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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
19:間話~エリィの独白-2
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私にはお父さんもいない、耳の形も違う、魔法もろくに使えない……私には出来ないことが多すぎる。
そんな私に生きるための知識をくれたのがお母さんだ。大好きなお母さんと一緒に過ごせているんだから、お母さんが私をハーフエルフとして産んだ事なんて気にした事はなかった。むしろ当時は一番幸せだったかもしれない。
お母さんは狩りに出掛けて獲物を取って来てくれた。たまに私も一緒に着いて行って、薬草の見分け方や採取の方法、獲物の解体方法や処理方法などいっぱい私に教えてくれた。
でも、街にはもう私は行かなくなった。お母さんはたまに行って本や私が欲しがるものを買って来てくれたりした。文字を覚えたり料理も覚えたり、毎日が楽しくて幸せだった。
私もお母さんの笑顔が嬉しくて、教えてもらったことはどんどん覚えていった。回復薬の調合とかもこの時に教えてもらって覚えることができた。私はこのままずっとおかあさんの手伝いをしながらつつましく生きていければってずっと考えてた。
「お父さんはね、エルフ族の中でも一番気高くて、強くて、立派な人なんだよ」
酔っ払ったお母さんがお父さんの話をするときには、いつもこのセリフが出てくる。お父さんの話をする時のお母さんは本当に嬉しそうな顔で、聞いてる私もなんだか嬉しい気持ちになれた。
お父さんはお母さんの命の恩人。でもエルフと人間族では寿命も違うし掟も違う。もしお母さんに何かあったらエルフのお父さんを探しなさいーーと。笑顔で私とお話しするお母さんが本当に大好きだった。
でも知ってたんだ。お母さんが時に1人で静かに泣いてるのも。多分私には見せたくないと思うから、私も声をかけたりはしてない。
あんな顔しないように、私がずっとお母さんのそばにいて支えようと考えていた。
でもある日、私とお母さんで狩りに行くといつもは見ない魔物に出会ってしまった。
不意打ちを受けて私が襲われて、私に気を取られたお母さんも怪我をした。それでもお母さんは私を庇いながらゴブリンを退治して、2人は家に帰ることができた。
でも、その怪我が原因でお母さん長い時間動けなくなり、日に日に衰弱していった。
私は必死になってお母さんを治そうと色んな手を打った。回復薬も毒消薬も作って飲ませたし、お母さんが食べやすいように食事も工夫を凝らした。その度にお母さんが笑顔でありがとうと言ってくれたけど、状態は一向に良くならない。たまに部屋の中を歩いたりはしていたけど、すぐにベットへ戻ってしまう。
街に助けに行こうとも思った。でもあのトラウマが頭から離れなくて、私は街に行けなかった。だから一人で森に入り、お母さんが買ってきた本に載ってる薬草などを集めて懸命に看護し続けた。
森でまたゴブリンも目についた。私は隠れて逃げて、でも何度も森に入ってお母さんのために出来る事をし続けた。そんな日々が数ヶ月続いたある日、お母さんは死んでしまった。
私は泣いた。泣き続けた。ご飯も食べず、何をするわけでもなく家で三日三晩泣き続けた。生きる気力も無くして、このまま自分は死ぬんだとも思ってた。
空っぽな私でもお母さんをこのままにしときたくなかった。だからお母さんを庭に埋葬しお墓を作って、寝ていたベットを整理していると、お母さんの枕の下に鍵を見つけた。
それは、お母さんが身だしなみを整える時にいつも使うドレッサーの鍵。今まで私も見たことがなく、何が入っているのかもわからない場所。そのドレッサーの棚の鍵を開けると、マジックバックと一枚の手紙が入っていた。
「エリィへ
この手紙を読んでいる時は、私はもうこの世にはいないでしょう。
でも、私がいなくなってもエリィなら生きていける。そうなれる様に私の知りうる全てを教えてきたつもりです。
街に連れて行って、怖い思いをさせてしまったのは私の判断ミスだった。でもエリィには外の広い世界を知って欲しいの。
だから、外の世界で生きて。生き続けて。そしてお父さんを探して欲しい。
貴方の妻は、エリィを立派に育てましたと伝えて。そして私も貴方のことをずっと愛していたとも。
エルフは森で暮らしている。お父さんは部族を率いて森を数年おきに移動するから、森を探していれば会えるから。
悲しまないで。私はエリィと過ごした日々が本当に幸せだったから。
ありがとう。
ーーーーエリィを世界一愛しているヴェルナより」
そんな私に生きるための知識をくれたのがお母さんだ。大好きなお母さんと一緒に過ごせているんだから、お母さんが私をハーフエルフとして産んだ事なんて気にした事はなかった。むしろ当時は一番幸せだったかもしれない。
お母さんは狩りに出掛けて獲物を取って来てくれた。たまに私も一緒に着いて行って、薬草の見分け方や採取の方法、獲物の解体方法や処理方法などいっぱい私に教えてくれた。
でも、街にはもう私は行かなくなった。お母さんはたまに行って本や私が欲しがるものを買って来てくれたりした。文字を覚えたり料理も覚えたり、毎日が楽しくて幸せだった。
私もお母さんの笑顔が嬉しくて、教えてもらったことはどんどん覚えていった。回復薬の調合とかもこの時に教えてもらって覚えることができた。私はこのままずっとおかあさんの手伝いをしながらつつましく生きていければってずっと考えてた。
「お父さんはね、エルフ族の中でも一番気高くて、強くて、立派な人なんだよ」
酔っ払ったお母さんがお父さんの話をするときには、いつもこのセリフが出てくる。お父さんの話をする時のお母さんは本当に嬉しそうな顔で、聞いてる私もなんだか嬉しい気持ちになれた。
お父さんはお母さんの命の恩人。でもエルフと人間族では寿命も違うし掟も違う。もしお母さんに何かあったらエルフのお父さんを探しなさいーーと。笑顔で私とお話しするお母さんが本当に大好きだった。
でも知ってたんだ。お母さんが時に1人で静かに泣いてるのも。多分私には見せたくないと思うから、私も声をかけたりはしてない。
あんな顔しないように、私がずっとお母さんのそばにいて支えようと考えていた。
でもある日、私とお母さんで狩りに行くといつもは見ない魔物に出会ってしまった。
不意打ちを受けて私が襲われて、私に気を取られたお母さんも怪我をした。それでもお母さんは私を庇いながらゴブリンを退治して、2人は家に帰ることができた。
でも、その怪我が原因でお母さん長い時間動けなくなり、日に日に衰弱していった。
私は必死になってお母さんを治そうと色んな手を打った。回復薬も毒消薬も作って飲ませたし、お母さんが食べやすいように食事も工夫を凝らした。その度にお母さんが笑顔でありがとうと言ってくれたけど、状態は一向に良くならない。たまに部屋の中を歩いたりはしていたけど、すぐにベットへ戻ってしまう。
街に助けに行こうとも思った。でもあのトラウマが頭から離れなくて、私は街に行けなかった。だから一人で森に入り、お母さんが買ってきた本に載ってる薬草などを集めて懸命に看護し続けた。
森でまたゴブリンも目についた。私は隠れて逃げて、でも何度も森に入ってお母さんのために出来る事をし続けた。そんな日々が数ヶ月続いたある日、お母さんは死んでしまった。
私は泣いた。泣き続けた。ご飯も食べず、何をするわけでもなく家で三日三晩泣き続けた。生きる気力も無くして、このまま自分は死ぬんだとも思ってた。
空っぽな私でもお母さんをこのままにしときたくなかった。だからお母さんを庭に埋葬しお墓を作って、寝ていたベットを整理していると、お母さんの枕の下に鍵を見つけた。
それは、お母さんが身だしなみを整える時にいつも使うドレッサーの鍵。今まで私も見たことがなく、何が入っているのかもわからない場所。そのドレッサーの棚の鍵を開けると、マジックバックと一枚の手紙が入っていた。
「エリィへ
この手紙を読んでいる時は、私はもうこの世にはいないでしょう。
でも、私がいなくなってもエリィなら生きていける。そうなれる様に私の知りうる全てを教えてきたつもりです。
街に連れて行って、怖い思いをさせてしまったのは私の判断ミスだった。でもエリィには外の広い世界を知って欲しいの。
だから、外の世界で生きて。生き続けて。そしてお父さんを探して欲しい。
貴方の妻は、エリィを立派に育てましたと伝えて。そして私も貴方のことをずっと愛していたとも。
エルフは森で暮らしている。お父さんは部族を率いて森を数年おきに移動するから、森を探していれば会えるから。
悲しまないで。私はエリィと過ごした日々が本当に幸せだったから。
ありがとう。
ーーーーエリィを世界一愛しているヴェルナより」
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