転生したら従者になった話

涼音

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「初等部の扉もデカかったけど、更にデカくね?」
「あぁ。俺の城も十分デカイと思ってたけど、負けたわ」

眠そうにしていたギーだったが、俺の問いに呆然としながら答えた。
何を目指してるのこの学園。
巨人でも通っているわけ?

「.......イェーガー....」

イェーガー?
唐突にそんな言葉が聞こえた。
声からしてユラだと思う。たまにユラはよく分からない言葉を使う。

「突っ立ってないで入ろうよ」
アシュが先頭に俺らは中に入った。

キャーーーーーー!!
中に入ると、そんな断末魔が耳に響いた。
え、何々何が起きた!?火事?地震?!
周りを見ると、どうやら俺らに向けて叫んでるようだ。
俺らが原因?

「え、何、あの方達!」
「あんな神々しい方々居たんだ」
「この学園に来て良かった!!」

周りに耳を傾けると、そんな事を言って騒いでいた。
今迄、食堂入っただけでこんな事無かったのに....
アシュを見れば、何かを言いながら上に指を指していた。

何となく言いたい事が分かり、俺らは人混みの中二階のテラスに向かった。


****************************
テラスは防音魔法が掛かっているようで、入るなり静かになった。
「あー、煩かった!」
どかっと椅子に座りアシュは文句を言う

「初等部の頃は色目使ってくる奴はいたけど、ここまで酷く無かったですよね」
「まあ、初等部の頃は自分の立場を弁えてる連中だったからな」
「あー、そっか。中等部からは家柄関係無く入学して来ますからね」

ギーの答えにアルは納得している。
俺らが座ったと同時にやって来たウェイターに、アシュはサンドイッチ、ギーは肉沢山料理、アルはオムレツ、シエルビは蕎麦、俺は海鮮丼を頼む。


「道理で他学年のSクラスが居ないようだ。この煩いのが嫌で別の場所で食べてるんですかね」
「それもあるだろうけど、単に執行部と風紀が忙しいって線もあるんじゃね」
「そんな面倒引き受けたくねーんだけど」
「シアン、Sクラスに居座るなら逃げられないよ」
執行部か風紀になる若しくは、落第し大勢と授業。どれも嫌

「シアン様、お料理が参りましたよ」
ウェイターから料理を受け取り、ユラが俺の前に料理を置いた。
「あぁ。ユラも食べる?」
俺がユラにそう聞くと、アルが俺をじーっと見て来た。

「いいえ。主人のお食事を私が頂くわけにはいきませんので」
アルの視線が痛い......

「ユーラス様、食べて下さい!」
「えーと.....」
アルの乱入にユラは戸惑う

「ほら、お前魚好きだろ?」
「まあ、好きですけど......」
俺は知っている。初等部の頃から海鮮丼ばっか食ってるユラを。
もう一度、ほらって言って飯が乗った箸を近づける

「もー、ありがとうございます」
照れながらそう言って箸の上のご飯と刺身を食べ、「美味いですね」と言った。
顔が近づいたせいで良い匂いがし、俺の手に掛かった息熱くてドキドキする。
鼻血垂らしなが無言でこっちを見るアルに俺とユラは引く。
アシュの後ろに控えている犬っころが、こちらを睨んで舌打ちして来たのでドヤ顔で笑っておいた。
もうあいつ、隠す気ないだろ。

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