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捜査
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「息子は無事なんでしょうか?」
祈りを捧げるように両手を組み続ける幸子は、対面に座る沢崎に、真剣でありながら弱々しい視線を向けている。
「…犯人はかならず身代金を要求してくるはずです。息子さんは無事ですよ」
沢崎は力強く答えた。
「…犯人は私の知ってる人間でしょうか?」
隣に座り、幸子の背中に優しく手を当てながら、琢磨は沢崎に尋ねた。
「…どうして、そう思われるんですか?」
沢崎は被害者の家族である琢磨に、刑事特有の疑うような視線を向けた。
「…いえ…ただ漠然と、そう思っただけです」
琢磨は沢崎から視線を外した。
「…そうですか…平山さんの知り合いの可能性もありますが、そうではない可能性もあります。今、分かっている事は、犯人が四人以上いるという事です…平山さんはどんなお仕事をしておられるのですか?」
沢崎はあまりに立派な部屋を見回しながら尋ねた。
「…会社を複数経営しています」
「会社を複数ですか…家族構成を教えてください」
「…この家では、私と家内の幸子と娘の早百合が暮らしています…竜二は横南市にあるマンションでフィアンセと一緒に暮らしています」
「…マンションの住所と、そのフィアンセの方のお名前を教えていただけますか?」
横に座る若い刑事がメモを取るのを横目に、沢崎は質問を続ける。
「園山美玲さんです…住所はこの紙に書いてあります」
気が焦りながらも琢磨は冷静さを保ち、住所が書いてある紙を手渡した。
「分かりました…おい砂山、マンションに向かわせてくれ」
横に座る若い刑事、砂山は静かに頷くと席を立った。
祈りを捧げるように両手を組み続ける幸子は、対面に座る沢崎に、真剣でありながら弱々しい視線を向けている。
「…犯人はかならず身代金を要求してくるはずです。息子さんは無事ですよ」
沢崎は力強く答えた。
「…犯人は私の知ってる人間でしょうか?」
隣に座り、幸子の背中に優しく手を当てながら、琢磨は沢崎に尋ねた。
「…どうして、そう思われるんですか?」
沢崎は被害者の家族である琢磨に、刑事特有の疑うような視線を向けた。
「…いえ…ただ漠然と、そう思っただけです」
琢磨は沢崎から視線を外した。
「…そうですか…平山さんの知り合いの可能性もありますが、そうではない可能性もあります。今、分かっている事は、犯人が四人以上いるという事です…平山さんはどんなお仕事をしておられるのですか?」
沢崎はあまりに立派な部屋を見回しながら尋ねた。
「…会社を複数経営しています」
「会社を複数ですか…家族構成を教えてください」
「…この家では、私と家内の幸子と娘の早百合が暮らしています…竜二は横南市にあるマンションでフィアンセと一緒に暮らしています」
「…マンションの住所と、そのフィアンセの方のお名前を教えていただけますか?」
横に座る若い刑事がメモを取るのを横目に、沢崎は質問を続ける。
「園山美玲さんです…住所はこの紙に書いてあります」
気が焦りながらも琢磨は冷静さを保ち、住所が書いてある紙を手渡した。
「分かりました…おい砂山、マンションに向かわせてくれ」
横に座る若い刑事、砂山は静かに頷くと席を立った。
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