32 / 63
第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
19:間話~エリィの独白-1
しおりを挟む
私の名前はエリィ。大好きなお母さんと会ったことのないエルフのお父さんの子供として生まれた。
お父さんの姿は、物心ついた頃には見た覚えがない。でも寂しくはなかった。毎日お母さんと一緒で楽しかった。
私はハーフエルフだ。容姿は人間族と変わりはないけど、耳の形だけは違う。エルフほど長くもなく、人間族よりも長い。
お母さんとなぜ形が違うか疑問に思ったが、「気にする事はないよ」と言われて私も気にしなかった。それが、近くの街に出た時に思い知らせれるとは思ってもみなかったけど。
お母さんとはずっと森の小屋に住んでいた。少し離れた場所に綺麗な川が流れていて、周りには木の実なども多く、小屋の裏手には小さいけど畑もあって食べるのに困った事はない。その当時は知らなかったけれど、私が寝ている間などにお母さんは動物を狩りにも行っていたみたいだ。大物を仕留めた時に出てくる肉料理が私は大好きだった。
でも、足りない必需品は近くの街に行って買わなければならなかった。最初はお母さんが私1人を留守番させて街に行くのが寂しくて仕方なかった。でもお母さんといい子にしてるって約束をして、私は私が家で出来ることをしながらお母さんの帰りを待ってた。
帰ってくるってわかってても、時間が経つのが恐ろしく長く感じた。だんだん家事も慣れてきて時間が余った時ほど、お母さんが帰ってくる時間までが本当に長かった。だから帰ってきた時は思いっきり抱き着いて、お母さんも甘えさせてくれた。
そして、数年経った時、私も一緒に街に連れて行って貰うことにした。私が無理言ってお願いしたのだ。お母さんは最初は渋ってたけど、必死に私がお願いしたので最後はしぶしぶ了承してくれた。
でもその変わりと言われてフードを被せられた。このフードを人前で取らないことを条件って言われて何事かと思ったけど、後々思い知ることとなる。
初めてきた街は、煌びやかに輝いて見えた。見たことない建物に多くの人が活気よく行き交うメインストリート。楽しそうに談笑してる女性たちや、美味しそうなご飯を家族で食べている姿など、私には全部新鮮なものに見えた。
街でお母さんが狩ってきた動物とかの皮や骨を冒険者ギルドで換金してる間、私は暇だったのでお母さんの目を盗んで外に出た。さっきまで見ていた光景をもう一度見たいと思ってしまったのだ。ここで大人しくしててねって言われたのに、私はそれを裏切って外に出てしまった。
外に出た私は、上を見上げて改めて街の大きさや綺麗さを知った。その時、風が強く吹いてきて私のフードを取り払ってしまう。風はすぐに通り過ぎたが、今度は人々の視線が私に向いてきた。
「あの耳……」「まさか亜人……」「うわ見てよアレ……」「汚らしい……」「逃亡奴隷か?」など、人間の目が自分を上から下までゴミを見るかのように視線が集まってきた。さらに小さい子供には石も投げつけられ私は一瞬でパニックに陥り、その場に座り込むことしか出来なかった。
悪意のある目線や暴言が私を取り巻く人間から浴びせられ、過呼吸になって倒れそうになった時にお母さんが冒険者ギルドから出てきてくれた。
「この子は私の子だ!」そう一喝すると、ピタッと暴言が消えた。それから「いやぁ、ヴェルナ様が……」みたいな猫撫で声が聞こえてきた辺りから覚えてない。次に覚えているのは、私がおぶられて帰り道を歩いている時だった。
家に帰ってきた時に、お母さんは泣きながら「ごめんね」と。多分私がハーフエルフで生まれてきた事を後悔させたと思ったのかもしれない。
お父さんの姿は、物心ついた頃には見た覚えがない。でも寂しくはなかった。毎日お母さんと一緒で楽しかった。
私はハーフエルフだ。容姿は人間族と変わりはないけど、耳の形だけは違う。エルフほど長くもなく、人間族よりも長い。
お母さんとなぜ形が違うか疑問に思ったが、「気にする事はないよ」と言われて私も気にしなかった。それが、近くの街に出た時に思い知らせれるとは思ってもみなかったけど。
お母さんとはずっと森の小屋に住んでいた。少し離れた場所に綺麗な川が流れていて、周りには木の実なども多く、小屋の裏手には小さいけど畑もあって食べるのに困った事はない。その当時は知らなかったけれど、私が寝ている間などにお母さんは動物を狩りにも行っていたみたいだ。大物を仕留めた時に出てくる肉料理が私は大好きだった。
でも、足りない必需品は近くの街に行って買わなければならなかった。最初はお母さんが私1人を留守番させて街に行くのが寂しくて仕方なかった。でもお母さんといい子にしてるって約束をして、私は私が家で出来ることをしながらお母さんの帰りを待ってた。
帰ってくるってわかってても、時間が経つのが恐ろしく長く感じた。だんだん家事も慣れてきて時間が余った時ほど、お母さんが帰ってくる時間までが本当に長かった。だから帰ってきた時は思いっきり抱き着いて、お母さんも甘えさせてくれた。
そして、数年経った時、私も一緒に街に連れて行って貰うことにした。私が無理言ってお願いしたのだ。お母さんは最初は渋ってたけど、必死に私がお願いしたので最後はしぶしぶ了承してくれた。
でもその変わりと言われてフードを被せられた。このフードを人前で取らないことを条件って言われて何事かと思ったけど、後々思い知ることとなる。
初めてきた街は、煌びやかに輝いて見えた。見たことない建物に多くの人が活気よく行き交うメインストリート。楽しそうに談笑してる女性たちや、美味しそうなご飯を家族で食べている姿など、私には全部新鮮なものに見えた。
街でお母さんが狩ってきた動物とかの皮や骨を冒険者ギルドで換金してる間、私は暇だったのでお母さんの目を盗んで外に出た。さっきまで見ていた光景をもう一度見たいと思ってしまったのだ。ここで大人しくしててねって言われたのに、私はそれを裏切って外に出てしまった。
外に出た私は、上を見上げて改めて街の大きさや綺麗さを知った。その時、風が強く吹いてきて私のフードを取り払ってしまう。風はすぐに通り過ぎたが、今度は人々の視線が私に向いてきた。
「あの耳……」「まさか亜人……」「うわ見てよアレ……」「汚らしい……」「逃亡奴隷か?」など、人間の目が自分を上から下までゴミを見るかのように視線が集まってきた。さらに小さい子供には石も投げつけられ私は一瞬でパニックに陥り、その場に座り込むことしか出来なかった。
悪意のある目線や暴言が私を取り巻く人間から浴びせられ、過呼吸になって倒れそうになった時にお母さんが冒険者ギルドから出てきてくれた。
「この子は私の子だ!」そう一喝すると、ピタッと暴言が消えた。それから「いやぁ、ヴェルナ様が……」みたいな猫撫で声が聞こえてきた辺りから覚えてない。次に覚えているのは、私がおぶられて帰り道を歩いている時だった。
家に帰ってきた時に、お母さんは泣きながら「ごめんね」と。多分私がハーフエルフで生まれてきた事を後悔させたと思ったのかもしれない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
146
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる