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第8話 確信
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「ん、んん……」
私が目を覚ました時、真っ先に感じたのは仄かな暖かさだった。
それに眠りに落ちるまでの記憶を思い出した私は疑問を覚える。
「……ようやく目を覚ましたか」
「っ!」
けれども、次の瞬間響いた青年の声にその疑問を忘れ、私は文字通り飛び起きる羽目になった。
目を開いた瞬間、私の目に飛び込んできたのは寝る前と同じ部屋の景色。
「これは……」
けれども何故か、ソファに横たわっていた私の身体には分厚い毛布がかけられていた。
「……風邪はひいていないな」
一瞬、その毛布に何が起きたのかわからず困惑した私。
けれども、少し決まりが悪そうに告げた青年の態度に、この毛布をかけてくれたのは彼であることを理解する。
「……え?」
そして次の瞬間、私は思わず戸惑いの言葉を漏らしていた。
青年は今まで私を追い出そうとしていたはずだ。
だからこそ、毛布を私にかけたその青年の行動に私は驚きの声を漏らす。
「……凍死されるのは面倒だっただけだ」
その私の反応に、青年は苦々しげにそう答える。
それはまるで私の自身ことなんて何にも心配していなかったことを示しているような態度で……
「ふふ、」
「っ!」
ーー けれども、青年の手に握られている湯気の立つコップが、その態度は張りぼてであることを示していた。
どうやら、青年は私が思っていたよりもはるかに優しい人間であったらしい。
……そして、クラッスター家に裏切られたことがかなり応えていた私は、その優しさにいつのまにか笑みを浮かべていた。
その私の笑みをどうとらえたのか、青年の顔はさらに気まずげなものとなる。
そして青年は、誤魔化そうとでも考えたのか、何事かを告げようと口を開きかけて、けれども嘆息を漏らすだけにとどめた。
「君の決心の硬さは良く理解した。まさか令嬢が凍死寸前まで粘るとは……」
……凍死寸前というその言葉に、まさかそんな危険な状態に自分がなっているとは思っていなかった私は少し焦る。
「その頑固さに免じて、この家へ少し留まることを許そう。……こうでも言わない限りなんか怖いからな」
「ふふん」
しかし、私の行動に度肝を抜かれたという様子の青年の様子に私は胸を張って見せた。
どこか済ました印象を受ける青年が、そんな態度をとることが新鮮で、そしてその態度を自分が取らせたことに少しだけ誇らしさのようなものを感じたのだ。
その私の態度に、青年は一瞬褒めていない、とでも言いたげな表情を作る。
だが、私に何を言っても無駄だと判断したのか、直ぐにその表情を崩した。
「まぁ、いい。……アルフォートだ。あまり歓迎したくはないが、滞在を許可しよう」
「っ!」
そして、代わりに青年は私へと手を差し出してくる。
一瞬その青年、アルフォートが差し出した手に私は戸惑う。
けれども次の瞬間には笑みを共に手を差し出して私もまた口を開いた。
「私はレシアス。レシアス・クラ……いえ、ただのレシアです。滞在の許可、心から感謝します!」
その時、そう笑顔で言い切った私はこの先何が起こるかを知らない。
たしかに未来を見ることのできる魔法は存在するのだが、そんな魔法を私は扱えないのだから。
けれども、何故か私はこの時とある確信を抱いていた。
気まづそうに、なのにどこか期待を込めたような表情で私の手を取ったアルフォート。
ーーー 彼とは長い付き合いになるだろうという、そのことを。
私が目を覚ました時、真っ先に感じたのは仄かな暖かさだった。
それに眠りに落ちるまでの記憶を思い出した私は疑問を覚える。
「……ようやく目を覚ましたか」
「っ!」
けれども、次の瞬間響いた青年の声にその疑問を忘れ、私は文字通り飛び起きる羽目になった。
目を開いた瞬間、私の目に飛び込んできたのは寝る前と同じ部屋の景色。
「これは……」
けれども何故か、ソファに横たわっていた私の身体には分厚い毛布がかけられていた。
「……風邪はひいていないな」
一瞬、その毛布に何が起きたのかわからず困惑した私。
けれども、少し決まりが悪そうに告げた青年の態度に、この毛布をかけてくれたのは彼であることを理解する。
「……え?」
そして次の瞬間、私は思わず戸惑いの言葉を漏らしていた。
青年は今まで私を追い出そうとしていたはずだ。
だからこそ、毛布を私にかけたその青年の行動に私は驚きの声を漏らす。
「……凍死されるのは面倒だっただけだ」
その私の反応に、青年は苦々しげにそう答える。
それはまるで私の自身ことなんて何にも心配していなかったことを示しているような態度で……
「ふふ、」
「っ!」
ーー けれども、青年の手に握られている湯気の立つコップが、その態度は張りぼてであることを示していた。
どうやら、青年は私が思っていたよりもはるかに優しい人間であったらしい。
……そして、クラッスター家に裏切られたことがかなり応えていた私は、その優しさにいつのまにか笑みを浮かべていた。
その私の笑みをどうとらえたのか、青年の顔はさらに気まずげなものとなる。
そして青年は、誤魔化そうとでも考えたのか、何事かを告げようと口を開きかけて、けれども嘆息を漏らすだけにとどめた。
「君の決心の硬さは良く理解した。まさか令嬢が凍死寸前まで粘るとは……」
……凍死寸前というその言葉に、まさかそんな危険な状態に自分がなっているとは思っていなかった私は少し焦る。
「その頑固さに免じて、この家へ少し留まることを許そう。……こうでも言わない限りなんか怖いからな」
「ふふん」
しかし、私の行動に度肝を抜かれたという様子の青年の様子に私は胸を張って見せた。
どこか済ました印象を受ける青年が、そんな態度をとることが新鮮で、そしてその態度を自分が取らせたことに少しだけ誇らしさのようなものを感じたのだ。
その私の態度に、青年は一瞬褒めていない、とでも言いたげな表情を作る。
だが、私に何を言っても無駄だと判断したのか、直ぐにその表情を崩した。
「まぁ、いい。……アルフォートだ。あまり歓迎したくはないが、滞在を許可しよう」
「っ!」
そして、代わりに青年は私へと手を差し出してくる。
一瞬その青年、アルフォートが差し出した手に私は戸惑う。
けれども次の瞬間には笑みを共に手を差し出して私もまた口を開いた。
「私はレシアス。レシアス・クラ……いえ、ただのレシアです。滞在の許可、心から感謝します!」
その時、そう笑顔で言い切った私はこの先何が起こるかを知らない。
たしかに未来を見ることのできる魔法は存在するのだが、そんな魔法を私は扱えないのだから。
けれども、何故か私はこの時とある確信を抱いていた。
気まづそうに、なのにどこか期待を込めたような表情で私の手を取ったアルフォート。
ーーー 彼とは長い付き合いになるだろうという、そのことを。
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