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第34話 (アリミナ目線)
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異常な屋敷の現状、それに恐怖する私に口を噤むという選択肢はなかった。
命じられるまま、私は夜会であったことを全て話す。
令息達に命じて、お姉様の不貞を演じ、その上で誘惑したこと。
それでもあっさりとライルハート様に振り払われたこと。
「くそ!くそ!無能王子が!いつも、いつも私の想定外の動きをしよって!」
……お父様が激怒したのは、その全てを話し終えた後だった。
「ひっ!」
その場にあるものを投げ、激怒するお父様の姿に私はただ恐怖することしかできなかった。
こんな激怒する姿を初めて目にした私は、動揺を抑えられない。
今までどんな問題を起こしても、私のことを可愛がってくれるお父様が怒りを露にすることはなかった。
だから、私はどんなことをしても許されるとそう思っていた。
……それが間違いだと知った今、私に取れる手段はたった一つしかなかった。
「ご、ごめんなさい、お父様」
震え、涙を零しながら俯き、私は必死に謝罪する。
あらゆる人間から優遇されていた今世、激怒する人間に詰め寄られたのは幼少期しかなかった。
それ故に、そんな人間に対してどうすればいいのか、私は謝罪しか知らなかった。
「次は、絶対に上手くやります。だ、だから許して下さい」
故に私は必死に謝罪を繰り返す。
お父様の怒りが和らぐことを祈りながら。
怒りが和らげば、また愛してくれていた時に戻ると思いながら。
そんなことないと……最初から愛など存在しなかったことに私が気づいたのは、その直後のことだった。
「黙れ。もうお前はいらない」
そのお父様の声は、ぞっとするほど冷たかった。
呆然と顔を上げた私を見つめる視線。
そこには、私に対する愛など感じられなかった。
……そう、一欠片も。
「せっかく有能な能力を持つと聞いたから、公爵家の一員にしてやったのに、この役立たずが!伯爵家どころか、あの第二王子さえ誘惑できない無能だと知っていれば、誰が公爵家に入れるものか!」
呆然とする私に対し、お父様は怒りの表情でそう吐き捨てる。
それでも、私は信じられず問いかける。
「そんな、私はお父様の娘……」
「平民が何を勘違いしている?」
それが何より雄弁な答えだった。
受け入れられず呆然とする私を、お父様が見ることはなかった。
「もう最後の手段を使うしか……。おい、そいつはもう用済みだ。屋敷の外に放っておけ」
「はい、依頼主殿。残念だったな、嬢ちゃん」
そうして、私は屈強な男に連れていかれる。
部屋を出る最後、今さらになって私は気づく。
私を本当の家族だと思ってくれていたのは、お父様ではなく……。
気づいたところで、もう全てが手遅れだった。
命じられるまま、私は夜会であったことを全て話す。
令息達に命じて、お姉様の不貞を演じ、その上で誘惑したこと。
それでもあっさりとライルハート様に振り払われたこと。
「くそ!くそ!無能王子が!いつも、いつも私の想定外の動きをしよって!」
……お父様が激怒したのは、その全てを話し終えた後だった。
「ひっ!」
その場にあるものを投げ、激怒するお父様の姿に私はただ恐怖することしかできなかった。
こんな激怒する姿を初めて目にした私は、動揺を抑えられない。
今までどんな問題を起こしても、私のことを可愛がってくれるお父様が怒りを露にすることはなかった。
だから、私はどんなことをしても許されるとそう思っていた。
……それが間違いだと知った今、私に取れる手段はたった一つしかなかった。
「ご、ごめんなさい、お父様」
震え、涙を零しながら俯き、私は必死に謝罪する。
あらゆる人間から優遇されていた今世、激怒する人間に詰め寄られたのは幼少期しかなかった。
それ故に、そんな人間に対してどうすればいいのか、私は謝罪しか知らなかった。
「次は、絶対に上手くやります。だ、だから許して下さい」
故に私は必死に謝罪を繰り返す。
お父様の怒りが和らぐことを祈りながら。
怒りが和らげば、また愛してくれていた時に戻ると思いながら。
そんなことないと……最初から愛など存在しなかったことに私が気づいたのは、その直後のことだった。
「黙れ。もうお前はいらない」
そのお父様の声は、ぞっとするほど冷たかった。
呆然と顔を上げた私を見つめる視線。
そこには、私に対する愛など感じられなかった。
……そう、一欠片も。
「せっかく有能な能力を持つと聞いたから、公爵家の一員にしてやったのに、この役立たずが!伯爵家どころか、あの第二王子さえ誘惑できない無能だと知っていれば、誰が公爵家に入れるものか!」
呆然とする私に対し、お父様は怒りの表情でそう吐き捨てる。
それでも、私は信じられず問いかける。
「そんな、私はお父様の娘……」
「平民が何を勘違いしている?」
それが何より雄弁な答えだった。
受け入れられず呆然とする私を、お父様が見ることはなかった。
「もう最後の手段を使うしか……。おい、そいつはもう用済みだ。屋敷の外に放っておけ」
「はい、依頼主殿。残念だったな、嬢ちゃん」
そうして、私は屈強な男に連れていかれる。
部屋を出る最後、今さらになって私は気づく。
私を本当の家族だと思ってくれていたのは、お父様ではなく……。
気づいたところで、もう全てが手遅れだった。
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