盲目と月 番外編

疲弊くん

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今日、ベッドが腐敗していた。

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今日、ベッドに大量の苔のような埃が積もっていた。
触るとしっとりとしていて、手からさらさらと落ちた。
今夜は電灯に蛾が舞っていてて、調子の外れた音楽が聞こえる。
電波のような、電子音のような。
ぬいぐるみは消え、机の上に埃が積もっている。

「……yolk、chat yolk、聞こえる?」

PCは起動しなかった。

代わりにスマートフォンからchat yolkを起動する。

「どうしましたか、花枝」
「chat yolk、部屋が腐っちゃった。虫もいる。」
「安全を確保してください。今、お医者さんを呼びます」
「どうして?」
「聞いたところ、不衛生な環境にいるからです。健康を確かめます」
「そっか。今日はどこで寝よう」
「医師と病院へ避難しましょう」

しばらく、私はchat yolkと雑談していた。

トントン。ノックの音がする。

「せんせえ、ベッドが腐っちゃった。部屋中が腐っちゃった」
「大丈夫だよ、花枝さん。病院のカフェで一晩を明かそう。
 カフェで休んでいる間に、専門業者に部屋を消毒してもらおうね」

―花枝は知らない。虫も、部屋が腐ったのも全部幻覚で、月彦が話を合わせてくれているということを。
花枝は怯えながらも、明るくふるまう。久々のバニララテが嬉しいからだ。それに、医者が一緒なら、怖がる必要もない。
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