130 / 398
催眠術
11
しおりを挟む
次の日の昼過ぎ。伊織は屋敷にある会場の中にいた。学校の体育館程の広さがある。そこで伊織は何やら喋っていた。
「…今からお前達に催眠術を掛ける」
伊織の言葉を聞き、パイプ椅子に座っている十人は、ざわめき驚いている様子だ。
この十人は真田が金で集めた人間達だ。未成年はいないが、老若男女、様々なタイプの人間が集まっている。しかし、仕事の内容は知らされていなかったようだ。伊織はざわめく会場の中で、再び口を開いた。
「黙れ」
ただ一言。そう発した。
高飛車な言い方に、眉を寄せている者も少なくない。しかし、皆、金が欲しいようだ。暫くすると、会場は静かになった。
伊織が次の言葉を発した。
「…こうして、手の平同士を組んで、人指し指だけを突き立てろ…そして、人指し指は付けずに隙間を開けろ」
文句を言う者はいなかった。皆、伊織の真似をして、突き出した人指し指に隙間を開けている。その隙間は一センチもないだろう。
「…体の力を抜いてリラックスしろ」
眉根を寄せ、伊織を睨み付ける男も手の平を組んでいるが、リラックスしているようには見えない。
伊織は言葉を繋げた。
「リラックスしろ…体の力を抜け」
静まり返る会場の中で、何人かの者は体の力を抜き始めた。
「人指し指を見ろ…隙間は開けたままだ…付けるなよ…付けちゃだめだぞ…しかし、付けないようにしていても、どんどん指が付いていくからな」
伊織はその後、黙って皆の様子を観察していた。
「…付いた」
一分もしない内に、小太りの男が呟いた。静かな会場で、呟き声は、はっきりと聞こえた。
皆の視線は、小太りの男に集中した。
「…自分の指先を見ろ」
伊織の言葉を聞き、皆、自分の指先を見始めた。
「…私も付いた」
「…俺も」
何人かの者が、指先が付いたようだ。
それから五分程経った。
「…指先が付かなかった奴は、ここから出て行け」
「…今からお前達に催眠術を掛ける」
伊織の言葉を聞き、パイプ椅子に座っている十人は、ざわめき驚いている様子だ。
この十人は真田が金で集めた人間達だ。未成年はいないが、老若男女、様々なタイプの人間が集まっている。しかし、仕事の内容は知らされていなかったようだ。伊織はざわめく会場の中で、再び口を開いた。
「黙れ」
ただ一言。そう発した。
高飛車な言い方に、眉を寄せている者も少なくない。しかし、皆、金が欲しいようだ。暫くすると、会場は静かになった。
伊織が次の言葉を発した。
「…こうして、手の平同士を組んで、人指し指だけを突き立てろ…そして、人指し指は付けずに隙間を開けろ」
文句を言う者はいなかった。皆、伊織の真似をして、突き出した人指し指に隙間を開けている。その隙間は一センチもないだろう。
「…体の力を抜いてリラックスしろ」
眉根を寄せ、伊織を睨み付ける男も手の平を組んでいるが、リラックスしているようには見えない。
伊織は言葉を繋げた。
「リラックスしろ…体の力を抜け」
静まり返る会場の中で、何人かの者は体の力を抜き始めた。
「人指し指を見ろ…隙間は開けたままだ…付けるなよ…付けちゃだめだぞ…しかし、付けないようにしていても、どんどん指が付いていくからな」
伊織はその後、黙って皆の様子を観察していた。
「…付いた」
一分もしない内に、小太りの男が呟いた。静かな会場で、呟き声は、はっきりと聞こえた。
皆の視線は、小太りの男に集中した。
「…自分の指先を見ろ」
伊織の言葉を聞き、皆、自分の指先を見始めた。
「…私も付いた」
「…俺も」
何人かの者が、指先が付いたようだ。
それから五分程経った。
「…指先が付かなかった奴は、ここから出て行け」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる