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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
18:ダンジョンボス-3
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「まだ相手まで距離はある。落ち着いて、ゆっくりでいいから」
「……はい」
エリィが一歩前に出て深呼吸をし、魔法を発動させるために魔力を集めた瞬間、ホブゴブリンが走り出した。遠距離から魔法攻めにされたら手も足も出ないと判断したのだろう。だが、そのスピードではエリィの魔法発動には間に合わない。
必死の形相で走ってくるホブゴブリンだったが、持っていたこん棒をエリィに向かって投げつけた。間に合わないのであれば、邪魔をしてでも止めようとしたのだろう。だが、こん棒がエリィを襲うよりも先に魔法が発動する。
「ウィンドカッター!」
「ギッ!」
横一閃。空気の刃がエリィの掌から放たれ、ホブゴブリンと飛んできたこん棒を腹から真っ二つにする。一瞬で命を刈り取ったのか、ホブゴブリンはそのまま地面に倒れ込んだ。
その威力はホブゴブリンだけでなく、部屋の奥にも傷跡を残すほどだ。初めてのボス戦と言う事で緊張していたのだろうが、どう考えてもオーバーキルな威力だ。
そんなオーバーキルをした当の本人は、倒れて動かなくなったホブゴブリンを見て目をパチクリさせている。
「えっ? あれ? うそ……」
「エリィ、魔力凝視でちゃんと相手の強さを見たか?」
「あっ……あはははは」
ちゃんと魔力凝視を使っていれば、こんな威力の魔法は必要ないとわかったはずだが……。まぁ初めてのボスだし、ここは注意だけで見逃すとしよう。
それにエリィもボスを倒せたことによって自信になる。自分が今どれくらい強いのかを知る事は、その後の修行に対しての心構えも変わってくるからな。
何度もホブゴブリンの死体と自分の手を交互に見ながら、エリィは体を震わせつつゆっくりと口を開いてきた。
「し、師匠……もしかして私……」
「あぁ、強くなってるぞ」
「うっ……うぅ……」
「泣くやつがあるか! さ、奥へ行くぞ」
「だっでぇぇぇぇ!!」
ずっと1人で旅をして、魔法も使えず逃げ続けてたこともあるって言ってたもんな。それが今ではダンジョンのボスを倒せるぐらいまで成長している。今まで自分に出来なかったことが出来るようになるのは、その過去の重さによって泣くほど嬉しいものだ。
エリィが泣き止むまで頭を撫でてやると、落ち着いた頃には顔が真っ赤になっていた。
ブルーもいつの間にか小さくなって、エリィの肩に乗ってほっぺたに顔を擦り寄せている。見ててほっこりしてくるな。
いつの間にかエリィがつけた壁の傷跡も消えており、奥へ続く扉を開くと明るい部屋に出た。
ダンジョンコアは相変わらず静かに綺麗に輝いており、エリィもその輝きに目を奪われている。ブルーも初めて見たと言っていたが、ダンジョンコアを食べ物を見るかのような目で見ていたのが気になった。
そのまま奥まで進み、魔法陣の力を借りて外に出る。最近はボス前で帰っていたので、帰り道がなくなるのはだいぶ楽だ。
エリィもブルーもまだまだ元気らしくダンジョンボスを倒したいと言っていたが、ボスが再度配置されるまでの時間は数時間かかるのだ。
結局帰って修行することになった。
今後はダンジョンタイムアタックをボス撃破までにしてもいいだろう。次の日ブルーにもボス戦を任せてみたが、エリィの時と同じように一瞬で決着はついた。
このまま2人とも修行し続ければ……期待を膨らませながら、今日もゆっくりと風呂に浸かるとしよう。
「……はい」
エリィが一歩前に出て深呼吸をし、魔法を発動させるために魔力を集めた瞬間、ホブゴブリンが走り出した。遠距離から魔法攻めにされたら手も足も出ないと判断したのだろう。だが、そのスピードではエリィの魔法発動には間に合わない。
必死の形相で走ってくるホブゴブリンだったが、持っていたこん棒をエリィに向かって投げつけた。間に合わないのであれば、邪魔をしてでも止めようとしたのだろう。だが、こん棒がエリィを襲うよりも先に魔法が発動する。
「ウィンドカッター!」
「ギッ!」
横一閃。空気の刃がエリィの掌から放たれ、ホブゴブリンと飛んできたこん棒を腹から真っ二つにする。一瞬で命を刈り取ったのか、ホブゴブリンはそのまま地面に倒れ込んだ。
その威力はホブゴブリンだけでなく、部屋の奥にも傷跡を残すほどだ。初めてのボス戦と言う事で緊張していたのだろうが、どう考えてもオーバーキルな威力だ。
そんなオーバーキルをした当の本人は、倒れて動かなくなったホブゴブリンを見て目をパチクリさせている。
「えっ? あれ? うそ……」
「エリィ、魔力凝視でちゃんと相手の強さを見たか?」
「あっ……あはははは」
ちゃんと魔力凝視を使っていれば、こんな威力の魔法は必要ないとわかったはずだが……。まぁ初めてのボスだし、ここは注意だけで見逃すとしよう。
それにエリィもボスを倒せたことによって自信になる。自分が今どれくらい強いのかを知る事は、その後の修行に対しての心構えも変わってくるからな。
何度もホブゴブリンの死体と自分の手を交互に見ながら、エリィは体を震わせつつゆっくりと口を開いてきた。
「し、師匠……もしかして私……」
「あぁ、強くなってるぞ」
「うっ……うぅ……」
「泣くやつがあるか! さ、奥へ行くぞ」
「だっでぇぇぇぇ!!」
ずっと1人で旅をして、魔法も使えず逃げ続けてたこともあるって言ってたもんな。それが今ではダンジョンのボスを倒せるぐらいまで成長している。今まで自分に出来なかったことが出来るようになるのは、その過去の重さによって泣くほど嬉しいものだ。
エリィが泣き止むまで頭を撫でてやると、落ち着いた頃には顔が真っ赤になっていた。
ブルーもいつの間にか小さくなって、エリィの肩に乗ってほっぺたに顔を擦り寄せている。見ててほっこりしてくるな。
いつの間にかエリィがつけた壁の傷跡も消えており、奥へ続く扉を開くと明るい部屋に出た。
ダンジョンコアは相変わらず静かに綺麗に輝いており、エリィもその輝きに目を奪われている。ブルーも初めて見たと言っていたが、ダンジョンコアを食べ物を見るかのような目で見ていたのが気になった。
そのまま奥まで進み、魔法陣の力を借りて外に出る。最近はボス前で帰っていたので、帰り道がなくなるのはだいぶ楽だ。
エリィもブルーもまだまだ元気らしくダンジョンボスを倒したいと言っていたが、ボスが再度配置されるまでの時間は数時間かかるのだ。
結局帰って修行することになった。
今後はダンジョンタイムアタックをボス撃破までにしてもいいだろう。次の日ブルーにもボス戦を任せてみたが、エリィの時と同じように一瞬で決着はついた。
このまま2人とも修行し続ければ……期待を膨らませながら、今日もゆっくりと風呂に浸かるとしよう。
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