王道

こんぶ

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第二章 魔王軍戦

第二十三話 勇者共闘

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「…さてと、でこの中の誰が勇者なんだ?」

田原がそう切り出した。
しかし、豊胸な女が言った。

「あなた、さっきの映像見ていたでしょう?そくそんなことを言えるわね…私達は今焦ってるの…この対談も今つめつめの中やってるんだから」

女はそう言うと、続いて、

「勇者なんて探す前に、自分の道徳心でも探したら?」

と、一言。
田原は別に気にせず、

「あぁ、それはすまないな」

と素直に謝った。素直に謝れることは良いことだ。

「勇者の事だがな…」

黄金のいかつい装備をした青年が言い出した。その瞳は蒼い。

「ちょっと、あなたは喋らないで」

「…」

女がそう言うと黄金の装備を着た男は黙った。

「というより、本当に時間がないから、帰ってくれないかしら?」

「いや、本当に手短にすむ話なんだが…」

「…いいから、邪魔なのよ」

「…?」

「あなたたちが。大した実力も無い弱小な者が、上位者に話しかけないでということよ。ほら、帰って。セバスチャン帰らして」

そう言うと白い髭を生やし白髪の生えたがたいのよい男性が俺達の方へつかつかと歩いてきた。

「待て待て待て…」

すらりと高身長な青年は、赤い髪の毛をしていて、軽装備に身を包んでいた。

「何もいきなり帰すことはないでしょう、エレーネ様…」

「…エレーネ…ですって?」

リリーが反応した。

「知ってるのか?」

俺が聞き返す。

「ええ。ギガという大国で一番の魔法使い…大魔術師、エレーネ・レズヴィエートという人がいまして…」

「それよ、アタシは」

「…!この国一番の魔術師か…」

それは頼りがいがある。

「まぁ、自己紹介くらいしましょうよ」

軽装備の青年が言うので、俺達は自己紹介をした。

「俺はラフォーレ・ティーナ…んでこっちが」

「…田原総一だ…」

「その彼女のリリー・ブラウンですわ」

「ラフの彼女のキティ…キティ・ヴァーミリオン…」

そう言うと、向こうも同じようにかえす。

「僕が、勇者であるブレイブです…」

軽装備に身を包む男はそう言った。

「俺はその友人のレンデルだ」

黄金の装備をした青年はそう言う。

「…アタシはエレーネ…さっきも言ったけど魔術師よ…エレーネ・レズヴィエート」

黒いローブを羽織った豊胸な女はそう言う。

「私はブレイブ様の執事を務めさせて貰っております、ピッチと申します。以後お見知りおきを」

白髪の生えた老人はそう言った。

なるほどねー、さてと…ちょっと勇者というくらいだし、どの位の実力か見させてもらうか。

鑑定アナライズ

────パンっ


「?」

──鑑定に失敗しました。

何だと…鑑定は万物をみる能力があるのに…

「坊や、やめておきな~勇者には『鑑定妨害』の魔法をかけておいたから」

──やるじゃん、魔術師。

でも見られないのは流石に嫌だ。なので少し強行手段に出ることにした。


真眼トゥルーアイ

真眼トゥルーアイ。万物を見通す能力であり、この能力の前には防御系一切の能力は意味をなさない。
絶対的に見通す能力。

…さてと…

──ブレイブLv117
──レンデルLv104
──エレーネLv253
──ピッチLv94

…中々に強いチームだ。八聖天魔には及ばないが、それに匹敵する力はあるだろう。

「それで、要件はなんだい?僕も手短に済ませてもらえるとありがたいのだけれど…」

「それなんだが、あることをお願いしに来た」

田原が言う。

「あること?」

「──勇者、あんたたちに、共闘して欲しい」

「共闘?」

何を言っているんだという表情を見せるブレイブ。確かに何のこっちゃだ。

「あぁ、勇者共闘…もちろん戦う相手は決まっているだろう?先の映像にもあったとおり…」

「なるほど…理解した」

レンデルはそう言うと、俺達に手を差し伸べた。

「俺は協力するぞ」

「ありがとう」

田原はレンデルの手を握る。

「…?えっ?レンデル、一体どういうことだい?」

「そうよ。話は最後まで聞くべきよ…」

「…すまん…」

レンデルは先走ってしまう性格のようだ。

「…それで、一体どういうことだい?」

ははっ、と田原は一度笑い、そして言った。

「そんなもの、決まっているさ。魔王討伐だ」

──魔王討伐。先の映像がそれを物語る。


「魔王討伐…か。よし、それなら僕も賛成だ」

「アタシも味方は多い方がいいわね」

二人は田原と握手をした。

「ありがとう…それと、最後に質問なんだが…」

「質問…?なんでも受け付けるけど…」

「…あんたたち、魔王城の居場所を突き止めたって本当かい…?」

「──!それをどこでっ!」

「…いいよ、エレーネ。もう民のみんなにも伝わってるも同義だからね。それは、本当だよ」

「…どうやって見つけたか、そしてどこにあるのか教えてくれないか?」

「もちろん。見つけた方法は、とある知人がそういう事に関して非常に強くてさ、見つけてくれたんだよね…」

「とある知人…」

「うん。なんでも魔法やら地理やら何やらで見つけたらしい。でも場所は確からしいよ」

「…それで、場所は?」

「場所は…───」

その場所を聞き、俺は自分の中だけで地図マップを広げ、ルートを検索する。

───!

なるほど…これは…ひどいな。


「勇者、大変だぞ!」

俺が言う。

「なんだい、ラフ…くん?とよべばいいかな?」

「呼び方はどうでもいい。これを見てくれ」

俺は魔王城の場所を地図マップで広げデータ状にして見せる。

「なんだい、これは…」

地図マップという魔法ね。アタシは持っていないけれど」

魔術師が持っていないのか。

「あぁ。とりあえず、これを見てくれ」

それは、大きな黒い穴。

「ここが魔王城の位置だ。それは確かだったな。でかした知人…」

「やったね」

「だが勇者、これから覚悟して欲しい」

「…?」

「これを見ろ」

「………??なにこれ、ゴマ?」

「違う、これは魔物だ…」

「……は?」

エレーネが驚愕する。

「その数ざっと、三百万。全世界から集まってきている!」


「「─────!」」

「そして、最悪な事に…この三百万の魔物は、この国に向かってきている」

「…っっ!」

「ブレイブ、今すぐ国王に連絡しなさいっ!」

「はいっ!」

ブレイブが走って飛び出ていく。

「数えられる限りの兵を集めるのよ!」

エレーネが焦って言う。レンデルやピッチも驚愕を隠せない。

「あぁ。お前らも協力してくれ」

田原がそう言った。

「自分の知りうる限り、最大の兵を集めるんだ。協力してくれそうなやつ…知り合い、戦友、すべてもってこい」

「もちろんわたくしたちも今までの方々をお呼びしますわよね?」

そうだな。傲慢に、七星、洗脳済みの八聖など。

「今回は私も参戦するので、燃えますわぁ~」

リリーが珍しくやる気だ。

「ちぇ、私はまた留守か」

「…キティ…」

キティは確かに、力が無い。けれど、

「キティ…」

「…ん?」

「力が無くても出来ることはあるだろう?自分に出来る最善のことをしてくれ。あと俺を応援してくれ」

「…うん。分かった」

キティは強く頷いた。

その時、バンと扉が開いた。

「なんだ?」

「…緊急集会だ…国王が集まって欲しいと…」



謁見の間だが、悠長に話をする間もなく、白い髭をはやしたいかにも国王という感じの男性は、俺達に言った。

「そちらよ」

「はっ」

「その申し出は虚偽ではないな?」

「はっ」

「…いつ頃だ?」

「と、言いますと…」

「魔物が攻めいってくるのだ」

「…国の堀の手前…そこに到達するのが約一週間後だと思われます…」

──一週間だと?

周りがざわつく。

「分かった…では、勇者よ…我がギガ国の兵全てと、前大陸の国々に話を持ちかけてみる…」

「ありがたいです」

「では勇者に面談をした者たちよ。大変感謝を申し上げるぞ…」

「はっ」

「…ふふっ、そう硬くなるでない…こうなったなら魔王軍を叩き潰してやろうぞ…わしだって、あんなものを見せられたら怒るぞい…ひょひょ…全面戦争じゃ…持てるあまねく全ての力を使った総力戦じゃ…」

ギガの王、レーディーン・エーミール・レバシィノはそう言うと、椅子から立ち上がった。

「では、国民に通達するかのう…全面戦争じゃと…」

国は大騒ぎになるだろう。
しかし、これは避けては通れない戦いなのだ。

しかし、戦争一週間前に準備って、どんな負け戦だ…

「では、ギガの街、全てに繋ぎ、明日放送するぞ」



そして翌日、本当に国王は戦争のことをうちあけた。

「…よし」

俺はギガの転移装置を使い、一旦聖霊の区域へと戻った。

「…」

トゥラティン大陸は懐かしい。

「…さてと」

久しぶりに聖霊の区域に来て、そしてもちろんやることは単純だ。

俺は今日もせっせと働いている十一人の一人、レヴァンに話しかけた。

「…よっ」

「…?アンタ……ってラフ!?」

「レヴァン、覚えてる?」

「覚えてるわよ~」

レヴァンはばしっと俺に抱きついた。体が小さいのでまるで小っちゃい子に抱きつかれたみたい…

「…もう~早く帰ってきなさいわよ~って、ここはもうラフの家みたいなものですわね」

「…あ、あぁ、早速のところ悪いが再会に浸る時間はあまりないんだ…ちょっと自治部隊を、よんでくれ…」

「自治部隊…?分かったわ」

レヴァンに自治部隊をよんで貰った。

「ねぇねぇ…ラフさん…僕のこと覚えてる…?」

「た、確か…自治部隊最高…なんちゃら…」

「…ひどい…」

少年っぽいこの人は自治部隊の最高長。

「それで、要件はなんだい?」

「それが───」

魔王のことを話した。

「なるほど。魔物がいなくなるのは本望だ。とは言え自治部隊だからね。僕から貸せるのは三人だけなんだ…」

「いえいえ十分ですよ」

「まずは君も知っているレヴァンちゃん」

「私をちゃん呼びはやめてください」

「そして寡黙な男、エネル」

がたいのいい眼鏡をかけた男は頷いた。

「そして最後が、僕、シミュラー」

「…っえぇええ!?最高幹部がいいんですか?」

「いいよ~どうせあとの八人で回せるでしょ?みんな結構Lv上がったしね」

そう言うことで、その三人をギガへ届ける。

「…!?この女は!!」

リリーがびっくりしていたがまぁ良いだろう。
戦力過多に問題は無い。

次!

また聖霊の区域へ行き、全速力で走り抜ける。

「ふぅ、ついた…」

加速アクセラレータ時間停止タイムストップを使ったから来られただけだ。

本当なら一日くらいかかっていた。

──ここはリリーの故郷、エリジオン。

そして、ここで働くのが──

「おっ、ラフさん久しぶり」

丸くなった傲慢と、

「およ?およおよ?」

五人の七星少年。

「村長、ちょっと借りてくぜぃ」

「あー。いつかえすんだぁ?」

「再来週くらいー」

「分かったー」

そんなやり取りをして、俺は七星と傲慢もギガへ連れて行く。
転移装置にびっくりしていた七星だが、そんなことより魔王軍が一斉に動いていることの方が驚きだったらしい。



そして、俺はギガの国の最前線に来た。

そこで、とある魔法を使う。

──幽体蘇生アストラルリザレクション

そうするとそこに、七人の人が並んだ。

一人は大柄の男。一人は痩せてひよろひょろの男。

そう、ランディバンディ兄弟である。
とは言っても生前のような邪悪な性質はもちろん排除して蘇生した。

もう一つは五人組。
五人の少女たちである。

その名も、六世少女軍。一点ステータス特化であり、一対一なら無類の強さを誇る。

「さてと」

これで全員揃った。

…か?

俺はとりあえず、勇者のところへ戻る。

「勇者…どうだ?兵は」

「すごいですよ!ラフさん。もう百万人近く集まりました!」

それは良かった…が、戦えるのか…?

「ええ。一応はみんなLv10越えています」

そりゃあ凄い。

「…よし、じゃあ前線にいくぞ」

そして、前線で待つのもアレだったので、俺達と勇者組はもう魔王軍とぶつかってしまおうと考えた。

「魔王軍との全面戦争だ!!皆のもの行くぞぉぉおおおお!」

勇者、ブレイブが叫ぶ。

「「「おおおおおお!!」」」

それにあわせて俺達も咆哮をあげた。

──その頃ギガでは。

「…頑張れ…」

キティが応援していた。



「…うぅっ!!」

キティはトイレに駆け込んだ。急な吐き気がしたからだ。

「…え、これってまさか…」




──全面戦争が始まった。

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