最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?

あてきち

文字の大きさ
45 / 152
3巻

3-13

【技能スキル『医学書』の更新処置を開始します】
【…………更新処置が完了しました。スキル所持者は『医療従事者』の称号を取得しました】
【称号『医療従事者』取得に伴い『診療所』の開設許可が下りました】
【多くの命を守る正しき『医療従事者』となることを切に願います】

 ……これでいいのかな? それで『診療所』って一体何なんだろう?

『サポちゃんより報告。『気配察知』が魔物の接近を感知しました。サポちゃんより以上』

 ――っ!? このタイミングで! 『医学書』の更新でかなりSPを消費した状況でミッドナイトハウンドに追われるのは……正直ヤバイ。『瞬脚』『流脚』を使う余力がないぞ。

『サポちゃんより報告。『医学書』より『診療所』の開設を推奨します。サポちゃんより以上』

「サポちゃん? 『診療所』を開くってどういう――て、聞いてる場合じゃなさそう!」

 魔物の気配がかなり近い。とにかくサポちゃんの言う通りにしてみるしかない!

【技能スキル『医学書レベル2』より『診療所』を開設します】

 そう聞こえた瞬間、俺の目の前に――木製の扉が出現した。通路の壁にはめ込まれるようにして出現したそれには『ヒビキ・マナベ診療所』というプレートが吊るされていた。

「これが……診療所? え? 中に入れるの?」

 正直、驚きというよりは戸惑いの方が大きい。勇気を出して開けてみるとそこは――。

「……保健室?」

 まさに保健室のような一室が広がっていた。基本木造りで、異世界風でシックな印象だ。

「グオオオオオオオオオオオオオオ!」

 ハッとして振り返ると、こちらに向かってくるミッドナイトハウンドの姿が……三体!?

「お、多すぎるし! もう、とりあえずこの中に逃げ込むしかない!」

 とりあえず扉を閉めて、ぶち破られないように何かでバリケードを作って――。

『サポちゃんより報告。中に入り次第施錠してください。サポちゃんより以上』

「せ、施錠? ……これか! ――え?」

 ドアノブの下には、内側から鍵を掛けるためのつまみが取り付けられていた。
 言われた通り『診療所』の中に入った俺はすぐに施錠した。すると、さっきまで聞こえていたミッドナイトハウンドの咆哮も、殺気立っていた気配も、何もかもを感じなくなった。

「……襲って、こない?」

『サポちゃんより報告。ドアスコープをご確認ください。サポちゃんより以上』

 ドアスコープ……ああ、扉によくある覗き穴のことか。そこからそっと外を覗いてみると――。

「……いる。ミッドナイトハウンドが三体……でも、なんだろ? 困惑している?」

『サポちゃんより報告。『診療所』は施錠することで外の扉が消失し、外界から隔離されます。これにより『診療所』内の安全が確保されました。サポちゃんより以上』

「え、何それ……凄い」

 つまり、扉の鍵を掛けたことで奴らは俺を完全に見失ったってことか。……あ、諦めたのか奴らが去っていく。安堵した俺は、ゆっくりとしゃがみ込んだ。

「よかった、もうヘトヘトで逃げ切れる自信がなかったんだ……」

『サポちゃんより報告。休息を推奨します。サポちゃんより以上』

「休息……あ、ベッド」

 部屋の脇には二台の木製ベッドが置かれていた。それを見た俺は、考えるのをやめてふかふかのベッドの上に力無くダイブした。ベッド、温かいふわふわの毛布……至福……ぐぅ。

『サポちゃんより報告。おやすみなさいませ。サポちゃんより以上』


 翌朝、本当に久しぶりに、一切の警戒感なく清々しい目覚めを堪能することができた。
 技能スキル『医学書レベル2』の真骨頂『診療所』。スキル所持者がいつでもどこでも医療に従事できるように、医療空間――神域の一部を加工して作られた聖域を設置する。
 扉の鍵を掛けることで外の扉は消失し、誰であろうと入ることができなくなる。
 扉を消さない限り、別の場所に扉を設置できないという条件はあるものの、ダンジョンを彷徨さまよう俺にとって安息の地を得られるというのは、何にも代えがたい恩恵だろう。
 おかげで、ここ数日の疲労からようやく解放されて、気分は爽快である。ちなみに、『診療所』開設にはSP100を消費するらしい。
 もうミッドナイトハウンドに襲われても問題ない! 教えてくれてありがとう、サポちゃん!
 ……ただ、どうしてあのタイミングだったんだろうか? どうせならもっと早く教えてくれてもよかったと思うんだけど。もしかして、『診療所』のことを忘れていたなんてこと、ないよね?

『サポちゃんより報告。さあ、上層への階段を、ミミックを探しましょう。サポちゃんより以上』

『診療所』を出て、ふと気が付いた俺は質問してみたのだが、結局、サポちゃんは最後まで明確な回答をしてくれませんでした……。
 サポちゃんにもちょっと人間らしい部分があるんだなと、心の中でクスリと笑ってしまったことは……誰にも内緒だ。


       ◆ ◆ ◆


 さてさて、『診療所』を手に入れて既に三日。転移罠で仲間とはぐれてからもう二週間が経とうとしていた。
 相も変わらず俺は同じ階層を探索中だ。ホント、広すぎだよこの階層。残念ながらミミックもまだ見つかっていないため『世界地図』復活も果たされていない。
 だがいいこともあった。ついに『精霊弓術』がレベル2になったのだ。これにより『精霊弓術』は新たな能力に目覚めた。それが『魔法付与マジックエンチャント』である。
 要するに今までの『精霊弓術』の矢に、一種類だけ魔法を追加できるようになったのだ。
 例えば、今までなら実体の矢の先端に少し火が灯る程度だった火の矢も、火魔法『ファイヤボール』を付与してやることで、威力が強化される。
 原則どんな魔法でも付与できるらしいので、『精霊弓術』の使い勝手が随分と広がった。
 MPに余裕のない俺の場合は、使いどころに注意しないとMP切れになるけどね。
 そのMPについては少しだけ対処法ができた。『診療所』の『マジックポーション』だ。
 実は『診療所』の薬棚にはマジックポーションなる魔法薬があり、飲むとMPを回復できるのだ。
 現時点では『医学書』にもその調合方法は記載されていないが、日付が変わると棚の薬は自動的に補充される神仕様。なので俺のショルダーバッグには『診療所』から持ってきたマジックポーションが二本常備されている。
 ……どこまで便利なんだ『診療所』……医神様、ありがとうございます!

『サポちゃんより報告。『気配察知』が例の四体を感知しました。サポちゃんより以上』

「ふう、またか……よし、退避退避!」

 階層の探索はここ最近上手くいっていない。ある四体の魔物の存在が俺の行く手を阻んでいた。
 そいつらを認識したのは一昨日のことだ。常に四体一緒に行動する気配を察知した俺とサポちゃんは、即座に退避を決断した。気配がちょっと強すぎるのである。
 正直、俺一人ではどう足掻あがいても勝てる気がしない。サポちゃんの判断も同じだった。
 この階層のマッピングもあと少しで終わるのだが、奴らがいるあたりが未調査だ。未だ上層への階段が見つかっていないことから、奴らの縄張り周辺に階段があるのではないかと踏んでいる。
 だが、俺達がそちらに近づくと、なぜか奴らは必ずと言っていいほどにこちらに寄ってくるのだ。
 遭遇すればやられるのがオチなので逃げの一手しか選べず、探索は遅々として進まなかった。
 しかし昼食を終え『診療所』を出ると、例の四体の気配は感じられなかった。

『サポちゃんより報告。今のうちに上層の階段を捜索しましょう。サポちゃんより以上』

「そうだね、鬼の居ぬ間にって奴だね」

 復活して以来、サポちゃんは少し変わった気がする。なんというか、前より積極的に話し掛けてくれるようになった。
 そりゃあ、普通の人間みたいに雑談したりは難しいけど、それでもサポちゃん自身の感情のようなものが見え隠れするようになった気がしてならない。
 俺にとっては嬉しい変化だ。サポちゃんとはもっと仲良くなりたい。
 それと、何となくクロード達との距離関係が把握できるようになってきた。あくまで何となくだけど、多分階層数で言えばあと三階層分くらいの距離じゃないかな?
 仲間との再会も、そろそろ現実的なものになってきた。俺も頑張らないと!
 決意を新たに、未踏破エリアの探索を開始した。


 ……まあ、そんなに簡単に物事が進むわけないよね。またも魔物の襲撃を受けております。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 その名も『アイアンアーマードベア』。全身に鉄の鎧を纏ったクマの魔物で、相性は最悪だ。

「光沢のある鎧で全身を覆うとかマジでやめてえええええええええ!」

 俺の攻撃手段は光の矢か火の矢、そして火魔法くらいしかない。全身を光沢のある鎧に身を包んだクマが相手では、光の矢が反射してしまうし、鎧に火が通るとも思えなかった。

『サポちゃんより報告。『魔法解析』が魔物の鎧に『魔法耐性』があることを感知しました。ヒビキ様の魔法攻撃力ではダメージは期待できません。サポちゃんより以上』

「はい、全力逃走決定! 『瞬脚』うううううう! ――て、何あいつ、速い!?」

 瞬発力で一気に加速する『瞬脚』の速度に、どうしてあのクマはあんなにドカドカと無駄の多い走り方でついてこれるわけ!?

『サポちゃんより報告。おそらく技能スキル『爆走』と『追跡』です。『瞬脚』を用いて引き離せない時点でかなり不利です。『瞬脚』は長距離逃走には向いていません。サポちゃんより以上』

「と、とにかく全力で逃げるしか方法が――て、ちょっとこれって!?」

 前方から例の四体の気配が! 挟まれた!?
 足を止めるわけにもいかず、『診療所』を開こうにも今からじゃ間に合わない!

『サポちゃんより報告。この先、通路左側に階段があるようです。サポちゃんより以上』

「階段!? もしかして上層への!?」

『サポちゃんより報告。詳細は不明ですが階段があります。ダンジョンの魔物は棲息階層から出て行動することはできませんので――』

「そうか、それなら一旦逃げ切れる! ――て、下り階段だあああああああ!」

 残念ながら上層への階段ではなかった。逆に下層に行く階段だなんて最悪だ! でも仕方がない。ほとぼりが冷めたらすぐに戻れば……だ、大丈夫だよね?
 階段の下まで辿り着いた。そこは出口のない、十畳ほどの部屋になっていた。
 あと、なぜか部屋の真ん中に宝箱が置かれていた。

「サポちゃん、こいつって――」

『サポちゃんより報告。ヒビキ様のご武運をお祈りします。サポちゃんより以上』

「ミミック! 『宝箱』発動!」

 そして戦闘が始まり――三分でケリがついた。

「行動パターンが前回と全く同じだった……」

 いや、俺としては楽で助かるんだけどさ、それでいいのかミミック諸君……。
 壊れたミミックが元に戻り、箱の中から声が聞こえた。

【技能スキル『宝箱』によりあなたは『宝物』を取得できます。望みは何ですか?】

「俺の失ったスキル『世界地図』を復活させてほしい!」

【要求内容を精査……承認。『宝物』を取得できます】
【技能スキル『世界地図レベル3』を再取得しました】
【技能スキル『宝箱』のレベルが上がりました。レベル2→レベル3】

「やった! とうとう『世界地図』を取り戻せた!」

『サポちゃんより報告。おめでとうございます、ヒビキ様。サポちゃんより以上』

「ありがとう、サポちゃん。早速ここがどこだか確認だ! ……ん? 第二十階層?」

 間違いなく『世界地図』はここが第二十階層だと表示していた。
 ダンジョンでは十階層ごとにボス部屋が用意されている。つまりここにはボスが――。

「今すぐ退避! 退避いいいいいい!」

 回れ右で階段に向かおうとしたその時、待ってましたと言わんばかりに地面が光を放った。

『サポちゃんより報告。転移魔法陣の作動を確認しました。ボス部屋への転移が始まります。早急にこの場から撤退することを推奨します。サポちゃんより以上』

「理不尽! ボス部屋に強制転移なんて理不尽すぎる! 退避――て、上からも!?」

 これはあれだ! 例の四体の気配だ。

「なんで奴らが階段を下りてくるわけ!? ちょ、ど、どうすればいいの!?」

『サポちゃんより報告。転移が始まります。ご武運をお祈りします。サポちゃんより以上』

 迷っている間に強制転移が始まっちゃった! たった一人でどうやって戦えっていうんだ!?
 地面の光が爆発し、周囲を覆い尽くす。
 イヴェルの転移罠のような不快感はないが、『緊急退避』の時のような妙な浮遊感に襲われた。

「おい! お前は一体何者――何だこれは!」

 背後から聞こえた声に驚き振り返ったが、眩い光のせいで視界は遮られ、結局俺はそのままボスの待つ場所へと送られてしまった。

 目を開けると――そこは荒れ果てた荒野だった。
 見渡す限りの乾燥した大地に、風に舞う砂煙。乾燥地帯に生えるサボテンのような木々がまばらにあるだけで、第十階層のボス部屋とはおよそ正反対の性質の空間が広がっていた。
 ――ここが北のダンジョン、第二十階層のボス部屋。やはり何度見てもボス部屋は不可思議だ。
 なぜダンジョンの中で地平線が見えるのか? 空を見上げた先にあるあの太陽は本物なのか?

「お前、こっちを向け!」
「――? 誰――て、ひゃああっ!」

 ボス部屋を見回していると背後から声を掛けられ、反射的に振り返る。するとなぜか俺の鼻先には鋭い剣の切っ先が突き立てられていた。
 敵意をもって剣を向けられるのは生まれて初めてのことだ。魔物に襲われるのとは違った怖さがある。俺の目の前には四人の男女が立っていた……あれ、この気配は?

『サポちゃんより報告。例の四体の気配です……人間だったとは。サポちゃんより以上』

 魔物だと思い込んでいた四体の気配。まさかの人間でした……逃げなきゃよかった。
 俺に剣を向けているのは銀髪を後ろで結んだ美形のお兄さん。鋭い双眸で俺を睨みつけている。
 彼の後ろに控えている三人は違った。むしろ「あれ?」って感じで、頭上にクエスチョンマークでも浮かべたような表情で俺を見つめている。
 というか、銀髪のお兄さんそっちのけで三人で何か相談しているんだけど。
 金髪ツンツン頭のガタイのいいお兄さんに、茶髪の美形お兄さん。そして茶髪のロングヘアのお姉さんの三人は相談しながら俺のことを何度もチラチラと見て……あれ? この人達、見覚えが……。

「北のダンジョン最速攻略パーティーは俺達『銀の御旗』のはずだ! なのに、どうしてお前のようなガキが、俺達に先んじて第二十階層に来ているんだ! お前は一体何者だ!」

 銀髪のお兄さんは、それはそれは悔しそうだった。
 ……ああ、この人が誰なのかようやく分かったよ。それにしても雰囲気とか似てないなぁ。

「あの、落ち着いてください、ジェイドさん」

 彼の名前はジェイド・フラン。ジュエルさんの異母弟いぼていだ。
 以前彼が瀕死の重傷を負った時に俺の『医学書』で治療をしてあげたのだが、お互いに意識を失ったせいで、実は今日が初対面である。

「俺のことを知っているのか!? なぜ知っている! どうやってここまで来た! 答えろ!」

 どうしよう……ここまで来た経緯も、俺がジェイドさんを知っている理由も、興奮状態の彼には信じてもらえる気がしない……。どう説明したらいいかな?
 答えに詰まる俺を見て、ジェイドさんの雰囲気がより剣呑なものになっていく。
 そんな状況から俺を救ってくれたのはジェイドさんの仲間達だった。

「あなた、もしかして……鑑定士のヒビキ君じゃない?」
「ヘカーテ! こいつのことを知っているのか!?」
「お、覚えててくれたんだ」

 ちょっと驚き。ほんの短時間しか顔を突き合わせていないのに、茶髪のロングヘアの女性、ヘカーテさんは俺のことを覚えていてくれたようだ。

「やっぱり! 恩人の顔を忘れるわけないじゃない。ジェイドも剣を仕舞いなさい」
「恩人とは何の話だ?」
「あなたの命の恩人よ。それで分からない?」

 ヘカーテさんの言葉に一瞬キョトンとしたジェイドさんだったが、すぐにハッと気が付いた。

「まさか、こいつが俺を治療した奴だというのか!? こんなガキが!」

 ちょっと、自慢するわけじゃないけど命の恩人相手にガキはないんじゃないの?
 ジェイドさんを除く三人も俺と同じ意見なのか、少し冷ややかな視線を送っている。

「だから、ちゃんとお礼を言ってからダンジョンに戻ろうって言ったのによ。命の恩人の顔も知らないってどうよ……もっと真剣に止めるべきだったな」
「カ、カーネイル、お前――」
「そうですね、カーネイルさんの言う通りです。彼がここにいる理由は不明ですが、命の恩人だと知ってもまだ刃を向けたままだなんて……」
「ヘルム、だが……」

 金髪ツンツンン頭のカーネイルさんと、ヘカーテさんの弟であるヘルムさんは、呆れた様子で首を左右に振っていた。ジェイドさんはまだ困惑している。

「こ、こんなガキに一体どうやって俺の治療ができるっていうんだ……」
「それ自体はどうでもいいことよ。冒険者は互いの事情に首を突っ込まないのが常識でしょ? 重要なことは、彼は間違いなくあなたの命の恩人で、間違っても剣を向けていい相手じゃないってこと。いい加減、剣を引きなさい! バカジェイド!」
「バ、バカとは何だヘカーテ! 言っていいことと悪いことがあるぞ!」
「そっちこそ、やっていいことと悪いことがあるでしょ!」
「あの、ケンカしてる場合じゃないんだけど……ここ、ボス部屋なんですけど……」

『サポちゃんより報告。転移魔法陣の反応を感知しました。ボスが来ます。サポちゃんより以上』

「ホントにケンカしてる場合じゃないよ! ボスが来る!」
「「「「――っ!?」」」」

 俺がもう一度、今度は強めに言うと、ようやく我に返った四人が俺と同じ方向に視線を向けた。
 現れたのは三つの魔法陣。魔法陣から光の柱が立つと、そこから三体の魔物が現れた。

「あれは、アイアンアーマードベアか!」

 ……違う。三体のうち両端の二体はそれで間違いないが、真ん中に立つひと際大きなクマはアイアンアーマードベアじゃない。俺の『鑑定』が別物であると告げていた。

「違う! 真ん中の魔物は……『ハーフミスリルアーマードベア』だ!」
「――っ! ミスリル!?」

【技能スキル『鑑定レベル6』を行使します】
【 名 前 】ハーフミスリルアーマードベア
【 レベル 】55
【 H P 】2156/2156
【 S P 】622/622
【物理攻撃力】650
【物理防御力】599
【魔法攻撃力】255
【魔法防御力】499
【 俊敏性 】416
【固有スキル】『クマ格闘術レベル6』
【技能スキル】『雄叫びレベル6』『瞬腕レベル5』『豪腕レベル6』『爆走レベル5』
       『追跡レベル4』『威嚇レベル6』『威圧レベル6』
【魔法スキル】なし
【 備 考 】魔法耐性の高い金属『ミスリル』をコーティングされた鎧を纏う。
       一定レベル以下の魔法は反射が可能。

 ヘカーテさんが目を見開いた。

「ヒビキ君、あの魔物のこと知って――いえ、あなたは鑑定士だったわね」
「ちっ、いきなりボス戦とはついてない」
「ジェイドが考えなしに突っ込むからだろ!」

 頭を抱えたカーネイルさんの横で、ヘルムさんが鋭い声を発する。

「ぼやいている場合ではないですよ。ミスリルと名が付くなら、あの鎧は――」
「弱い魔法は反射されるから気を付けて!」

『サポちゃんより報告。ハーフミスリルアーマードベアは近接戦闘に特化したスキル構成です。特に固有スキル『クマ格闘術』には注意が必要です。サポちゃんより以上』

 ありがとう、サポちゃん!

「ハーフミスリルアーマードベアは近接戦闘特化のスキル構成だ! 『豪腕』と『瞬腕』で速くて重いパンチを、『クマ格闘術』で体術を使ってくるよ!」
「おう! 鑑定士がいると敵の情報が事前に分かっていいな!」

 ニヤリと笑うカーネイルさんは、背中から大剣クレイモアを抜くと両手で構えた。

「魔法を反射するとなると、僕との相性はあまりよくないかもしれませんね」

 右手に剣、左手に短杖を持ち身構えるヘルムさん。その隣でジェイドさんが指示を出す。

「……正面は俺がやる。カーネイルは右、ヘルムは左だ。ヘカーテ! 援護を頼むぞ!」
「「「了解!」」」

 前衛の三人は地面を思い切り強く蹴り、眼前の鎧クマへと接敵した。

「ヒビキ君は下がって。非戦闘職の鑑定士にはあのボスは危険すぎる」
「確かに俺の攻撃は多分効かないと思う。でも、援護ならできる。俺も戦う!」

 クロード達とのダンジョン探索で俺は学んだ。直接敵をほふる力がなくても、パーティー戦でなら役に立てるってことを。
 迷いのない俺の眼差しに、ヘカーテさんは一瞬目を見開くが、すぐに元の表情に戻った。

「分かったわ。援護を手伝ってちょうだい。君の回復魔法、頼りにさせてもらうわよ」
「俺のMPじゃ『エクストラヒール』はきついから、その時はMP支援をよろしく」
「もちろんよ!」


 既に前衛三人の戦いが始まっていた。今からまずは戦力分析だ!
 レベル44の魔導士、ヘカーテさん。大剣を愛用している戦士のカーネイルさんはレベル45。魔導戦士という、魔法と戦技を併せ持つヘルムさんはレベル41。
 見た限りカーネイルさんとヘルムさんの実力は、それぞれ相対しているアイアンアーマードベアとそれほど差はないようだ。

感想 1,024

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。