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学校へ行こう
しおりを挟むおばあさんは僕の前に英語、数学、国語、理科、社会の問題を置く。母からシャープペンシルを借りて問題を解く。その様子を二人が見守る。
幸い全ての問題が解けた。知識だけはあるんだ。それにしても……
「終わりました」
「早いね。まだそんなに時間は経っていないのだけれどもういいのかい?」
「はい、なんですかこの問題は、贔屓してるんですか?」
「?」
「簡単でした。わざとですか?僕は平等な機会を求めて無理を言ったんです。対応していただいたことは感謝してます。ですけどあまりに粗末じゃないですか?」
「ふふっあははははっ!」
おばあさんは大きく笑って言う。
「彩美さん、面白い子ね」
「そうでしょうか」
「受験日以外に正規の受験問題を見せるわけにいかないからね。それは少々出題範囲を超える問題が含まれていて作り直しになったテスト問題なのさ」
おばあさんは僕にしっかりと目を合わせて話す。これはおばあさんが僕が男だから、僕が勝手に納得すればいいと思って渡した問題なのかと思ったがそうではないようだ。
「自分なりに筋を通そうとする若者につまらないことをしたね。正規の問題じゃないからとどの程度正解していても丸め込もうと思っていたんだけれど無粋だったね。どれ、採点しよう」
僕の解答用紙を手に持つとうんうんと頷いておばあさんはニコニコする。
「全問正解さ。よかったね。正規以上の実力を示して文句なしの合格だよ」
「すごいわ!…だけどどうしてこんなことしたの?」
「何も示していないまま入学するのに正規で受験をする人たちの枠を奪うんだと思ったらなんか違うような気がして」
全問正解と言われ、ないに等しい不安が解消される。その勢いで本音をそのまま話す。
「あぁ、400人中8人と言ったからかい?ごめんなさいね大まかな数字で言ってたのだけれど男子生徒の枠はそもそも追加枠だよ」
「え、?」
「今年の入学者は408人ってことさ。端数切り捨てで喋っちゃったのがだめだったね」
なんだ早とちりか。
「そんなことを気にしていていたなんてね。気に入ったよ。彩美さんの子ども、男である以上に価値あるものを持ってるようだね」
褒められて悪い気はしない。それもこれも先生が僕に教えてくれたことだったから。僕は僕を通して先生が認められていくということが身をもってわかった。
そしてドアがガチャリと空き。いずねぇが入ってくる。
「零梛…貴方本当にいい子ね…」
そう言っていずねぇは僕を抱きしめる。そうするといずねぇと一緒にいた二人の存在に気がつく。
「わ…女に触られてるのに嫌そうじゃない、怒ってない。姉弟だからかな…?でもそれでも嫌がってる人しかいないような…んー」
「さっきから涙止まんないよ」
部屋に入らずにコソコソしている。
「あの方たちは?」
「私の後輩。この部屋に聞き耳を立てていたから捕まえて事情聞いて一緒に聞き耳立ててたの」
止めてないじゃないか。
「そうなんですね。こんにちは、いずねぇがお世話になってます」
「違うよ私がお世話してたんだよ?」
「綾です」
そんなふうにやりとりしていると泣きじゃくっている女子生徒がこちらに歩いてくる。
「こちらこそお世話になってましゅ!来年から零梛様の先輩をさせてもらいます!」
「よろしくお願いしますね」
そう言ってポケットからハンカチを出して涙を拭いてやると手を掴まれた。
「うぅ、好きです!結婚してください!かっこいいよぉ…」
そんなことを急に言われるなんて思ってないからびっくりして呆気に取られているともう一人がその子を引っ張っていった。
「ごめんなさい。気が動転しているだけなんです!ご迷惑をおかけしましたーー!!」
そう言って凄い勢いで去っていった。
「なんだったんだろう」
「やっぱり行かせるのやめようかな」
理事長のおばあさんの厚意で校内を案内してもらえることになった。
「今は授業してるからその様子とかも見るといいよ」
「はい、ありがとうございます」
もう数歩先の教室からは大人の声が聞こえる。
「えー、なのでここは整理することで事前に計算しておいたこれが代入することができるんです」
内容に関しては知っていたけれど、集団で授業を受ける様子がなんともその環境が楽しそうでわくわくした。
すると授業をしている方と目が合う。ニコッと笑いかけると女性は倒れてしまった。
「あら、戌亥先生!?」
おばあさんが教室に入り戌亥さん元へ行く。
「本当に急に倒れ、きゃーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
一人の女子生徒が絶叫する。その声の主をみんなが注目した後は視線の先の僕らに視線が集まる。すると再び大声が出る。
「え、えっぐぅ…」
「……………っ息できない」
「やっゔぁ」
「高雛彩美、高雛稜梛…あれは…零梛様!?」
「流れてきた写真と生は破壊力違う…あれ、涙が…」
そんなことよりと僕も戌亥さんの元へ駆け寄る。ますます声は大きくなるが気になんかしてられない。
「大丈夫そうですか?」
「どうだろうね。何かしたのかい?」
「目があったので笑い返しただけです…そんなだめですか僕の顔」
「自己肯定感を高めた方が良さそうだね」
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