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1.ギルド編
第1話 謎の力
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崩れ落ちた壁、それをみていた僕は少しの間動くことが出来なかった。
僕は決してお世辞でも屈強とはいえない体つきをしている。
つまりいくら全力で殴ったとしても壁を壊すことなんて出来るわけがないはずなのだ。
しかも異常はそれだけではなく、なぜか僕の手には得体の知れない光が宿っていて………
「はぁ………」
僕は気づけばそう大きなため息をもらしていた。
本当にもうなにがなんだか僕にはわからなかった。
「いったいなにが………っ!」
そして思わず僕がそう愚痴を漏らそうとしたそのとき僕の頭にあることが蘇った。
それは未だ僕が勇者だと勘違いされていたときに教えてもらった、勇者が持つというそう呼ばれる能力についてのこと。
それは使用した人間の身体能力を上げ、衝撃を何倍にも膨らませる効果を持つ光を生み出す能力。
「まさか………」
ーーー そしてその能力は、剣の形をした光ではないものの、まさに僕が壁に起こした時に使っていた能力にしか思えないものだった。
崩れた壁は僕の見る限りかなり新しいものだった。
だがそれでも、勇者の能力が働いたのだとすれば納得できる。
「でも僕が勇者のはずは………」
しかしそれでも僕は自分が勇者の能力を使えると信じることは出来なかった。
「僕は聖剣に選ばれなっかたはずで………」
そう、なぜなら僕は一度自分勇者であるかどうかをあるかどうかを試していたのだから。
僕と違って勇者と認められていたあの男が召還されるまで実はかなりの時間差があった。
そしてその間に僕は勇者だけが抜けるという聖剣を引き抜こうとして、出来なかったのだ。
そのことに唖然としているときにあの男は現れ、消去法で勇者だと認められたのだ。
つまり聖剣に選ばれなかった僕は勇者などではないはずで………
「でもこの力は明らかに異常だよね………」
と、僕は壁の破片を片手で軽々と砕きながらそう呟いた。
もちろん、この怪力が何か特別なそれこそ魔法なんて呼ばれる力である可能性はある。
だがそんな力が何の前兆もなく使えるようになるなどはかなり考えにくい。
「本当になんなんだろう………」
そして最終的にいくら考えても答えはでず、僕心底そこ困り果てた声でそう呟いた。
「っ!」
しかし次の瞬間城の方からした足音が僕を思考の渦から現実に引き戻した。
突然発祥したこの能力それが何か僕にはわからない。
けれどもこれがもし勇者の能力ならば確実に面倒なことになる。
そう判断した僕は急いでこの場を去るべく行動を開始した。
「あった!」
投げ捨てた短剣を見つけ僕はそれを拾い上げる。
「あれ?」
そしてそのとき僕は何か布で作られたような袋を見つけた。
「これは………財布?」
それがなんなのかわからず袋をのぞき込んだ僕は、中に入っていた金貨らしき硬化の存在にそう言葉を漏らした。
そしてその瞬間僕の胸に迷いが生まれた。
恐らくこの財布を自分のものとすれば僕を取り巻く絶望的な状況も少しは改善するだろう。
だがそれは僕がこの財布を盗むことを意味していて………
「あぁ、こんな状況でも迷うなんて僕は日本人だな………」
その自分の悩みに気づいたとき、僕は思わずそう漏らしていた。
「あぁ、くそ!」
「っ!」
そして近づいてくる何者かの声が聞こえたのはそのときだった。
僕はいつの間にか男が声が聞こえるところまで近づいてきたことに驚きつつも、聞き覚えのあるその声に、声の主が誰かを悟った。
その声の主、それは僕をさんざん殴ったあの衛兵らしき男だった。
一瞬その事実に僕の体に緊張が走り………
「まさか騒ぎすぎて財布を落とすとは………まぁ、あのなよなよした男を殴るのは気持ちがよかったがな!」
………その男の上げる笑い声を聞いた瞬間僕の中から迷いが消えた。
「………うん、この財布は慰謝料としていただくことにしよう」
そしてその言葉を最後に、僕はその場を後にした………
後に全財産を入れていた財布をなくした衛兵が地獄をみた話がこの王都で流れることになるのだが、そのことを僕が知る由はなかった………
僕は決してお世辞でも屈強とはいえない体つきをしている。
つまりいくら全力で殴ったとしても壁を壊すことなんて出来るわけがないはずなのだ。
しかも異常はそれだけではなく、なぜか僕の手には得体の知れない光が宿っていて………
「はぁ………」
僕は気づけばそう大きなため息をもらしていた。
本当にもうなにがなんだか僕にはわからなかった。
「いったいなにが………っ!」
そして思わず僕がそう愚痴を漏らそうとしたそのとき僕の頭にあることが蘇った。
それは未だ僕が勇者だと勘違いされていたときに教えてもらった、勇者が持つというそう呼ばれる能力についてのこと。
それは使用した人間の身体能力を上げ、衝撃を何倍にも膨らませる効果を持つ光を生み出す能力。
「まさか………」
ーーー そしてその能力は、剣の形をした光ではないものの、まさに僕が壁に起こした時に使っていた能力にしか思えないものだった。
崩れた壁は僕の見る限りかなり新しいものだった。
だがそれでも、勇者の能力が働いたのだとすれば納得できる。
「でも僕が勇者のはずは………」
しかしそれでも僕は自分が勇者の能力を使えると信じることは出来なかった。
「僕は聖剣に選ばれなっかたはずで………」
そう、なぜなら僕は一度自分勇者であるかどうかをあるかどうかを試していたのだから。
僕と違って勇者と認められていたあの男が召還されるまで実はかなりの時間差があった。
そしてその間に僕は勇者だけが抜けるという聖剣を引き抜こうとして、出来なかったのだ。
そのことに唖然としているときにあの男は現れ、消去法で勇者だと認められたのだ。
つまり聖剣に選ばれなかった僕は勇者などではないはずで………
「でもこの力は明らかに異常だよね………」
と、僕は壁の破片を片手で軽々と砕きながらそう呟いた。
もちろん、この怪力が何か特別なそれこそ魔法なんて呼ばれる力である可能性はある。
だがそんな力が何の前兆もなく使えるようになるなどはかなり考えにくい。
「本当になんなんだろう………」
そして最終的にいくら考えても答えはでず、僕心底そこ困り果てた声でそう呟いた。
「っ!」
しかし次の瞬間城の方からした足音が僕を思考の渦から現実に引き戻した。
突然発祥したこの能力それが何か僕にはわからない。
けれどもこれがもし勇者の能力ならば確実に面倒なことになる。
そう判断した僕は急いでこの場を去るべく行動を開始した。
「あった!」
投げ捨てた短剣を見つけ僕はそれを拾い上げる。
「あれ?」
そしてそのとき僕は何か布で作られたような袋を見つけた。
「これは………財布?」
それがなんなのかわからず袋をのぞき込んだ僕は、中に入っていた金貨らしき硬化の存在にそう言葉を漏らした。
そしてその瞬間僕の胸に迷いが生まれた。
恐らくこの財布を自分のものとすれば僕を取り巻く絶望的な状況も少しは改善するだろう。
だがそれは僕がこの財布を盗むことを意味していて………
「あぁ、こんな状況でも迷うなんて僕は日本人だな………」
その自分の悩みに気づいたとき、僕は思わずそう漏らしていた。
「あぁ、くそ!」
「っ!」
そして近づいてくる何者かの声が聞こえたのはそのときだった。
僕はいつの間にか男が声が聞こえるところまで近づいてきたことに驚きつつも、聞き覚えのあるその声に、声の主が誰かを悟った。
その声の主、それは僕をさんざん殴ったあの衛兵らしき男だった。
一瞬その事実に僕の体に緊張が走り………
「まさか騒ぎすぎて財布を落とすとは………まぁ、あのなよなよした男を殴るのは気持ちがよかったがな!」
………その男の上げる笑い声を聞いた瞬間僕の中から迷いが消えた。
「………うん、この財布は慰謝料としていただくことにしよう」
そしてその言葉を最後に、僕はその場を後にした………
後に全財産を入れていた財布をなくした衛兵が地獄をみた話がこの王都で流れることになるのだが、そのことを僕が知る由はなかった………
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