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短編集

森の怪物

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この町には怪物の森と呼ばれる森がある。
森の中に入った人が行方不明になり、誰も帰って来ない。
怪物が森に入った人を食べているからと言われ、みんな森に近寄らない。

「おーい、ブルー」

学校から家に帰ろうと歩いていると、
森の方から自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
ブルーは誰だろう?と、森に近付くと、
茂みから真っ黒い瞳がブルーを見つめていた。

「えっ・・・」

いつの間にかブルーは森の中にいた。
いつ自分は森の中に入ったのかと、混乱していると
後ろからガサガサと音が聞こえた。

振り向くとそこにいたのは目が真っ黒な赤く血で染まった
人の形をした何かだった。

ブルーはその場から逃げようと走る。
不気味なものはブルーを追いかけようと近づいてくる。
自分が今どこにいるのかもわからない森の中で
その怪物から逃げながらも出口を探し、走る。

怪物から逃げている途中、石に躓き転んでしまった。

「うぅ・・・っ」

足を痛めてしまい、痛みで動けなくなってしまった。
怪物に見つからないように腕で動かし、茂みに隠れると
ガサガサと草をかき分けて怪物がやって来た。
ブルーは自分の口を押さえて声を出さないようにする。

怪物の息遣いが後ろから聞こえ、
ブルーは体がビクリと震え、息を殺す。

(ボクのすぐ後ろに怪物がいる・・・)

少し遠くの方から人の声が聞こえ、怪物はそっちの方に走って行った。

「はぁ、はぁ・・・この森から出ないと・・・」

暗くなる森を早く出ようとブルーは足を引き摺りながらも進んでいく。

汗が流れる。
痛みで顔をしかめながらも
森を抜ける道を探していると、後ろから声をかけられた。

「うわぁ!?」

急に声をかけられたことに驚いて声を出してしまった。

「しーっ!静かに!化け物に気づかれる!!」

男の人がブルーの口を押さえて小声で喋る。
ブルーはこくりと頷くとブルーの口を押さえていた手を離した。

「あっちの道に進むとこの森から出られる・・・暗くなる前に行こう・・・
あぁ、足を怪我しているのかい?支えてあげるから、肩につかまって」

「あ、ありがとう」

男はブルーの腰に手を回し支える。

「痛くないかい?」

「は、はい、大丈夫です」

男はブルーに微笑み笑った。

「よかった。家に帰ったらブルーちゃんの怪我、早く治さないとね」

男はニコニコと笑い、森の中を歩いて行く。
進んでいくと、さっき自分が隠れていた茂みがあり、
自分がいた道に戻っていることに気がついた。
ブルーは急にこの男が怖くなり、体が震え出す。

「どうしたんだい?あぁ、さっきまで化け物に追われていたんだ。
怖かったね。でも大丈夫。私がいるから、他の化け物には襲われないよ」

「えっ・・・」

空が暗くなっていく。
奥に進んでいくとそこにひとつ家があった。

「さぁ、君と私の家だよ。この家で暮らすんだ」

ブルーは男から離れようと暴れるが、びくともせず、更に抱き抱えられる。

「これから永遠に私と一緒にいるんだ。ブルー・・・」

男はニヤリと笑った。

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