ヴィオレットの夢

桃井すもも

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学園

帝国の学園に入って初めて、同じ空間で同年代の異性と肩を並べると云う、驚くべき経験をした。兄とも肩を並べるなど記憶が無い。

異性どころか、同性とさえ姉達と侍女と教師以外に親しく接した事など無かった。

服を着る、身支度をする、食事をする。
日常の生活のひとつひとつが新鮮な驚きを齎した。

年上の学生と接すると、兄や姉を思い出して寂しさを覚えたが、そんな事も帝都と学園の喧騒が蹴散らしてくれた。

学園の寮に入寮し、侍女も従者も付かない生活。
催事の折には、帝国駐留の外交大使邸にて世話を受けるが、母国から伴って来たヴィオレット付きの侍女も平素は大使邸に控えている。

学園は人種の坩堝で、王侯貴族、商家の子息子女に学力優秀な平民も多くいた。

寮では、壁を叩けば隣からも叩かれる、なんて筒抜けの生活を面白く思った。

"おはよう"と"お休みなさい"の挨拶を隣の部屋に面する壁のノックの回数で合図しあったり、そんな少女らしい気安い交流をして、大よそ王女らしからぬ暮らしに溶け込んで行った。

寂しさを感じる事は殆ど無かった。


友人と呼んで良いのか戸惑うも、男女を問わず学友と学ぶ暮らしに、これではお姉様も宮で過ごす時間が減る訳だわ、と学園入学後、顔を合わせる時間の減って行った直ぐ上の姉の行動にも思い至った。



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