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第六章
よく晴れた朝だった。
風があるのか、雪の落ちた木々の枝が揺れているのが窓から見えた。
強い南風が吹くことは、春の訪れを告げている。
子爵邸の長い冬は終わりに近づいていた。気の所為か、昨日、ここに来た時よりも雪が溶けているように思えた。
子爵は一体どこへ行ったのだろう。
マリールイーズの私室の隣、客間として通された部屋は二階にあり、窓から庭園の風景を眺めることができた。
子爵邸の庭園から門扉まで続く私有道路は距離があった。路面を覆う雪に泥が混じり、雪融けが進んでいることが遠目でわかった。
子爵が見つかってくれたなら、ここにも本当の春がやって来るに違いない。
マリールイーズは聡明な少女だった。一見すれば大人びて感じられるが、ふとした瞬間に子供らしい表情が現れる。
昨夜聞いた子爵の言葉は、そんなマリールイーズへの愛情で溢れていた。
妹が聖夜の夜に遺した一人きりの娘は、ハロルドの言葉通り、子爵にとって奇蹟だったのだろう。
朝の支度には侍女が来てくれると聞いていた。
枕が変わったためか、少し早く目が覚めた。窓辺で柔らかな薄桃色の空を眺めるうちに、思考はマリールイーズへと移っていた。
マリールイーズの母はパトリシアという。
肖像画で見た彼女は可憐だった。あのままの姿で彼女が目の前に現れたなら、心を奪われてしまうのも抗い難いことだったろう。
現に彼女は、一人の青年の心を虜にしてしまった。
パトリシアは十八歳でマリールイーズを身籠って、その年の冬に出産している。十二月ということは聞いていたが、それが聖夜だとは昨夜知ったことである。
彼女と出会い彼女を愛し、マリールイーズの父親となった青年とは、学園では同窓だった。
同窓と言ったが、パトリシア自身は学園を卒業していない。最終学年に上がったばかりの春のうちに退学している。
同じ頃、学園には青年の婚約者が入学していた。
状況を並べるだけでも、何があったかわかるだろう。
青年には初めから婚約者がおり、そうであるのに二人は互いに惹かれ合った。
二人が出会った頃は、彼らより二歳年下の婚約者は、まだ学園に入学してはいなかった。二人にとって学園は、初めての恋を知り愛を深めあう神が与えたエデン、楽園だった。
若い二人の情熱がどれほどのものであったかは、エバーシェリンは人伝に聞いている。
当時のことを教えてくれたその彼は、二日後には王都からここへやって来る。
十年前の恋人たちを記憶する貴族は多い。秘めたる恋は、いつの間にか学園では符牒のようになっていく。
惹かれ合う二人がいくら秘密にしていても、多感な学生たちが気づかない筈はなかった。
中には、小説か舞台劇のように、二人の恋を「悲恋の物語」と持て囃す生徒たちもいたようだ。
舞台の幕引きは、パトリシアの退場だった。
いよいよ青年の婚約者が入学して、子爵令嬢パトリシアは、潔く身を引いた。
二人の間では、初めからそういう約束だったのか。一つだけ確かなのは、たとえ天地がひっくり返っても、パトリシアは青年の妻にはなれない。
舞台を降りたパトリシアは、学園からも王都からも姿を消して生家に戻った。
それにより、青年の「お遊び」と見逃されていた関係は終わったのである。
パトリシアの恋人は、この国の王子だった。
王太子フェルナンド。
彼がマリールイーズの実父である。
パトリシアの両親が二人の関係に気づいたときには、すでに恋人たちの関係は深まっていた。彼女が学園の寮に入っていたことで、遠い領地からは目も口も届かなかった。
なにより当時、学園では自由恋愛が横行していた。
貴族の子女は、いずれは家の定めた婚姻を結ぶ。そんな彼らにとって、学生時代は身分の垣根も低くなり、束の間の恋愛を楽しめる貴重な時間だった。
それがフェルナンドにも許されるわけではなかった。彼の婚約者は、筆頭公爵家の令嬢だった。
王家はフェルナンドとパトリシアの恋愛に、一時のことと猶予を与えていた。それは二人の恋が、初恋の延長であるようなプラトニックな関係だったからだろう。
パトリシアが身籠ったのは、フェルナンドとの別れが迫った最後の春だった。
フェルナンドの婚約者が入学した。彼女こそフェルナンドが未来をともに歩む本当のパートナーである。
終わりを迎えた関係は、激しい恋の炎となって、心だけの繋がりは結実してしまった。
パトリシアは、身の内に芽生えた命に気づくと、すぐさま生家へ戻った。
両親と兄に愛されて大切に育てられた令嬢は、学園での学びも貴族としての未来も、人生の何もかもを一片の迷いもなく捨て去った。
フェルナンドが与えてくれた我が子だけが、彼女の希望であり幸福だったのだろう。
パトリシアは結局、自分の身体すら失って、恋人への愛情を抱いたまま天へ召された。
生まれた娘に恋人の面影があることを、彼女は知っていただろうか。
マリールイーズの面立ちは、フェルナンドによく似ている。
昨日、マリールイーズに会った時に、見覚えがあると思ったのは、彼女がフェルナンドとあまりに似ていたからである。
チョコレート色の髪は、そんな彼女を外界から引き離す隠れ蓑のようだった。
ロイヤル・ブルーの瞳も利発さが覗く表情も、マリールイーズは実父フェルナンドの血を色濃く受け継いでいた。
ガヴァネスだったミーガン夫人は、すぐにそのことに気づいただろう。むしろ、初めから王家の意向があってここに来たのではなかったか。
子爵が何故、彼女をマリールイーズの教育者として受け入れたかは、今のところはわからない。
マリールイーズの存在を王家は初めから知っていた。子爵家が王太子の落胤を表舞台に出さないことで、かろうじて均衡が保たれていた。
フェルナンドはこれまでも、マリールイーズの存在に触れることはなかった。
彼は、マリールイーズが生まれてパトリシアが他界した二年後には、婚約者が学園を卒業するのを待って結婚している。
だからこそ、妃となったかつての婚約者、王太子妃サンドラは今も静観しているのだろう。
最大の懸念であるのは、フェルナンドとサンドラに子が授からないことだった。二人が結婚してから七年が経っている。
王国は一夫一婦制である。この国に側妃制度はなく、フェルナンドの子を産めるのはサンドラだけである。
フェルナンドに正常な子種があることは、奇しくもマリールイーズが証明している。
王国でフェルナンドの血を引く子は、マリールイーズただ一人なのである。
当主が行方知れずとなり子爵家に残されたマリールイーズを、誰が一番欲しているか。
明後日、王都からやって来るレヴィルス伯爵は、フェルナンドの学生時代の友人である。
彼も今は爵位を継いで臣下となっている。その彼が急遽王都に呼ばれたのは、すべてはマリールイーズの存在にある。
王家は今まで表向きは不干渉を貫いてきた。
マリールイーズは「過ちの子」と見なされて、これからも王都から遠く離れた子爵領で生涯を終える筈だった。
王家の血筋という表舞台があることをマリールイーズは知らずに育った。子爵家こそが彼女にとっての表舞台なのだから。
風があるのか、雪の落ちた木々の枝が揺れているのが窓から見えた。
強い南風が吹くことは、春の訪れを告げている。
子爵邸の長い冬は終わりに近づいていた。気の所為か、昨日、ここに来た時よりも雪が溶けているように思えた。
子爵は一体どこへ行ったのだろう。
マリールイーズの私室の隣、客間として通された部屋は二階にあり、窓から庭園の風景を眺めることができた。
子爵邸の庭園から門扉まで続く私有道路は距離があった。路面を覆う雪に泥が混じり、雪融けが進んでいることが遠目でわかった。
子爵が見つかってくれたなら、ここにも本当の春がやって来るに違いない。
マリールイーズは聡明な少女だった。一見すれば大人びて感じられるが、ふとした瞬間に子供らしい表情が現れる。
昨夜聞いた子爵の言葉は、そんなマリールイーズへの愛情で溢れていた。
妹が聖夜の夜に遺した一人きりの娘は、ハロルドの言葉通り、子爵にとって奇蹟だったのだろう。
朝の支度には侍女が来てくれると聞いていた。
枕が変わったためか、少し早く目が覚めた。窓辺で柔らかな薄桃色の空を眺めるうちに、思考はマリールイーズへと移っていた。
マリールイーズの母はパトリシアという。
肖像画で見た彼女は可憐だった。あのままの姿で彼女が目の前に現れたなら、心を奪われてしまうのも抗い難いことだったろう。
現に彼女は、一人の青年の心を虜にしてしまった。
パトリシアは十八歳でマリールイーズを身籠って、その年の冬に出産している。十二月ということは聞いていたが、それが聖夜だとは昨夜知ったことである。
彼女と出会い彼女を愛し、マリールイーズの父親となった青年とは、学園では同窓だった。
同窓と言ったが、パトリシア自身は学園を卒業していない。最終学年に上がったばかりの春のうちに退学している。
同じ頃、学園には青年の婚約者が入学していた。
状況を並べるだけでも、何があったかわかるだろう。
青年には初めから婚約者がおり、そうであるのに二人は互いに惹かれ合った。
二人が出会った頃は、彼らより二歳年下の婚約者は、まだ学園に入学してはいなかった。二人にとって学園は、初めての恋を知り愛を深めあう神が与えたエデン、楽園だった。
若い二人の情熱がどれほどのものであったかは、エバーシェリンは人伝に聞いている。
当時のことを教えてくれたその彼は、二日後には王都からここへやって来る。
十年前の恋人たちを記憶する貴族は多い。秘めたる恋は、いつの間にか学園では符牒のようになっていく。
惹かれ合う二人がいくら秘密にしていても、多感な学生たちが気づかない筈はなかった。
中には、小説か舞台劇のように、二人の恋を「悲恋の物語」と持て囃す生徒たちもいたようだ。
舞台の幕引きは、パトリシアの退場だった。
いよいよ青年の婚約者が入学して、子爵令嬢パトリシアは、潔く身を引いた。
二人の間では、初めからそういう約束だったのか。一つだけ確かなのは、たとえ天地がひっくり返っても、パトリシアは青年の妻にはなれない。
舞台を降りたパトリシアは、学園からも王都からも姿を消して生家に戻った。
それにより、青年の「お遊び」と見逃されていた関係は終わったのである。
パトリシアの恋人は、この国の王子だった。
王太子フェルナンド。
彼がマリールイーズの実父である。
パトリシアの両親が二人の関係に気づいたときには、すでに恋人たちの関係は深まっていた。彼女が学園の寮に入っていたことで、遠い領地からは目も口も届かなかった。
なにより当時、学園では自由恋愛が横行していた。
貴族の子女は、いずれは家の定めた婚姻を結ぶ。そんな彼らにとって、学生時代は身分の垣根も低くなり、束の間の恋愛を楽しめる貴重な時間だった。
それがフェルナンドにも許されるわけではなかった。彼の婚約者は、筆頭公爵家の令嬢だった。
王家はフェルナンドとパトリシアの恋愛に、一時のことと猶予を与えていた。それは二人の恋が、初恋の延長であるようなプラトニックな関係だったからだろう。
パトリシアが身籠ったのは、フェルナンドとの別れが迫った最後の春だった。
フェルナンドの婚約者が入学した。彼女こそフェルナンドが未来をともに歩む本当のパートナーである。
終わりを迎えた関係は、激しい恋の炎となって、心だけの繋がりは結実してしまった。
パトリシアは、身の内に芽生えた命に気づくと、すぐさま生家へ戻った。
両親と兄に愛されて大切に育てられた令嬢は、学園での学びも貴族としての未来も、人生の何もかもを一片の迷いもなく捨て去った。
フェルナンドが与えてくれた我が子だけが、彼女の希望であり幸福だったのだろう。
パトリシアは結局、自分の身体すら失って、恋人への愛情を抱いたまま天へ召された。
生まれた娘に恋人の面影があることを、彼女は知っていただろうか。
マリールイーズの面立ちは、フェルナンドによく似ている。
昨日、マリールイーズに会った時に、見覚えがあると思ったのは、彼女がフェルナンドとあまりに似ていたからである。
チョコレート色の髪は、そんな彼女を外界から引き離す隠れ蓑のようだった。
ロイヤル・ブルーの瞳も利発さが覗く表情も、マリールイーズは実父フェルナンドの血を色濃く受け継いでいた。
ガヴァネスだったミーガン夫人は、すぐにそのことに気づいただろう。むしろ、初めから王家の意向があってここに来たのではなかったか。
子爵が何故、彼女をマリールイーズの教育者として受け入れたかは、今のところはわからない。
マリールイーズの存在を王家は初めから知っていた。子爵家が王太子の落胤を表舞台に出さないことで、かろうじて均衡が保たれていた。
フェルナンドはこれまでも、マリールイーズの存在に触れることはなかった。
彼は、マリールイーズが生まれてパトリシアが他界した二年後には、婚約者が学園を卒業するのを待って結婚している。
だからこそ、妃となったかつての婚約者、王太子妃サンドラは今も静観しているのだろう。
最大の懸念であるのは、フェルナンドとサンドラに子が授からないことだった。二人が結婚してから七年が経っている。
王国は一夫一婦制である。この国に側妃制度はなく、フェルナンドの子を産めるのはサンドラだけである。
フェルナンドに正常な子種があることは、奇しくもマリールイーズが証明している。
王国でフェルナンドの血を引く子は、マリールイーズただ一人なのである。
当主が行方知れずとなり子爵家に残されたマリールイーズを、誰が一番欲しているか。
明後日、王都からやって来るレヴィルス伯爵は、フェルナンドの学生時代の友人である。
彼も今は爵位を継いで臣下となっている。その彼が急遽王都に呼ばれたのは、すべてはマリールイーズの存在にある。
王家は今まで表向きは不干渉を貫いてきた。
マリールイーズは「過ちの子」と見なされて、これからも王都から遠く離れた子爵領で生涯を終える筈だった。
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