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第二章 魔王軍戦
第八話 戦火の後に残るもの
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「あちゃー」
「そんな事があったの!?」
「あ、あぁ…」
「…そう…なんだ…」
「それはそれは…どうしましょう」
「確かに」
「確か、ラフォーレティーナの転移で行く予定だったのでしょう?一体どうしたものかしら」
「…すまん」
「いやいや、謝ることじゃないだろう?なぁ」
「うん。そうよ」
「そうですわ、どんまいですわ」
「み、みんな…」
優しい奴らだなぁ。
特に、いつもはきついキティが、こういう時になって優しくなるんだから…
「でも、本当にどうするんだ?」
「あ、あぁ…色々やってみたが、俺自身の力ではこの呪いは解けないみたいだ」
「っ!なるほど、解ける人を探すわけだな」
「いや、別にそうじゃない。まぁ、それも考えはしたんだけど、多分見つからないと思うんだ」
「じゃあ、どうするんだ?」
「まぁ、これを見てくれよ」
俺は、スキルを発動させる。
『地図』
そう唱えると、しゃらっと目の前に、宙に浮く広い地図が現れる。また、紙のような現物ではなく、データのような、電子的なものだ。
緑色に光、地名などは白色で表される。
「…ん?これがどうした?」
「これ、見てみろよ」
「んん?」
「聖霊の区域じゃないか…ん?んん?なんだこら」
「なによ」
「なんですの?」
「書いてある文字」
「…っ!なんだこれ」
「…転移…装置?」
「あぁ、転移装置だよ…つまり」
「そこに行けば、転移できるのですね」
「そういうことよ」
俺は勢いよくそう言う。
聖霊の区域…か。
面積10万㎢
人口はおよそ160万人…
「でもさ、何で行くの?」
「馬車か?」
「え、ええーっ、流石にわたくしもうあれは嫌ですわよ…ナヒリスカ大陸を見習うべきですわ」
「ナヒリスカ大陸?そこになんかあるのか?」
「車という移動道具があるのですわ。しかも、馬車よりも画期的で操りやすいですわ」
「うーん、でも流石にそれは…いけるかなぁ」
「なにが?」
「もしかしたら、万物創造で作れるかも知れないって事よ」
「…なに!?やってみてくれ」
「あ、あぁ。いくぞー。万物創造!!」
パァァンと眩い光が放たれる。
目があっ!
「で、出来たか?」
「これが車?」
そこにあったのは───
「全然違いますわ!!!!」
謎の金属の塊だった。
「な、なに?そんな…」
「いや、逆に尊敬ですわ。どうしたらこんなものがつくれるのかしら…ってレベルですわ!!」
「そ、そんなに怒らなくても」
「怒ってないですわ!!」
「怒ってるよ!!」
「ハァーッ、結局馬車ですわね」
「わかったよ…ナヒリスカで車をゲットするのも途中のミッションな」
「っ、感謝ですわ」
ふーっ、危ない、危ない。
◇
聖霊の区域。
総面積約10万㎢。人口約160万人。
その中でかなり住宅街が密集した地区に、その影は舞う。
サッ、と舞う姿は、まるで忍者の如し。
屋根の上をを駆け、そして着地。
街の道路に、影は飛び出る。
そこには、一人の老人と一匹の魔物がいた。
老人は腰を抜かし、ガクガクと震えている。一方、影は、その姿を月明かりで照らされ映される。
それは、青髪の少女だった。
年は若いだろう。恐らくは十代、二十代程度であろう若々しさを持っている。
その佇まい、美しく、また華やかである。
「間に合いましたか」
「…ぅ」
老人は嬉しそうに涙を流すだけである。
あまりの恐怖に受け答えが出来ないのだろう。
この聖霊の区域では、人口に対し、魔物に殺された人の数が極端に少ない。
今のところ、その被害はたったの六人。
それは、この少女が関係している。
彼女はとある部署に所属している。
その名を、治安部隊。総人数は100人と少数だが、それでも選りすぐりのエリートである。
設立されたのが、魔物が街中に蔓延り、実害が出たときからである。
治安部隊は、街中の人々を守っているのだ。
「グチ?キチチチ?みょ」
「?」
「みょーんみょーんみょーんみょーん」
「な、何だ」
「大丈夫ですわ」
一方、少女と対峙している魔物は、ギザギザの足に毛をチクチクと生やし、目が何個もあり、黄色い粘液を腹部辺りからどろどろと垂れ流している昆虫のような生物である。
それが、みょーんと不可解な音を出した。
「な、なん」
「来ますわよ」
──ブゥゥゥウン
「…」
───ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
「なんの…音だ?」
老人はその重低音のような音を聞き、驚く。
まるで空を飛ぶ虫のような…
「こいつらの名前はギモス。腹部から強力な酸性の粘液を出し続け、さらには特定の条件下において仲間を呼びますわ。その時の鳴き声は、『みょーん』」
「…なん、これは、一体…何匹」
辺りを見渡せば、ギモス、ギモス、ギモス。
羽をパタパタさせ、少女を伺っている。
「ちなみにその特定の条件下とは、自分より強いと認めた相手のみ、に発動させるらしいですわ」
少女は、消えた。
「えっ?」
老人は見た。
その影を。
光の閃光の如き速さの、青き光を。
それは、宙を舞い、ギモスを砕いていく。
ギモスの甲殻が、頭が、足が。
舞う、飛び散り、緑色のギモスの血が舞う。
「ギェェェ」
「ギョオオオオ!」
「ギベォェォエエエ!」
死んでいく。
死んでいく。
死んでいく。
そして、静寂が訪れた。
──月明かりは、それを照らす。
緑の血にまみれた、青き戦士を。
「そんな事があったの!?」
「あ、あぁ…」
「…そう…なんだ…」
「それはそれは…どうしましょう」
「確かに」
「確か、ラフォーレティーナの転移で行く予定だったのでしょう?一体どうしたものかしら」
「…すまん」
「いやいや、謝ることじゃないだろう?なぁ」
「うん。そうよ」
「そうですわ、どんまいですわ」
「み、みんな…」
優しい奴らだなぁ。
特に、いつもはきついキティが、こういう時になって優しくなるんだから…
「でも、本当にどうするんだ?」
「あ、あぁ…色々やってみたが、俺自身の力ではこの呪いは解けないみたいだ」
「っ!なるほど、解ける人を探すわけだな」
「いや、別にそうじゃない。まぁ、それも考えはしたんだけど、多分見つからないと思うんだ」
「じゃあ、どうするんだ?」
「まぁ、これを見てくれよ」
俺は、スキルを発動させる。
『地図』
そう唱えると、しゃらっと目の前に、宙に浮く広い地図が現れる。また、紙のような現物ではなく、データのような、電子的なものだ。
緑色に光、地名などは白色で表される。
「…ん?これがどうした?」
「これ、見てみろよ」
「んん?」
「聖霊の区域じゃないか…ん?んん?なんだこら」
「なによ」
「なんですの?」
「書いてある文字」
「…っ!なんだこれ」
「…転移…装置?」
「あぁ、転移装置だよ…つまり」
「そこに行けば、転移できるのですね」
「そういうことよ」
俺は勢いよくそう言う。
聖霊の区域…か。
面積10万㎢
人口はおよそ160万人…
「でもさ、何で行くの?」
「馬車か?」
「え、ええーっ、流石にわたくしもうあれは嫌ですわよ…ナヒリスカ大陸を見習うべきですわ」
「ナヒリスカ大陸?そこになんかあるのか?」
「車という移動道具があるのですわ。しかも、馬車よりも画期的で操りやすいですわ」
「うーん、でも流石にそれは…いけるかなぁ」
「なにが?」
「もしかしたら、万物創造で作れるかも知れないって事よ」
「…なに!?やってみてくれ」
「あ、あぁ。いくぞー。万物創造!!」
パァァンと眩い光が放たれる。
目があっ!
「で、出来たか?」
「これが車?」
そこにあったのは───
「全然違いますわ!!!!」
謎の金属の塊だった。
「な、なに?そんな…」
「いや、逆に尊敬ですわ。どうしたらこんなものがつくれるのかしら…ってレベルですわ!!」
「そ、そんなに怒らなくても」
「怒ってないですわ!!」
「怒ってるよ!!」
「ハァーッ、結局馬車ですわね」
「わかったよ…ナヒリスカで車をゲットするのも途中のミッションな」
「っ、感謝ですわ」
ふーっ、危ない、危ない。
◇
聖霊の区域。
総面積約10万㎢。人口約160万人。
その中でかなり住宅街が密集した地区に、その影は舞う。
サッ、と舞う姿は、まるで忍者の如し。
屋根の上をを駆け、そして着地。
街の道路に、影は飛び出る。
そこには、一人の老人と一匹の魔物がいた。
老人は腰を抜かし、ガクガクと震えている。一方、影は、その姿を月明かりで照らされ映される。
それは、青髪の少女だった。
年は若いだろう。恐らくは十代、二十代程度であろう若々しさを持っている。
その佇まい、美しく、また華やかである。
「間に合いましたか」
「…ぅ」
老人は嬉しそうに涙を流すだけである。
あまりの恐怖に受け答えが出来ないのだろう。
この聖霊の区域では、人口に対し、魔物に殺された人の数が極端に少ない。
今のところ、その被害はたったの六人。
それは、この少女が関係している。
彼女はとある部署に所属している。
その名を、治安部隊。総人数は100人と少数だが、それでも選りすぐりのエリートである。
設立されたのが、魔物が街中に蔓延り、実害が出たときからである。
治安部隊は、街中の人々を守っているのだ。
「グチ?キチチチ?みょ」
「?」
「みょーんみょーんみょーんみょーん」
「な、何だ」
「大丈夫ですわ」
一方、少女と対峙している魔物は、ギザギザの足に毛をチクチクと生やし、目が何個もあり、黄色い粘液を腹部辺りからどろどろと垂れ流している昆虫のような生物である。
それが、みょーんと不可解な音を出した。
「な、なん」
「来ますわよ」
──ブゥゥゥウン
「…」
───ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
──ブゥゥゥウン
「なんの…音だ?」
老人はその重低音のような音を聞き、驚く。
まるで空を飛ぶ虫のような…
「こいつらの名前はギモス。腹部から強力な酸性の粘液を出し続け、さらには特定の条件下において仲間を呼びますわ。その時の鳴き声は、『みょーん』」
「…なん、これは、一体…何匹」
辺りを見渡せば、ギモス、ギモス、ギモス。
羽をパタパタさせ、少女を伺っている。
「ちなみにその特定の条件下とは、自分より強いと認めた相手のみ、に発動させるらしいですわ」
少女は、消えた。
「えっ?」
老人は見た。
その影を。
光の閃光の如き速さの、青き光を。
それは、宙を舞い、ギモスを砕いていく。
ギモスの甲殻が、頭が、足が。
舞う、飛び散り、緑色のギモスの血が舞う。
「ギェェェ」
「ギョオオオオ!」
「ギベォェォエエエ!」
死んでいく。
死んでいく。
死んでいく。
そして、静寂が訪れた。
──月明かりは、それを照らす。
緑の血にまみれた、青き戦士を。
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