優しい魔法の唱え方

柴犬

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第2話「生徒会」

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「おっと、君は誰だい?」

その声で俺は我に返り、声のした入り口の方に振り返った。生徒会室の入り口には三人の見慣れた生徒会メンバーが立っていた。

「君は確か新入生の沖田慎也君だっけ?」

先頭に立っていた赤い長髪とモデル並のスタイルで制服の上からでも分かるぐらい巨乳が印象的な生徒会長の小笠原椎名がそう言いながら三年生の生徒会室に入ってきた。

「何か生徒会に用があるのかい?それよりこの黒いシルクハットは良いだろう?格好いいだろ?」

次に黒いシルクハットを頭に被り、両手に黒革の手袋を着けて制服も学ラン、上履きも黒色に自分で改造した全身黒色の二年生の副会長の遠藤孝司も続いて入ってきた。

「この生徒会室には面白い物が一切無いので来てもつまらないですよ?私も入って後悔しました」

そして最後に青色の短髪で幼そうな体型をしている見た目が完全に子供にしか見えない生徒会書記の那賀川若葉が淡々とした口調で入ってきた。

「一年の沖田慎也です。突然なのですが、あの椅子に座っている女子生徒は誰ですか?」

「「「!?」」」

俺は生徒会メンバー全員に軽く挨拶して、窓際に座っている知らない不思議な少女を指差してそう質問した。すると生徒会メンバー全員が驚いた顔をした。

「・・・君はリコーダーの音が聞こえていたのかい?」

生徒会長の小笠原椎名は驚いた顔をしながらそんな質問をしてきた。

「はい、聞こえました。ただ今日だけリコーダーの音が違って聞こえていたのですが、皆さんも聞こえているんですか?」

「「「えっ!?」」」

俺はリコーダーの音の変化を思った通りに言った。すると生徒会メンバーの全員が更に驚いた顔をしていた。

すると三人は俺から少し離れて生徒会室の隅で話し始めた。小声で話しているため、俺には全く聞こえなかった。

そして数分後、小笠原椎名が満面の笑みで俺の方へ向かってきた。

「突然なのだが、君には今日からこの生徒会に所属してもらう!とりあえず生徒会の雑務として頑張ってもらおう!」

「・・・・・はい?」

突然の事で俺は一瞬頭が真っ白になった。予想外の展開に目の前が霞んで見えた。
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