21 / 63
第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
15:魔法修行③-2
しおりを挟む
それでもエリィは苦戦した。両足に魔力を集中させるのは出来ても、両手には難しく考えていそうだ。万歳をして叫びながら魔力を集中させたり、足と同じように両手も地面について四つん這いの状態で魔力を集めようとしたり、色々体制を変えながらやってみても上手くいかない。
なんとか硬い頭をほぐした方がいいな。じゃないと足から魔法を発動し、『両脚の魔法使い』とか呼ばれることになるだろう。いや、それはそれで面白いか?
とりあえずうまく行かなくて凹んでいるエリィに近付いていく。
「むぅ……」
「エリィ?」
「……はい」
むくれている。ちょっと可愛く見えてしまうが、彼女としては真剣さの表れなんだろう。その真剣さには俺も答えないとな。
「魔力布衣! そのまま足に集中!」
「!! はい!」
「そのまましゃがんで左右の足首をそれぞれの手で掴め」
「はい!」
「手と足が一体だと思い込んで。足に溜まっている魔力が、掴んだ手も一緒に包み込むのがわかるはずだぞ」
「……!」
気付いたか。自分が操作する魔力とは、簡単にくっつけたり剥がしたりできるのが特徴的で、体の部位をくっ付ければ当然魔力もくっつく。この“当たり前”に行なっている作業を認識してるかしてないかだけでも、今後魔力を使う上では大きな差として生まれてくるのだ。
真の意味で当たり前にしていくには、もっともっと研鑽が必要だがな。
「いいか、その触れている魔力はすべてエリィの魔力だ。両手に触れている魔力を、今度はゆっくりと手に乗っているイメージで立ち上がってみろ」
両手足に集中した魔力を、掬い上げる様にしながら手を離して立ち上がる。足にあった魔力はエリィの両手に移り、両手共にほぼ同等の魔力を維持できた。エリィもその簡単に出来たことに驚いたような顔をしている。
今度はそれを使って魔法の並列軌道だ。と言っても、いつもの魔法発動を両手で行うだけなので難しいことは一つもない。
普段から魔法を使うイメージもしっかりさせているので……うん、ほらみろ。すぐ出来てるじゃないか。
「師匠! 出来ましたよ! 同時に二つも!」
「おうおう。エリィは本当に出来る子だな!」
「えへへへ」
最初は同じ魔法を二つ同時に発動できればいい方だが、エリィはウィンドバレットとウィンドボールの2種魔法同時起動をやってのけだのだ。毎回イメージをしっかりさせてたとはいえ、初めからこのレベルを発動できるのは凄い。さらに両手に魔力を乗せる感覚もしっかりと掴み取れたのだろう、同時発動もそうだが、時間差で2種類発動させたり、2属性を発動させたりと魔法で遊ぶことも出来ている。
そのまま土壁にぶつけさせたが、威力も申し分ない。これなら同属性や別属性の複合魔法なんかも修行に取り込めるようになるし……クククク、これでまた修行を増やせるなぁ……?
「……師匠、なんか悪いこと考えてません?」
「ん? ナンノコトカナ?」
「…………」
あとは左右で込める魔力量を変更したり、純粋に魔力を飛ばしてからその魔力を属性へと遠隔で操作したりと、やる事がどんどん増えていく。そろそろ魔素も認識させていかねばならんな。魔素は扱いに気を付けなければ、暴走や魔素中毒などになったりと危ない一面もあるから、俺も一層気合を入れないと。
その日は夜まで並列起動のための魔力操作や感覚の研鑽、そして魔法同時起動から別属性を順番に発動させることへ時間を費やした。
なんとか硬い頭をほぐした方がいいな。じゃないと足から魔法を発動し、『両脚の魔法使い』とか呼ばれることになるだろう。いや、それはそれで面白いか?
とりあえずうまく行かなくて凹んでいるエリィに近付いていく。
「むぅ……」
「エリィ?」
「……はい」
むくれている。ちょっと可愛く見えてしまうが、彼女としては真剣さの表れなんだろう。その真剣さには俺も答えないとな。
「魔力布衣! そのまま足に集中!」
「!! はい!」
「そのまましゃがんで左右の足首をそれぞれの手で掴め」
「はい!」
「手と足が一体だと思い込んで。足に溜まっている魔力が、掴んだ手も一緒に包み込むのがわかるはずだぞ」
「……!」
気付いたか。自分が操作する魔力とは、簡単にくっつけたり剥がしたりできるのが特徴的で、体の部位をくっ付ければ当然魔力もくっつく。この“当たり前”に行なっている作業を認識してるかしてないかだけでも、今後魔力を使う上では大きな差として生まれてくるのだ。
真の意味で当たり前にしていくには、もっともっと研鑽が必要だがな。
「いいか、その触れている魔力はすべてエリィの魔力だ。両手に触れている魔力を、今度はゆっくりと手に乗っているイメージで立ち上がってみろ」
両手足に集中した魔力を、掬い上げる様にしながら手を離して立ち上がる。足にあった魔力はエリィの両手に移り、両手共にほぼ同等の魔力を維持できた。エリィもその簡単に出来たことに驚いたような顔をしている。
今度はそれを使って魔法の並列軌道だ。と言っても、いつもの魔法発動を両手で行うだけなので難しいことは一つもない。
普段から魔法を使うイメージもしっかりさせているので……うん、ほらみろ。すぐ出来てるじゃないか。
「師匠! 出来ましたよ! 同時に二つも!」
「おうおう。エリィは本当に出来る子だな!」
「えへへへ」
最初は同じ魔法を二つ同時に発動できればいい方だが、エリィはウィンドバレットとウィンドボールの2種魔法同時起動をやってのけだのだ。毎回イメージをしっかりさせてたとはいえ、初めからこのレベルを発動できるのは凄い。さらに両手に魔力を乗せる感覚もしっかりと掴み取れたのだろう、同時発動もそうだが、時間差で2種類発動させたり、2属性を発動させたりと魔法で遊ぶことも出来ている。
そのまま土壁にぶつけさせたが、威力も申し分ない。これなら同属性や別属性の複合魔法なんかも修行に取り込めるようになるし……クククク、これでまた修行を増やせるなぁ……?
「……師匠、なんか悪いこと考えてません?」
「ん? ナンノコトカナ?」
「…………」
あとは左右で込める魔力量を変更したり、純粋に魔力を飛ばしてからその魔力を属性へと遠隔で操作したりと、やる事がどんどん増えていく。そろそろ魔素も認識させていかねばならんな。魔素は扱いに気を付けなければ、暴走や魔素中毒などになったりと危ない一面もあるから、俺も一層気合を入れないと。
その日は夜まで並列起動のための魔力操作や感覚の研鑽、そして魔法同時起動から別属性を順番に発動させることへ時間を費やした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
146
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる