転移事故に巻き込まれたオッサン、《鑑定》と《インベントリ》をハッキングして最強になってしまう

邪神ミケネコタマス

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第1話:オッサン、“はんぶんこ”される。

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 太陽はとっくに勤務時間を終えて帰宅し、交代した筈の月も雲に隠れて仕事をしない。そんな深夜に、俺はコンビニ弁当を持って自宅のボロアパートに向かっていた。時刻は23時38分。明日は5時26分の電車に乗るので、最早時間が無い。とはいえ俺の胸中に焦りは無かった。何せいつもの事である。生きてて楽しい事も特にない。死にたいとは言わないが、別に生きていたい訳じゃない。指示されたタスクを完了するだけの、歩く備品。それ以上の価値など俺には無い。

 なんて事を面と向かって口にしようものなら、皆が口を揃えて言うだろう。家庭を持たないからだと。それを否定はしないが、家庭など持った所で仕方ない。深夜に帰って飯食って寝るだけの人生を誰と共有しろと言うのか。そんな人生を共に歩まなければいけない嫁さんが可哀想である。まぁ仕方ない。ヒトとはそういう生き物なのだ。穴を見つけたら突っ込みたがる。それが例え心に出来た傷跡だろうが、突っ込んだ結果多大な責任が生じようが。後先考えずに突っ込んでしまうのだ。

 なんて下らない事を考えていたせいで、辺りが突然照らされた事に暫く気が付かなかった。

「ようやく電灯直ったのか」

 そんな独り言を呟いて上を見上げるが、相変わらずここの電灯は割れたままだった。周囲には人も車もない。もしや右手に持ったスマホのライトが点いているのかと視線を下げれば、足元には少年心をくすぐる魔法陣が。そのあまりの精巧さに暫し見惚れ、それを足で踏んでしまった事に罪悪感を感じ。そこから立ち退こうとした瞬間、魔法陣から眩い光の柱が立ち昇った。

「おぉ?」

 右半身は光の中に、左半身は光の外に。右目だけがすこぶる眩しくて、左目はそうでもない。なんて不思議な光景。なんという怪奇現象。

 しかし瞬きをした途端、右目は真っ暗に。いや、そうではなく。右手の感覚が。視界が倒れていく。踏ん張らなければ。右足で。右足は? 痛い。寒い。耳鳴りが煩い。なんか妙に地面が近い...? なにが。どうな
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