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第4話:オッサン、整う
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インベントリって言ったらインベントリが開いた。またウィンドウだった。これ誤爆しないかな。ちょっと不安なんですが。
まぁそれはともかく、俺は賢者の識書をインベントリに閉まって、代わりにサンドイッチ(肉、野菜)というアイテムを呼び出した。インベントリはゲームで見たようなアイコンが並んでいて、それをタップすることで分解、破棄、呼び出しの選択肢が出る。サンドイッチは鶏肉とレタス、トマトが挟まっていた。それをもそもそ食べながら、インベントリの中身を確認。
「お、コーヒーあった」
タップして呼び出し、サンドイッチとは反対の手で握る。キンキンに冷えたアイスコーヒー。暖かい日差しと気持ち良い微風の下、地べたに座ってサンドイッチとアイスコーヒーを楽しむ。これは正しく、地球では体験出来なかったピクニックではないか。
「死ぬ事すら許されないとか思ってたけど、これは神様に感謝だなぁ。ありがたや」
スマホを弄る感覚でインベントリを弄り回していると、賢者の識書が言っていた便利な魔導具とやらを見つけた。豪華なテント、火種の指輪、魔法の鍵、そしてタバコ(無限)!そう、俺は喫煙者だ。タバコでも吸わないとやってられないんだよ、オジサンはね。サンドイッチを食べ終わったので、早速タバコを取り出して一服。灰はインベントリのウィンドウに落とせばアイテムとして収納されるので便利。火は火種の指輪を人差し指に嵌めて着けた。タバコを咥えながら、天を仰ぐ。空を飛ぶには明らかに無理があるボールみたいな鳥が、編隊を組んで飛んでいた。青空は抜けるように遠く、広く、清々しい。
「あぁ...」
意味もなく感嘆を漏らす。
「報われた、って奴なのかね」
ゆっくりタバコを1本味わった後、2本目に火を着ける。そして立ち上がり、豪華なテントを呼び出してみる。見た目は少し大きめの普通のテントだ。全然豪華さは感じない。
「中が豪華なのか?」
タバコをテントに擦らないように気を付けながらテントの中に入る。そして直ぐに外へ出て、テントの周りを1周した。
「え? いやいやいや」
もう一度、テントに頭を突っ込む。そこはまるでスウィートルーム。ジャグジーバスにキングサイズのベッド、革張りのソファ、よく分からないけど高そうな机。
「わーぉ」
日本では入った事も無いホテルのスウィートルームが、その辺のレジャー用品店に売ってそうなテントの中に存在している。まるで魔法だぁ。いや魔法かぁ。そうだここ異世界だぁ。
とりあえず革張りのソファに座り、短くなったタバコをそのままインベントリに突っ込む。整理整頓?大丈夫。ソート機能があるよ!
「うわぁ...フッカフカだぁ...なんか眠たくなってきたぁ」
と言いつつも、そう簡単に眠れないのがオジサンの悲しい性。オジサンは皆不眠症気味なのさ!
「これからどうすっかなぁ...」
仕事に追われ、時間に追われ。色々なモノに追われてきた人生だ。何度、こんな自由を望んだ事か。だがいざ自由を与えられると、何をしていいのか分からない。意味もなく、鑑定を使ってウィンドウを呼び出してしまう。
『ソファ:革張りでフカフカ。職人がこだわった逸品』
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『N/A』
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「ん? 何だ今の」
綺麗に整列しながら重なっていくウィンドウを見ていたら、その中に妙なウィンドウを見つけた。ウィンドウの列からそいつを引っ張り出す。
『N/A』
「Not Applicable?なんだよ該当無しって」
気になったので、そのウィンドウを鑑定してみる。
『%&@/A』
「おい、バグったぞ」
ちょっと面白くなって来たので、そのウィンドウにまた鑑定を連打。意味不明な文字列が並んだウィンドウが沢山量産されていく。
「応答があるって事は接続が切れてる訳ではない。最初に出たのは該当無し。つまり根源に存在しない情報? 段々文字数が増えていく...これあれか、DDoS攻撃みたくなってる?」
暫し考え、タバコに火を着ける。
「うーむ...いっちゃぇ!」
全力で鑑定連打。ウィンドウが徐々に大きくなっていき、遂には点滅し始める。もうちょいもうちょい!
「うおぉぉおぉぉおおお!」
ウィンドウの表示位置すらバグり始めて少し。遂に俺は成し遂げた。全てのウィンドウは消え、何故かインベントリまで消え。俺の目の前にあるのは、謎の小さい箱。そこには大きな鍵穴が1つだけ付いている。
「あ、鍵ならあるぞ!」
てっきりテントに入る時に使うんだと思ってポッケに閉まった魔法の鍵。それを、鍵穴に差し込んでみる。ガチッと何かが嵌る。
「お! なんだ、イースターエッグってやつか?」
年甲斐もなくワクワクしながら鍵を回し、箱を開ける。次の瞬間、眩い光が溢れ出して俺の目に突き刺さった。
「アアアアアアア!!!メガァァァァァァ!!」
頭に流れ込んでくるナニカ。変えられていくナニカ。ナニガ、ドウナッテ?
まぁそれはともかく、俺は賢者の識書をインベントリに閉まって、代わりにサンドイッチ(肉、野菜)というアイテムを呼び出した。インベントリはゲームで見たようなアイコンが並んでいて、それをタップすることで分解、破棄、呼び出しの選択肢が出る。サンドイッチは鶏肉とレタス、トマトが挟まっていた。それをもそもそ食べながら、インベントリの中身を確認。
「お、コーヒーあった」
タップして呼び出し、サンドイッチとは反対の手で握る。キンキンに冷えたアイスコーヒー。暖かい日差しと気持ち良い微風の下、地べたに座ってサンドイッチとアイスコーヒーを楽しむ。これは正しく、地球では体験出来なかったピクニックではないか。
「死ぬ事すら許されないとか思ってたけど、これは神様に感謝だなぁ。ありがたや」
スマホを弄る感覚でインベントリを弄り回していると、賢者の識書が言っていた便利な魔導具とやらを見つけた。豪華なテント、火種の指輪、魔法の鍵、そしてタバコ(無限)!そう、俺は喫煙者だ。タバコでも吸わないとやってられないんだよ、オジサンはね。サンドイッチを食べ終わったので、早速タバコを取り出して一服。灰はインベントリのウィンドウに落とせばアイテムとして収納されるので便利。火は火種の指輪を人差し指に嵌めて着けた。タバコを咥えながら、天を仰ぐ。空を飛ぶには明らかに無理があるボールみたいな鳥が、編隊を組んで飛んでいた。青空は抜けるように遠く、広く、清々しい。
「あぁ...」
意味もなく感嘆を漏らす。
「報われた、って奴なのかね」
ゆっくりタバコを1本味わった後、2本目に火を着ける。そして立ち上がり、豪華なテントを呼び出してみる。見た目は少し大きめの普通のテントだ。全然豪華さは感じない。
「中が豪華なのか?」
タバコをテントに擦らないように気を付けながらテントの中に入る。そして直ぐに外へ出て、テントの周りを1周した。
「え? いやいやいや」
もう一度、テントに頭を突っ込む。そこはまるでスウィートルーム。ジャグジーバスにキングサイズのベッド、革張りのソファ、よく分からないけど高そうな机。
「わーぉ」
日本では入った事も無いホテルのスウィートルームが、その辺のレジャー用品店に売ってそうなテントの中に存在している。まるで魔法だぁ。いや魔法かぁ。そうだここ異世界だぁ。
とりあえず革張りのソファに座り、短くなったタバコをそのままインベントリに突っ込む。整理整頓?大丈夫。ソート機能があるよ!
「うわぁ...フッカフカだぁ...なんか眠たくなってきたぁ」
と言いつつも、そう簡単に眠れないのがオジサンの悲しい性。オジサンは皆不眠症気味なのさ!
「これからどうすっかなぁ...」
仕事に追われ、時間に追われ。色々なモノに追われてきた人生だ。何度、こんな自由を望んだ事か。だがいざ自由を与えられると、何をしていいのか分からない。意味もなく、鑑定を使ってウィンドウを呼び出してしまう。
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綺麗に整列しながら重なっていくウィンドウを見ていたら、その中に妙なウィンドウを見つけた。ウィンドウの列からそいつを引っ張り出す。
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「Not Applicable?なんだよ該当無しって」
気になったので、そのウィンドウを鑑定してみる。
『%&@/A』
「おい、バグったぞ」
ちょっと面白くなって来たので、そのウィンドウにまた鑑定を連打。意味不明な文字列が並んだウィンドウが沢山量産されていく。
「応答があるって事は接続が切れてる訳ではない。最初に出たのは該当無し。つまり根源に存在しない情報? 段々文字数が増えていく...これあれか、DDoS攻撃みたくなってる?」
暫し考え、タバコに火を着ける。
「うーむ...いっちゃぇ!」
全力で鑑定連打。ウィンドウが徐々に大きくなっていき、遂には点滅し始める。もうちょいもうちょい!
「うおぉぉおぉぉおおお!」
ウィンドウの表示位置すらバグり始めて少し。遂に俺は成し遂げた。全てのウィンドウは消え、何故かインベントリまで消え。俺の目の前にあるのは、謎の小さい箱。そこには大きな鍵穴が1つだけ付いている。
「あ、鍵ならあるぞ!」
てっきりテントに入る時に使うんだと思ってポッケに閉まった魔法の鍵。それを、鍵穴に差し込んでみる。ガチッと何かが嵌る。
「お! なんだ、イースターエッグってやつか?」
年甲斐もなくワクワクしながら鍵を回し、箱を開ける。次の瞬間、眩い光が溢れ出して俺の目に突き刺さった。
「アアアアアアア!!!メガァァァァァァ!!」
頭に流れ込んでくるナニカ。変えられていくナニカ。ナニガ、ドウナッテ?
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