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日本編
動物たち
しおりを挟むベイ、雅琴、ヒョンのチーム。
サリィが落雷で死んでしまったため、三人だけとなってしまったのだ。
「はぁっはあっはあっ」
その三人は今、森の中を駆けていた。
「なんっ、なのよ!あの、化け物」
「アレが敵だ」
「そうなのか?あんなのを倒さないといけないのか?」
「そうみたい」
ダッダッと走る三人
「おい、ここらで休憩しないか?」
と、ベイが提唱する。二人はそれに賛同して、一息つくことにした。
「ふぅ…しかも、これって時間制限まであるんでしょ?ふざけてるわ」
「そうだな」
「…?あれ、…」
「どうしたの、ベイ」
「…いや、何か風が急に生暖かくなったというか」
「へ?」
「んー、ん。……」
遠くの方を眺めるベイ。
「んー、ん?んんん!?おっ、おい!雅琴ありゃ何だ!?」
ベイが慌てたように言うので、雅琴も急いでその方向を見る。
「えっ?特に何も…」
その時だった。
─ブチブチブチィ、ミチミチと、何かが何かを突き破るような音がした。
いや、実際に突き破られているのだ。
それは、雅琴の肩辺りだった。
「いッッッた!!」
肩辺りから大量の出血をする雅琴。そして、驚愕すべきは、雅琴の肩に風穴を開けた奴だ。
それは、ぐりぐりと雅琴の肩を抉るようにして出て来た。
「んだ、こいつ」
「ったい!!!」
「な、何だ!?」
ヒョンは、槍を、ベイはナイフをすかさず構える。
「ピョッ?ピヨピヨ」
と、可愛らしい声で鳴くのは、くちばしが恐ろしく尖った、スズメであった。
「っ!?ヒョンさん!前!」
「っおお!?」
目の前から大量の鳥たちが突撃してくる。
カラスや白鳥、キジや鶴、果ては孔雀やフラミンゴ、ダチョウまでいる。
「っはは、ここってアフリカか?」
「やべぇな」
「ッッッ貴方たちっ!そんな場合じゃないでしょ、アタシが、死ぬ!」
「もうスズメは抜けただろう?」
「いや、違うのよ!何か嫌な感じがするの!」
「何がだよ…」
「ほっ、本当に─ブッ!」
と、その時、急に雅琴は吐血した。
「っは?おい!大丈夫か!」
「…ゲェッ、おい、おい、何だ…こりゃあ?」
それは、肩の傷口にいた。
大量の蛆虫のような物がついていた。
しかも、腹の辺りから、うにゅうにゅと、小さな幼虫が出て来ている。
「あのスズメに攻撃されたからか?」
「そういうことなのか…」
そして、雅琴を起こそうとするが─
「ッ!駄目だ!脈が無い!」
「!?」
「ここは、俺達で切り抜けるしか無さそうだな」
「あぁ、わーったよ。んで、どいつからやる?」
「…今んところ、一番やばいって思ってる奴からやっていいか?」
「あぁ」
ヒョン(オッサン)は、持っている槍を振りかざし、ドウンと振り下ろした。
瞬間、雅琴は爆散する。
地面には数メートル単位のクレーターが出来ていた。
そして、その中央には、まだ生きている奴がいた。
「ピヨーッピヨ!」
「スズメかよ…」
「あぁ、油断するなよ」
「ピッピッぴっぴっー!」
スズメが憤ったように鳴くと、辺りからもっともっと大量の鳥たちが集まってきた。
バサバサバサバサと、絶え間なく押し寄せてくる。
「…やるしかねぇ…俺は前に、てめぇは後をやれ」
「分かったよ、オッサン」
二人は信頼しあったように背を向け、互いの命運を互いに預ける。
現在、四方から囲まれている二人は非常に不利ではあった…が、まだ全く諦めの念を感じ取ることは出来なかった。
というより、希望の念、そっちを強く感じた。
「はぁぁ!」
オッサンが振り下ろした槍が、フラミンゴの頭をパカッと裂いたところから、互いの戦いが始まった。
「ギョエエエエエ」
「ガアッガアッ!」
「ピョロロロロロ」
「ポロロロポロロロ?」
「クルックルックル」
「ヒョーヒョケキョ」
「ピャーーー!」
大量の鳥たち、それらが変形し、捻れ、突進してくる。
地球にこんな鳥はいねぇよ、とヒョンは思った。
ならばコイツらの正式名称は、鳥の類似生物でいいだろう。
「俺もいくぜっ!」
ベイが持ったナイフ、それはシュコンと鋭利な形に変形する。
そして、青白い光を纏った。
ブォオオン、と光がナイフを守るように出現する。
「はぁっ!」
ベイがそのナイフで烏を殴りつけると─
「っおお!」
烏の頭はどろりと溶けていく。
超高熱、とでも言うのだろうか。
にしてはこちらは全く熱を感じないが。
しかも、凄いことに、その溶解は体中に進行していき、最終的に烏は液体となった。
「っ、すげぇ」
「よし!まだ希望の風は吹いている!」
妙に詩的な事をヒョンは、言いながら、ぐるんと槍を回す。
そして、周りの鳥たちが、一斉に爆散していく。
それほどの威力。
「はぁぁ!」
「ぁああ!」
二人は必死に戦う。
しかし、余りにも数が多く、隙は、自然と出来てしまう。
「っあ!」
鷹に耳をブチリとちぎり取られるベイ。
「くっそぉ!」
その時、目の前を豪速で何かが、通り過ぎていった。
「っ?何だ、今の」
「…ルッルッ?」
それは、可愛らしく首をかしげるダチョウだった。
そして、さっきのはダチョウのキック。
「…は…はは」
後の木が無くなっている。
それは、ダチョウの脚力の証明であった。
「くぅ」
ヒョンは、槍を振るが、しかし全てが躱される。
縦から横から斜めから、袈裟を、突いてから回し斬り
全て躱される。
「相当な速さだったと思うんだけど」
「ふーっ、ふーっ、オッサン、こっちは何とかいけたぜ!」
「そうか。じゃあこっち手伝ってくれ」
「おう」
と、意気揚々にベイが近づくが、
「イッッて!」
それは、ベイの左手に噛みついていた。
梟だった。
「こんの!」
梟をナイフで切りつける。
「ホォッ!」
だが、圧倒的反射能力で躱された。
しかし、全てではない。
かすり傷はつけただろう。
─ベイの方が速く倒しきった理由はここにある。
傷をつけるだけで良いという点だ。
梟はどんどんと、溶けていく。
「ホォオオオ」
それは、断末魔のようだった。
「ふぅ。これで、鳩もガチョウも白鳥も孔雀も殺したんだぜ」
と、誇らしげにベイが言う。
「っ、おい、こっち!」
ヒョンは、一人でダチョウの攻撃を躱していた。
ギリギリで躱している。
「くっ、ふっ」
いや、躱しきれていない。
たまに頬をかすり、そこから血が流れ出ている。
「俺も手伝うぜっ!」
シュバンと、ダチョウを斬りつけた。
ダチョウは、まだ死んではいない。
だが、じきに死ぬのは確定している。
そう思っていると、その傷口から下をダチョウは自ら─
ブチィ!
と、食いちぎって捨てたのである。
「!止まった」
溶解が、止まった。
「だがよぉ!」
それは隙だぜ、とヒョンは槍をダチョウの脳天めがけて振り下ろした。
ダチョウの体がパッカリと裂けた。
「よっしゃ!あとはスズメだけか」
「だな」
二人はスズメの方を睨む。
「ピピッ!ピーー!」
「させるかよ」
「おう」
二人はタイミング良く同時に、その小さな体に刃を押しつけた。
スズメは、必然、瞬殺される。
「よぅし、ここらで新井と合流しようぜ」
と、意気込んでヒョンが歩き出す。
「あっ、ちょ」
ベイはそれについて行くように歩いていった。
その時だった。
「…ガルルゥルルルルル」
目の前から、屈強そうな豹が現れたのは。
「おいおい、嘘だろ?」
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