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第8話 男性目線
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サラリアと話して浮気相手とされた男性目線です!
◇◇◇
「これなら、大丈夫そうだな」
広場を後にし王宮に戻った私は、窓から見えるサラリアの姿に、安堵の息を漏らした。
この場所からでは、サラリアの顔までははっきりと見えない。
だが、護衛らしき女性と話しているサラリアは、どこか吹っ切れた様子だった。
「もしかしたら、逆効果かもしれないと考えていたが、元気が出たようで良かった……」
それを確認した私は、思わず安堵の息を漏らした。
ふと目を下ろすと、サラリアに会うためだけに入手した、ほつれた平民の服が目に入る。
現在、私は平民の服を身に纏っているが、別に私は平民ではない。
これはあくまで、サラリアの前で身分を偽るためのもの。
この服を着て身分を隠してまで、私がサラリアに会いに行っていたのは、サラリアに対する未練が理由だった。
サラリアには、婚約者がいて彼女が自分になびく事がないことは理解している。
それを理解しても、少しでも接点を持ちたくて、気づけばこんな服を身に纏ってサラリアに声をかけていた。
私はそれが、どれ程情けない行為なのか自分でもわかっていた。
自分は、そんなことに気を向けている場合でもないことも。
それでも私は、いけないと思いながらも自分を抑えきれなかった。
だからこそ、私との会話が理由でサラリアが婚約破棄された時、顔から血の気が引いた。
こじつけのような理由だとしても、私が原因で婚約破棄されたという事実は変わらない。
そのことに、サラリアがどれだけ婚約者を支えようとしていたか、それを理解していたからこそ、私は深い罪悪感に襲われた。
今回、強引だと思いながらも、散歩で広場に来たらしいサラリアの前に姿を現したのは、すべて彼女に謝るためだった。
そうあの時私は、サラリアにどんなことを言われても、罵られても受け入れる覚悟だった。
そのために広場に人が来ないように手回しして、思う存分サラリアが怒鳴れるような状況を作って、彼女の前に姿を現した。
……しかし、私に謝罪をし始めたサラリアの姿に、そんな決意は頭からあっさりと消し飛ぶことになった。
自分の責任だと、顔を俯かせて告げるサラリア。
彼女は、今まで見た事がないくらいに沈んでいて、その姿を見てようやく私は気づいた。
全て悪いのは、サラリアの婚約者の男であることを。
その男が、あれだけ婚約者のために必死に頑張っていたサラリアを裏切り、それはサラリアの心を大きく傷つけたことを。
そのことに気づいた瞬間、私の胸にあった罪悪感は、全て怒りへと変わった。
私は今まで必死に、サラリアに抱く気持ちを押さえつけていた。
それを婚約者の男は踏みにじった。
それは、私の思いを踏みにじったと同義。
だとしたら、私がサラリアの婚約者であった相手にてを出すことを阻むものはない。
その想いとともに、私はあることを決断する。
今まで、サラリアを傷つけるだけだと思って封じ込めていた思い、それを解放することを。
「アーステルト家令息、マーリスか。いいだろう。その男に存分に教えてやる。──貴様の愚行が、この第二王子ライフォードの逆鱗に触れたことを」
その私の言葉を聞くものは誰もいない。
◇◇◇
「これなら、大丈夫そうだな」
広場を後にし王宮に戻った私は、窓から見えるサラリアの姿に、安堵の息を漏らした。
この場所からでは、サラリアの顔までははっきりと見えない。
だが、護衛らしき女性と話しているサラリアは、どこか吹っ切れた様子だった。
「もしかしたら、逆効果かもしれないと考えていたが、元気が出たようで良かった……」
それを確認した私は、思わず安堵の息を漏らした。
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これはあくまで、サラリアの前で身分を偽るためのもの。
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それを理解しても、少しでも接点を持ちたくて、気づけばこんな服を身に纏ってサラリアに声をかけていた。
私はそれが、どれ程情けない行為なのか自分でもわかっていた。
自分は、そんなことに気を向けている場合でもないことも。
それでも私は、いけないと思いながらも自分を抑えきれなかった。
だからこそ、私との会話が理由でサラリアが婚約破棄された時、顔から血の気が引いた。
こじつけのような理由だとしても、私が原因で婚約破棄されたという事実は変わらない。
そのことに、サラリアがどれだけ婚約者を支えようとしていたか、それを理解していたからこそ、私は深い罪悪感に襲われた。
今回、強引だと思いながらも、散歩で広場に来たらしいサラリアの前に姿を現したのは、すべて彼女に謝るためだった。
そうあの時私は、サラリアにどんなことを言われても、罵られても受け入れる覚悟だった。
そのために広場に人が来ないように手回しして、思う存分サラリアが怒鳴れるような状況を作って、彼女の前に姿を現した。
……しかし、私に謝罪をし始めたサラリアの姿に、そんな決意は頭からあっさりと消し飛ぶことになった。
自分の責任だと、顔を俯かせて告げるサラリア。
彼女は、今まで見た事がないくらいに沈んでいて、その姿を見てようやく私は気づいた。
全て悪いのは、サラリアの婚約者の男であることを。
その男が、あれだけ婚約者のために必死に頑張っていたサラリアを裏切り、それはサラリアの心を大きく傷つけたことを。
そのことに気づいた瞬間、私の胸にあった罪悪感は、全て怒りへと変わった。
私は今まで必死に、サラリアに抱く気持ちを押さえつけていた。
それを婚約者の男は踏みにじった。
それは、私の思いを踏みにじったと同義。
だとしたら、私がサラリアの婚約者であった相手にてを出すことを阻むものはない。
その想いとともに、私はあることを決断する。
今まで、サラリアを傷つけるだけだと思って封じ込めていた思い、それを解放することを。
「アーステルト家令息、マーリスか。いいだろう。その男に存分に教えてやる。──貴様の愚行が、この第二王子ライフォードの逆鱗に触れたことを」
その私の言葉を聞くものは誰もいない。
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