転移事故に巻き込まれたオッサン、《鑑定》と《インベントリ》をハッキングして最強になってしまう

邪神ミケネコタマス

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第8話:オッサン、初戦闘

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 騎馬が近付いてくる。上に乗った5人の男達は皆、楽しそうに談笑していた。どう見ても盗賊とかそういう類いの人種である。とはいえ、見た目で判断するのは良くない。一応、会話をしてみるか。

「おい、待て。あの馬車に何の用だ?」
「失せろ! オッサン!」
「正義の味方かぁ~?」
「ギャハハ!」

 へぇー。そういう事言うんだ。男達はすれ違いざまに俺の足下に唾を吐き、ゲラゲラ笑いながら通り過ぎていった。じゃあ、やっちゃってもいいよね!

「待てと言っただろう」

 《念動力》で馬を数cm浮かせる。馬は混乱して必死に走るが、浮いているので当然前には進まない。男達の1人が馬から降り、傍にしゃがんで馬が浮いているのを確認する。それを皮切りに、他の男達も一緒になってそれを確認し始めた。しかしそのうち、馬を浮かせたのが俺ではないかと気付き始めたらしく。これ見よがしに剣をチラつかせながらこちらへ歩いてくる。

「オイ! オッサン!テメェかこれ!」
「調子こいてんじゃねぇぞゴラァ」

 口々に威嚇しながら寄っては来るものの、剣を使おうとはしない。そしてそうこうしている間にも、馬車はグングンと俺達から離れていく。

「何とか言えや!」
「ビビってんじゃねぇぞオイ!」
「てか馬車行っちまったじゃねぇか...」
「チッ...ウゼェな」
「死ぬか? オッサン」

 1人の男が剣を俺の首へ突き付ける。それを《念動力》で掴み、無理矢理自分から引き離す。男は顔を歪めて腕力で抗おうとするが、その程度で止められる程《念動力》は優しくない。

「テ...メェ......」

 歯を食いしばりながら抗う男。その男の身体に触れ、《念動力》で吹き飛ばす。それが戦闘開始の合図だった。先程までとは打って変わって男達は静かだ。《念動力》を自分の周囲にシールド代わりに展開。これは同時に、自分の周囲の状態も把握出来る。

 背後から、首筋を狙った一閃。少し頭を下げながら後ろに下がり、同時に左手から魔力を放射。首を狙ってきた男が盛大に空振りし、バランスを崩した。その場所は、俺が魔力を振り撒いた場所だ。その場所に男が足を踏み入れた瞬間、《魔力変換》で魔力を凍結現象に変換。

「ァ」

 男は小さく呻き声をあげ、全身が凍り付いた。右手を胸の前に出し、下にした手の平から魔力を放射。それを《魔力変換》で氷に変換し、《念動力》で鋭い杭に加工。手を振り払い、手近にいた男に向けて射出する。男は目を見開いて驚きながらも、何とかそれを剣で振り払う。しかし砕けた氷が再度男を襲い、幾つかは剣で砕き落としたものの残りの破片を腹や脚に食らう。

「クッ...ソ......」

 破片を食らった男の身体が徐々に凍り付いていき、遂には氷像と化した。それを遠巻きに見ていた残りの3人が数歩後退り、そのまま駆け出していく。

「クソッ! 何なんだアイツ!」
「知るかよ! 早く走れ!」
「クソッ...クソッ...クソッ!」

 だが奴らが走り出した方向には馬車が居る。悪いが、そちらに行かせる訳には行かない。

 手を伸ばす。《魔力変換》の実験も《念動力》の実験も出来た。人を殺してみたが、半身となった影響か元々そうなのか。特に何かを感じる事も無い。

「まぁ、そんなもんか」

 《念動力》を使用。奴らの首を握り潰す。3人の男は少しだけそのまま走り、そして倒れた。さて、馬車の奴らに報告しに行くか。まぁまぁ楽しいイベントだったな!
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