王道

こんぶ

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第二章 魔王軍戦

第二十二話 勇者との話

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「…田原っ!」

俺は田原の元へ駆けつける。
猛ダッシュで来たため(キティは八聖と同じ空間にいれておいたので大丈夫だった)髪が乱れ乱れだ。

異空間からキティを取り出す。

「キャッ…もう着いたの…?」

「あぁ。田原…見たか…あれ」

「…」

田原は、珍しく顔を俯かせていた。

「田原?」

普段ポジティブなこいつが珍しい…

ん?

「…おい、ラフ…」

低い声で、うなるように言いながら、田原は顔を上げた。

「…何だ?」

「…勇者との面談…急ぐぞ…」

「っ、いつだ?」

「あと二時間だ…もう行くか…」

「あ、あぁ…」

それは良いのだが…

田原…お前の顔…

「?リリーちゃんは?」

キティが問うた。

「あそこにいるよ」

リリーは、遠くでうずくまっていた。

「り、リリーちゃん…だ、大丈夫?確かにあの映像は衝撃的だったけど…」

「そうではありませんわ…」

「──?」

「私は…おびえているのです…」

リリーは、ガクガクと膝や手、口を震わせながら言った。

「な、何に?」

「…私の──」

その時、俺は、田原の顔を見た。

「──恋人です」

「───!」

あれは、怒りの形相というものではなかった。憤怒や憎悪と言った感情でも無かった。恨み妬みと言った感情でも無かった。呆れや落胆といった感情でも無かった。そこに感情はあった。しかし、言葉に表すことは出来なかった。虫唾が走るという言葉を体現している。酷く歪であるそれは原形をとどめず、破局へ進むだけの道筋となり、破壊の先の消滅を物語る、圧倒的怒りを体現した、人類の肩代わりにすべての怒りを内包したようなオーラ。纏う覇気の感覚が違う。
俺と田原ではレベルにして500近くの差があるにも拘わらず、俺はそれに少し恐怖した。

俺には『精神耐性』だって『恐怖耐性』だって『痛撃耐性』だって持っている。

なのに、怖い。衝撃が、奔る。
なのに、痛い。痛撃が、奔る。
なのに、気持ち悪い。吐き気がする。

──これが、怒り…

──田原が持つ、魔王への怒りなのか?

「田原、お前は…」

「その通りだよ…ラフ…これは、魔王への怒りさ…」

あの、女の人は…

「知り合いだった…よ。許さねぇ…」

その通りだ。魔王が世界中に広めた罪は許される業ではない。

非業…あまりに非業…
非道…あまりに非道…
外道…あまりに外道…
獄道…あまりに獄道…


「──田原…」

「これで、覚醒した能力がある…」

「っ?」

真・怒トゥルーラース

バンッと田原を包むように膨大な熱が広がる。

「…田原…っ、ここは一応街中だぞ?」

「分かっている…ラフ、リリー、キティ、俺の異空間に入ってくれ…」


「…お前…異空間を…」

「速くしてくれ…一応時間制限があってな…ただし…その間だけならラフ…お前に匹敵、あるいは上回るほど強くなれる…魔王は、許さない…」

「分かった…二人とも、入るぞ!」


周りがガヤガヤと騒々しい。
街中でこんなことをすればそうなるか…

さっさと立ち去らねばなるまい。

「ほっ」

俺は田原が広げてくれている白い空間へ入る。

「よっ」

タンッと地面に足を付ける。

一応足がつくのか…

その後、タンッタンッと二つの足音が鳴る。

「…と…入れましたわ…」

「は、入れたぁ~」

キティとリリーだ。

「…しかし、驚いたな…田原があそこまで怒っているのは…俺も初見だったぞ…」

「えぇ。しかも映像が放映中はもっと酷かったですわ…あれは…私も許せませんわ…」

「…俺もだ…」

「…私もあれは酷すぎると思う。許せないわ…」

「「「…」」」

少し、間が空いて、キティが話しかけてきた。

「ねぇ、勇者との対談って何をするの?」

「もちろん、共闘をお願いしに行く…あと風の噂なんだが、勇者は魔王城へ行く方法や道を知っているらしい…だから、そういう情報収集と勧誘だな…」

「なるほど…」

「あ、あの、ラフ…」

「…ん、どうしたリリー」

わたくしもその戦いに参加したいのですわ」

「…」

「お願いですわ!こう見えてもLv52…お二人に比べればいささか弱いかも知れません…ですが…っ!」

「…田原に聞け…俺は構わないが…」

「──っ!ありがとうございます…」

「まだ決まった訳じゃないだろう?」

「いえ、田原様は何とかなりますわ…今は分かりませんけど…」

後半の部分の声が小さくて聞こえなかったが、まぁ何とかなるなら大丈夫だろう。

『ついたぞ…』

田原の声がする。

「ほっ」

異空間から出る。

「…ここは…」

大きな城の前…

「ギガの王城だ」

お、王城…

「…リリー」

「はい」

リリーが門の前にいる偉そうな人に話しかける。
何と言ってるんだか…
まぁ、聞こうと思えば聞けるが、それは状況からして吝かだろう。

ん?何か手渡した…
相手が驚いてる。

「大丈夫だそうですわ」

リリーがオッケーを出した。

「よし、行くぞ」

そして、案内されたのは、勇者室。

──そんなに待遇があついのか。

まぁ、国王から勇者の称号を貰うくらいだからな…

「…じゃあ入るぞ…」

──コンコン

「失礼します──」

部屋にいたのは──


──黒いローブを羽織った大人っぽい豊胸な女。
──黒いスーツに身を包んだ白い髭を生やし、白髪を、持つがたいの良い老人。
──黄金の装備に身を包んだ、金髪の青年。
──赤い瞳を持った、軽装備に身を包んだ青年。

「…」

──ここから、対談が始まった。



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