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第7話:オッサン、旅立つ
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翌朝。なんだかんだスッキリ快調に目覚めた俺は、身支度を整えてテントを出る。短剣は右腰に吊り下げた。頑張った。テントはそのままインベントリにぶち込んで終了。なんと便利なのだ、インベントリ。
「よし、行くか」
向かう先は南西方向。街道都市ウェイリートだ。俺が今居るのが大陸西側の中央部分。キドム王国の領地だ。この大陸は東西南北を別々の国が統治している。北のペレア帝国、南のウルス連邦、西のキドム王国、東のイクリッド教国。ただしウルス連邦は既に解体され、各地の貴族が国土統一を目指す戦乱の地と化している。そんな中でもウェイリートは元ウルス連邦領との貿易で栄えた都市で、キドム王国では随一の商業都市だ。まぁ今はウルス連邦解体に伴って色々大変らしいが。因みに、全て根源のメモリー領域にあった情報だ。
それからしばらく、ただ南西方向に歩いた。真っ直ぐ真っ直ぐ。時々マテリアル領域経由で現在地と周辺情報を確認しつつ。ただ真っ直ぐ歩いた。すると、ウェイリートに続く街道に出た。ウェイリートは街道都市の名の通り、街道に出来た街だ。アーモンド型の街の真ん中を、街道が貫いている。つまりこの街道をただ進めば着く街なのだが。
「飽きた。なんかもう、充分頑張った気がする」
何となく歩き出してみたは良いものの、スマホも無いこの異世界でただ真っ直ぐ歩き続けるのは苦行だ。何か、何かする事は無いか。
俺が考えを巡らせながら両手をワキワキさせていると、何やら騒々しい馬車が猛スピードで走り抜けていった。その馬車を追うように3頭の騎馬が続く。背には3頭合わせて5人の男達。口々に何かを叫びながら、抜き身の剣をブンブン振り回している。
「ほほぅ。これはトラブルの予感...!」
とはいえ、事情が分からない事にはどうしようもない。騎馬の5人組よりは馬車の行者の方が話が通じそうだったので、そちらに話し掛ける事にしよう。
「第一印象は大事だからな。格好良く行こう!」
「《アクセス:マテリアル》!」
マテリアル領域にアクセス。さっきの馬車の位置情報と自分の位置情報をリンクさせ、ちょうど屋根に乗れるように俺の位置情報を少しだけ上に変える。そして、格好良く着地した風なポーズを取れば...。
「うわぁ!」
何とびっくり、俺は疾走する馬車の屋根にテレポートした!しかし馬車の行者は、どうやら後ろを気にしながら馬車を走らせていたようで。テレポート完了した瞬間に気付かれてしまったし、行者は懐から短剣を抜こうとしている。
「手助けはいるか」
努めて冷静に、ハッキリと。
「は? いや、待てアンタ誰だ」
「通りすがりだ。まぁ通り過ぎたのはそっちだが」
「いや、は? 待て待て意味が分からん!」
「死にたいか、死にたくないかだ」
「そりゃ死にたくはな「なら手を貸そう。このまま走れ」は?」
残念!話は通じなかった!まぁそれはさておき、俺は馬車の屋根から格好良く飛び降りて騎馬を待った。大丈夫、神様が半神にしたとか言ってただろう?お陰で身体能力も上がっているのだ!ちょっと怖かったけども。
「よし、行くか」
向かう先は南西方向。街道都市ウェイリートだ。俺が今居るのが大陸西側の中央部分。キドム王国の領地だ。この大陸は東西南北を別々の国が統治している。北のペレア帝国、南のウルス連邦、西のキドム王国、東のイクリッド教国。ただしウルス連邦は既に解体され、各地の貴族が国土統一を目指す戦乱の地と化している。そんな中でもウェイリートは元ウルス連邦領との貿易で栄えた都市で、キドム王国では随一の商業都市だ。まぁ今はウルス連邦解体に伴って色々大変らしいが。因みに、全て根源のメモリー領域にあった情報だ。
それからしばらく、ただ南西方向に歩いた。真っ直ぐ真っ直ぐ。時々マテリアル領域経由で現在地と周辺情報を確認しつつ。ただ真っ直ぐ歩いた。すると、ウェイリートに続く街道に出た。ウェイリートは街道都市の名の通り、街道に出来た街だ。アーモンド型の街の真ん中を、街道が貫いている。つまりこの街道をただ進めば着く街なのだが。
「飽きた。なんかもう、充分頑張った気がする」
何となく歩き出してみたは良いものの、スマホも無いこの異世界でただ真っ直ぐ歩き続けるのは苦行だ。何か、何かする事は無いか。
俺が考えを巡らせながら両手をワキワキさせていると、何やら騒々しい馬車が猛スピードで走り抜けていった。その馬車を追うように3頭の騎馬が続く。背には3頭合わせて5人の男達。口々に何かを叫びながら、抜き身の剣をブンブン振り回している。
「ほほぅ。これはトラブルの予感...!」
とはいえ、事情が分からない事にはどうしようもない。騎馬の5人組よりは馬車の行者の方が話が通じそうだったので、そちらに話し掛ける事にしよう。
「第一印象は大事だからな。格好良く行こう!」
「《アクセス:マテリアル》!」
マテリアル領域にアクセス。さっきの馬車の位置情報と自分の位置情報をリンクさせ、ちょうど屋根に乗れるように俺の位置情報を少しだけ上に変える。そして、格好良く着地した風なポーズを取れば...。
「うわぁ!」
何とびっくり、俺は疾走する馬車の屋根にテレポートした!しかし馬車の行者は、どうやら後ろを気にしながら馬車を走らせていたようで。テレポート完了した瞬間に気付かれてしまったし、行者は懐から短剣を抜こうとしている。
「手助けはいるか」
努めて冷静に、ハッキリと。
「は? いや、待てアンタ誰だ」
「通りすがりだ。まぁ通り過ぎたのはそっちだが」
「いや、は? 待て待て意味が分からん!」
「死にたいか、死にたくないかだ」
「そりゃ死にたくはな「なら手を貸そう。このまま走れ」は?」
残念!話は通じなかった!まぁそれはさておき、俺は馬車の屋根から格好良く飛び降りて騎馬を待った。大丈夫、神様が半神にしたとか言ってただろう?お陰で身体能力も上がっているのだ!ちょっと怖かったけども。
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