイヤって何よ? そんなもの、毎日掃除をすればいいじゃない。臭いだって気になるほどでもないはずよ。どれだけ神経質な人達なのかしら?
「一番の理由は衛生面だと思うけど、この宿屋で泊まれるなら気にする必要はないかな?」
「エイセイメン? よく分からないけど、うちでならそのネコも一緒に泊まれるから安心してちょうだい」
「よかった。ありがとう、ターニャさん」
「動物なんて問題ないわよ。従魔を連れてくる冒険者だっているくらいだもの」
「従魔?」
あら、冒険者なのに従魔も知らないのかしら? そういえばヒビキ君はまだまだ初心者だったわね。
「ヒビキ様、従魔とは調教された魔物のことです。魔物使いの持つ『調教』というスキルで魔物を従えることができます」
「へえ、そんな人がいるんだ」
ヒビキ君の後ろにいた獣人のクロード君が説明した。クロード君は熟練の冒険者って感じね。装備はないけど。
……それにしても『ヒビキ様』って。主従関係なのかしら?
ヒビキ君って実は貴族とかじゃないわよね? 世間知らずみたいだし、クロード君達は仲間というか、護衛なのかしら?
いやいや、護衛に少女とネコって……流石に無いわね。奴隷でもないわよね? 首輪はしてないみたいだし……。
「それで、部屋はどうする? 別々に借りるの? それとも全員一緒の部屋にする?」
「俺は一緒がいいんだけど、みんなはどうしたい?」
「私はヒビキ様さえよろしければご一緒させていただきたいです」
「えっと……わたしも、一緒が、いいです」
「にゃあ!」
「なら悪いけど、うちは三人部屋がないから四人部屋になるけどいいかしら? 四人部屋の料金は一人部屋の四倍になっちゃうから少し出費が嵩むことになるけど、どうする?」
「じゃあそれでいいです。お願いします」
「分かったわ」
うーん、やっぱりヒビキ君は貴族か裕福な商人の息子とかなのかしら? 財布の紐が一般人よりかなり緩いのよね。普通は二人部屋と一人部屋に分けて出費を抑える方を優先させるものだけど、ヒビキ君の場合は仲間と一緒にいる方が優先みたい。
「それじゃあこれが四人部屋の鍵よ」
「ありがとう、ターニャさん。あ、みんなの挨拶がまだだったね。クロード、リリアン、あとヴェネくんも。これからお世話になるターニャさんにしっかり挨拶してね」
ヒビキ君がそう言うと、まずは大きな獣人、クロード君が私に頭を下げた。
「ヒビキ様にお仕えしております、クロードと申します。以後お見知り置き下さい、ターニャ殿」
「う、うん。よろしくお願いします」
今まで見たことないくらい美しいお辞儀を見たわ。物凄く堅いけど。その辺の冒険者とは品格が違うって感じ。これで格好が粗末じゃなかったらドキッっとしていたかもしれないわね。
というか、はっきりお仕えしているって言ったわね、彼。
クロード君の次は、可愛い少女のリリアンちゃんが来た。
「あの……リリアン、です。よろしく、おねがい、します」
「よろしくね、リリアンちゃん。困ったことがあればいつでも聞いてね」
「……はい」
か、可愛い! やっぱり緊張しているのかモジモジしている姿が可愛いわ。こういう子が妹だったらって誰もが思いそう!
「にゃああ!」
「へ? ……ああ、君も挨拶してくれるのね。確かヴェネ君だったわね、よろしくね」
「にゃにゃあ!」
リリアンちゃんに抱かれていた白ネコのヴェネ君も私に挨拶した。何だか嬉しそうね。気のせいでしょうけど。
「ふふ、ヴェネくんもこの宿に泊まれて嬉しいみたいだね」
「よく分からないけど、喜んでくれているのならよかったわ。でも、糞で汚したら弁償だから気を付けてね」
「うん、気をつけるよ」
「ふにゃ!? ふにゃあああああ!」
あれ? なんか怒ってない? まるでこっちの言葉が分かるみたい。偶然だろうけど、何に怒っているのかしら?
怒っているネコはともかく、ヒビキ君達は楽しそうに新しい部屋へと向った。
「クロードは大きいからベッドを二つくっつけようか?」
「ありがとうございます、ヒビキ様」
「ご主人さま、とってもいい、考え、なの」
「にゃあああ!」
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